世界経済の不安定化・気候変動・産業分野の変革・労働環境の変化などの不確実な事業環境の中、
VEC活動により持続的に顧客価値向上(Value for Customers)、環境価値向上(Value for Environment)、
社会価値向上(Value for Society)を図り、顧客ニーズを実現する製品・サービスの事業の継続が重要と考えています。
日立グループのVEC活動にて取り組む価値向上は、2つの視点があります。
1960年、日立製作所の資材部門がVA(Value Analysis)を導入したのを皮切りに、日立グループ各社に活動を広げ、顧客志向を強めた “VEC”(Value Engineering for Customers)を展開してきました。VEC活動の特徴は、“TFP”(Task Force Project)活動が基本となっています。TFPは、クロスファンクショナルな組織をつくり、一定期間、プロジェクト活動を推進していくやり方です。
VECはバリューチェーン全体の活動が適用対象です。顧客価値向上にかかわる原価企画・営業・開発設計・調達・製造(機械加工・組立作業・梱包作業・外注作業など)・物流・保守など、商品企画から生産・流通・保守まで対象となります。製造業以外にも、量産・受注プロジェクト含めいろいろな業種に広がっています。最近では、営業活動、書類の作成や事務手続き、さらに流通業や建設業などにも導入されています。
調達部門は、開発や製造コストを決定する大きな要因となる調達品のQCD(機能・品質、原価、数量・納期)を購入するだけでなく、価値創造の源泉となる技術・技能・ノウハウ・情報・開発力・時間なども同時に調達する部門です。企画構想/開発設計段階にて、調達パートナーの皆さまとエンジニアリングを含めた関連部門が参画する体制を構築し、調達・調達品に対するVEC活動に取り組み、価値創造の効果拡大に取り組んでいます。
デジタルソリューション、ITプロダクツ、鉄道システム、ビルシステム、生活・エコシステム、ヘルスケア、産業・流通ソリューション、水・環境ソリューションなど、日立では多様な事業・ビジネスモデルを展開しています。顧客に製品・サービスを提供するすべての業種がVEC対象です。
「素材・部材」「商材・完成品」「ITサービス・リソース」など、バリューチェーン全体にかかわる調達パートナーの皆さまとの価値創造が重要であると考えています。このため、ビジネスプロセスや製品サービスの開発における企画構想段階(営業活動や商品企画など段階)から要素技術の共同開発を行い、先端技術の採用に取り組みます。環境負荷低減、素材のリサイクル、材料使用量の削減などの視点でも、調達パートナーの皆さまとともに、共同VEC活動に取り組みます。