エレベーターの中で地震に遭遇したら?
Lumada Innovation Evangelistの澤さんが、普段なかなか入ることのできない日立のさまざまな現場を訪問する「澤円のDX社会科見学」シリーズ。「現場が大好き」と語る澤さんと一緒に見識を深め、デジタル活用の実践術に迫る、大人の社会科見学です。
全編は動画でご覧ください。本記事は動画の抜粋です。
記念すべき1回目は、日立ビルシステムの亀有総合センター。
全国のエレベーターの遠隔監視や、国内外のフィールドエンジニアの研修を行うこの施設で、澤さんに知ってもらいたいこととは?
- 小島
- 日立の小島です。今日はどうぞよろしくお願いします。
澤さんは、エレベーターに乗っている時に、地震に遭遇したことはございますか?
- 澤
- 僕は幸いないかな。とりあえずドアをギューッとこじ開けて這い出すとか?
- 小島
- それはおやめいただいて(笑)
以前のエレベーターであれば、すべての階のボタンを押して、一番先に止まったところで、早く安全に降りることが重要です。そして、非常階段で避難していただくことになります。
ただ、最近のエレベーターは、地震感知すると自動的に最寄り階で止まる仕組みになっています。
今日はその内容も含めて、エレベーターの地震対策について、ご説明させていただきます。
- 澤
- ぜひよろしくお願いします。
全国のビル設備を見守る管制センター
澤さんがまず案内されたのは、管制センター。ここで全国約18万台のエレベーターをはじめとするビル設備を遠隔監視しています。万一のトラブルの際には、全国約300カ所の拠点、約3,000名のフィールドエンジニアが、速やかに対応できる体制になっています。
- 小島
- 東日本大震災の時には、延べ2,000名のフィールドエンジニアが現地に支援に行った実績があります。
ただ、その時に地の利がないこともあり、どこのお客さまでどのように止まっているかを把握することが非常に困難で、一つのお客さまのところに、複数のフィールドエンジニアが行ってバッティングしてしまうことが発生しました。
その教訓から、スマートフォンの地図上に止まっているエレベーターの場所と、実際にフィールドエンジニアがどこにいるかを表示して、重複してエンジニアが現地に行ってしまうということがないように、システムを作っています。
- 澤
- 効率化はもちろんですが、一番大事なのは一刻も早く復旧することなので、それを最短距離でできる仕組みになっているということですね。
ビルオーナーがビル設備をセルフメンテナンス
続いて澤さんが紹介されたのは、「BUILLINK(ビルリンク)」というサービス。ビルオーナーが、スマホやPCから、ビル管理を行えるサービスです。
- 小島
- 最近台風が非常に多いのですが、台風の時にエレベーターに水が入ると壊れてしまうということで、ビルオーナーが手元のスマートフォンで、事前に上の方に避難させることもできます。
- 澤
- 実際にユーザーさんが自分でセルフメンテナンスできるのは、非常に大きな魅力ですよね。
「人」を育てる研修センター
次に案内されたのは研修センター。毎年約4,000人のエンジニアを育てています。研修のために約60年前から最新のものまで、さまざまなエレベーターを揃えています。
この施設を紹介してくれたのが森田さん。
- 森田
- 新入社員教育の3カ月からはじまり、毎年研修センターに来て、一人前になるまでは7年くらいかかります。
- 澤
- それくらいエレベーター、エスカレーターの種類も多いし、やらなきゃいけないことや、覚えなきゃいけないことがいっぱいあるということですね。
ところで、森田さんは現場での忘れられない思い出話なんてありますか?
- 森田
- 入社して2、3年目くらいの時に、エレベーター内に閉じ込められたお客さまを救出するために、「安心してください」「ドアから近づかないでください」「大丈夫ですからね」と、インターホンで話しながら救助作業を行いました。その時に、救出して、お客さまから「ありがとう」って言われたのは、今でも思い出に残っています。
- 澤
- こういう話が社会科見学ならではなんですね。体験ってやはり大事ですね。
デジタルで解決できるところとできないところがあって、できないところの部分はやっぱり「大丈夫ですか?」の声がけとか、人がやったら安心しますね。
エレベーター内での停電を体験
いよいよ澤さんに、実際に動いているエレベーターの中で、停電を体験してもらいました。ここの案内は平野さんです。
- 澤
- これビビりますね!
- 平野
- 実際にエレベーターが動いている時に停電になると降りられないので、エレベーターが持っているバッテリーで、近くの階まで救出目的で移動します。
- 澤
- 停電が本当に起きたら、悲鳴を上げない自信がないです!
さらに、電気自動車のバッテリーからエレベーターに電力を供給し、再びエレベーターを動かすところを体験してもらいました。
- 澤
- 確かにゆっくりだけど、電気自動車のバッテリーで動いているんだ!
- 平野
- ずっと動かしっぱなしででも、45時間くらいは動かせます。
また、エレベーターもずっと動かしっぱなしということは、ほとんどないので、45時間も動かすことができれば、数日は使えるという言い方もできます。
- 澤
- これは安心ですね。
今回は、エレベーターに関して、いろいろな知見や、災害の時にどうすればいいのかなどの知識を得ることができました。
停電や地震は起きないに越したことはないですが、起きることを前提にデザインされていて、いざという時のために、いろいろと備えられていることを体験でき、デジタルやデータを使って、より安全に安心してエレベーターが使えるようになっていることがものすごく素敵なことだと思いました。
そして、僕として一番心に響いたのは、何かが起きた時に人の声がけやコミュニケーション、あるいは人々の協力によって、安心や安全が作られていること。
デジタルの世界と、人が支える部分とがあるっていうのを知ることができたのが、今回の社会科見学の一番の収穫かな。みなさんはどのようにお感じになりましたでしょうか。
(澤円)
- 澤 円
- Lumada Innovation Evangelist 株式会社 圓窓 代表取締役
案内役:
- 小島 巨士
- 株式会社日立ビルシステム 技術本部
- 森田 英行
- 株式会社日立ビルシステム 人財開発センター
- 平野 敏史
- 株式会社日立ビルシステム マーケティング本部