RISE with SAPはSAP社が掲げるIntelligent Enterpriseを実現するための包括的なサービス提供形態です。
企業のデジタル化を推進するため、デジタル変革の基盤となるSAP S/4HANA Cloudおよび各種クラウドサービスの提供と効率的なSAP S/4HANAへの移行ツールで構成されています。
日立は、お客さまにもRISE with SAPの標準サービスの内容をご理解いただき、自社のシステム運用スキームにSAPシステムの運用を組み込むことが、RISE with SAP導入を成功させる条件と考えます。
ここでは、RISE with SAPの特長と、日立が考える検討のポイントをご紹介します。
SAP S/4HANA Cloudとは
1. SAP S/4HANA Cloudの特長
RISE with SAPのコアとなるサービス「SAP S/4HANA Cloud」の特長は以下の3つです。
- ライセンス提供はサブスクリプション形式
- インフラ基盤はSAP社が運用するマネージドクラウドが前提
- サービス提供形態にはパブリック型とプライベート型がある
ERPがカバーするバックヤードオペレーションをクラウド化する場合、利用組織と業務プロセスがシンプルならパブリック型を適用して標準機能をそのまま活用可能です。パブリック型はエンタープライズ企業の海外拠点を含む中堅企業様での利用が進んでいます。
しかし、グループ横断での導入など利用組織が複数にわたり業務プロセスのバリエーションが多い場合は、機能や環境設定に自由度が求められるため、クリーンコアを保ちつつ機能拡張に柔軟な対応ができるプライベート型の適用が必要です。
このため、日立ではエンタープライズ企業の共通基盤にはプライベート型である「RISE with SAP S/4HANA Cloud, private edition（PCE）」の採用をご提案しています。
2. PCEインフラの考え方
RISE with SAP S/4HANA Cloud, private edition（PCE）は以下の条件で提供されます。
●選択肢
- AWS（*1）、Azure（*2）、GCP（*3）などのハイパースケーラーの選択が可能
- インフラのスペックはサブスクリプション契約の規模に応じて、RISE with SAPが規定するT-Shirtモデルに従い提供
- SAP S/4HANA以外の独自の周辺システムやジョブサーバはお客さまにて準備・運用が必要
●実装
- インフラ要件（可用性、回復性 etc）はService Level Agreementを遵守
- 例えば、本番環境の可用性は以下のとおり
- サービス提供時間：
24時間×365日（定期保守（月次4時間）の合意されたダウンタイム除く）
- 稼働率：
インフラ基盤が起動しているだけではなく、“SAPシステムにログオンできる状態”で99.7％*を保証
Disaster Recoveryはオプションとなり、目標復旧時間：12時間、目標復旧地点：30分で提供
- *
- アプリケーション、SAP HANA®、ストレージ、ネットワーク、データセンター・サーバの各レイヤーの稼働率が99.94％を前提に、サービス全体として99.7％の計算
●運用
SAPシステムのバックアップ、サービス監視、インフラ観点のセキュリティ・監査対応はSAP社で実施
また、SAP社が定めるバージョンアップ周期に従い、SAPシステムのバージョンアップ対応が必要となる
SAP社との運用作業分担はRoles and Responsibilitiesに従う
3. 契約面
最小3年、最大5年のサブスクリプション契約
- *1
- Amazon Web Services
- *2
- Azure：Microsoft Azure
- *3
- Google Cloud Platform
日立が考えるRISE with SAP S/4HANA Cloud, private edition（PCE）検討のポイント
インフラ運用は、PCE環境においてもすべてがSAP社の責任となるわけではありません。
以下の項目についてはお客さまにて対応する必要があり、日立はお客さま側にもSAPシステムのシステム管理者（SAPベーシス）の設定が必要と考えます。
日立が考える検討ポイントは4点です。
PCEの運用・責任分担、移行の制約を考慮した設計・運用、SAP社クラウドサービス連携など、日立はSAP社の標準サービスを補完する各種サービスを揃え、お客さまのPCE導入検討・移行を強力にサポートします。
1. インフラ・基盤
- SAP S/4HANA Cloudのインターフェースや端末管理
- シングルサインオン（SSO）
- Business Technology Platformとの連携設定
2. 非機能・設計
- お客さまの環境に即したSAPシステムパラメーターの評価や周辺システム連携など、お客さま固有の設計に関するSAP社運用部隊との橋渡し
3. 運用・移行
- SAP S/4HANA Cloud独特の運用を考慮したシステム運用設計やSAPシステムバージョンアップ計画支援
- お客さま責任となる運用タスクの支援
- 既存SAP ERP環境からSAP S/4HANA Cloudへ移行支援
4. 契約
- お客さまにとって適切なサブスクリプション契約となるようアドバイス
- * SAP®、SAP S/4HANA®、SAP®ロゴ、記載されているすべての製品およびサービス名は、ドイツおよびその他の世界各国におけるSAP® SEの登録商標または商標です。
- * Amazon Web Servicesは、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
- * Microsoft Azureは、米国 Microsoft Corporationの、米国およびその他の国における商標または登録商標です。
- * Google Cloud Platformは、Google LLCの商標または登録商標です。
