注目ユースケース
Lumadaのユースケースコード:UC-00866S
〜無線を利用した車載ソフトウェア更新ソリューション〜
2021年7月30日
自動車の世界においてもコネクテッド化が進んでいます。いまや自動車そのものが高性能なコンピューターになる中で、車載ソフトウェアを効率よく更新することが、新たな価値やより安全な自動運転技術の提供につながります。そのために日立が実現した、車載ソフトウェアを無線通信(OTA:Over the Air)で効率よく、セキュアに更新するユースケースを紹介します。
自動車の状態や車載機(ECU:Electronic Control Unit)の特性に応じて、車載ソフトウェアの更新手法を選定。暗号化、電子署名、相互認証などセキュリティ技術を適用した差分更新により車載ソフトウェアを効率よくセキュアに更新します。
Lumadaで協創!更新の効率化・セキュリティ更新
自動ブレーキなどの先進運転支援システムや自動運転技術などが開発・導入され、自動車が高度にデジタル化しています。自動車を制御する車載ソフトウェアは、機能の充実に伴って大規模化、複雑化しています。
機能の追加や変更に伴って、車載ソフトウェアの改修が発生した場合、出荷後の自動車に対しては、ユーザーがディーラーに更新を依頼する必要があります。
更新の際は、ユーザーが自動車をディーラーに持ち込む、またはユーザー宅に整備士が訪問するため、媒体費用や人件費が発生し、管理負担が増大。さらに、更新中は自動車を使えないため、利便性の低下が懸念されます。
また、次のようなことが原因で更新に不備が生じると、人命にかかわる重大な事故が起こるおそれがあります。
このようなリスクを低減するためにも、品質・セキュリティの重要性が高まり、最新の車載ソフトウェアを効率よく、セキュアに更新することが求められます。
更新時の費用や手間を抑えるには、従来の更新方法から、OTAを利用する方法への切り替えが有効です。
OTAによる更新では、新しい機能の追加や不具合の修正があると、メーカーがOTAセンターに車載ソフトウェアを登録。自動車が安全に停車している、安心して通信できるといった条件が整えば、ソフトウェアはOTAセンターから自動車へOTAで配信、自動更新されます。これによって、自動車の利便性は向上し、ユーザーの管理負担だけでなく、メーカー側の負担も削減できます。
OTA(Over the Air)は、「無線経由」でデータを送受信する技術。コンテンツなどのダウンロードやソフトウェアの更新に利用されています。
従来、ソフトウェアは、CD-ROMやメモリーカードなどの媒体や通信用のケーブルを機器につないで更新されていました。OTAを実装すると、無線LANや携帯電話網を使用してソフトウェアを更新できるため、媒体の用意や機器へのケーブル接続が必要なく、遠隔での更新が可能です。
OTAによるソフトウェア更新は、携帯端末やスマート家電で実用化され、自動車などに対象が広がっています。自動運転などの高度な機能を持つ自動車が普及する中で、ソフトウェアの更新や、セキュリティパッチの適用を迅速に実施できるOTAは、自動車の安全性と利便性を向上する技術として期待されています。
安全・安心で環境にもやさしく、快適な自動運転の実現をめざして
車載ソフトウェアの自動更新にLumadaの「無線を利用した車載ソフトウェア更新ソリューション」を取り入れると、自動車の状態やECUの特性に応じて、最適な更新手法を選定できます。
「無線を利用した車載ソフトウェア更新ソリューション」は、ソフトウェアの配信に暗号化、電子署名、相互認証など、ITシステムの標準セキュリティ技術を適用。ハッキングなどの攻撃から車載ソフトウェアを守る、セキュアな更新を実現しています。
また、車載ソフトウェア全体を更新するのではなく、必要な箇所だけデータを配信して更新する差分更新により、通信量と更新時間を節約。可用性を向上し、自動車のバッテリーにかかる負荷を低減できます。自動車の状態やECUの特性に応じて、更新失敗やバッテリー切れといった異常発生時のリカバリーもできます。
Electronic Control Unitの略で、システムを電子制御する装置のことです。主に自動車に搭載されるものを指し、コンピューターとその周辺機器、通信モジュールから構成されます。
1台の自動車に、エンジン制御、トランスミッション制御など、用途に応じた複数のECUが搭載されており、これらの機能はECUに組み込まれているソフトウェアによって実現されます。100を超えるECUが搭載される自動車もあり、協調して機能を実現するECU同士は、車内ネットワークを経由して連携しています。
ECUは、車載センサーから取得したさまざまな情報などをもとに、あらかじめ組み込まれた制御パターンの中から、最適なものを選択します。人や標識、信号を認識するカメラや車間距離を測るレーダーの情報を使って事故防止を実現したり、エンジンのセンサーから排ガスを抑える制御を選択するなど、環境に配慮した、安全で快適な自動車を実現するために、ECUは活用されています。
性能/拡張性の目標を達成し、運用負荷の軽減、迅速な新機能開発が可能に
更新ソフトウェアを配信するOTAセンターは、パブリッククラウド基盤上に構築されています。サーバーレスアーキテクチャーによって、将来的に1,000万台超の自動車からのアクセスに耐えうる性能・拡張性を達成できる見込みです。また、サーバーの稼働コストや運用負荷の軽減に加え、フレームワークの活用で新機能をタイムリーに市場へ提供するための迅速なプロトタイプ開発も可能となっています。
導入事例の詳細については、こちらをご覧ください。
環境保全、事故撲滅、快適性向上など、自動車に対する社会のニーズはますます高まっています。これまで、自動車は「製品売り切り」のビジネスでしたが、これからは、ユーザーが自動車を購入してから、社会のインフラ機能拡張と連動して新機能を追加したり、ほかのユーザーに再販するなど、出荷・販売したあとの管理も重要になっています。
「無線を利用した車載ソフトウェア更新ソリューション」では、10年以上にわたる自動車の長いライフサイクル全体で、安全に車載ソフトウェアを管理する技術を開発しています。ユーザーが安心して自動車を運転し続けられる社会、自動車のこれからのビジネスモデルに対応して新しい価値を創出することをめざして、ソリューションを提供していきます。
2021年3月、本田技研工業株式会社から新型レジェンドが発売されました。注目すべきは「自動運転レベル3を取得した、世界初の市販車」という点です。これにより、高速道で渋滞に遭遇した際、一定の条件下でシステムが運転を代行できます。
この新型レジェンドに、日立Astemo株式会社が開発した「OTA(Over the Air)ソフトウェア更新ソリューション」として、自動運転用ECUや、更新データを受信・管理するOTAユニットが採用されました。
自動運転用ECUのソフトウェア更新にあたっては、日立グループが提供するOTAセンターを通したOTA配信による更新を実現。更新ソフトウェアの送信を行うデータセンターから自動車側の機器システムまでを、ワンストップで提供します。
ソリューションの詳細については、こちらをご覧ください。
研究開発の特集「研究の現場から」は、こちらをご覧ください。
自動車の状態や車載機(ECU)の特性に応じて、車載ソフトウェアの更新手法を選定。暗号化、電子署名、相互認証などセキュリティ技術を適用した差分更新により車載ソフトウェアを効率よくセキュアに更新します。
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UC-00866S
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