ロボットにはいろいろな種類があるけど、日本のロボットのほとんどは、工場などで利用される産業用なんだ。でも最近は医療や介護、災害救助など、身近なところで役に立つロボットの研究・開発が進んでいるよ。もちろん「日立」の中にも、新しいロボットの研究・開発に取り組んでいる人たちがいるんだ。
日立の開発者がつくった最新のロボットが「EMIEW 2(エミューツー)」。とてもおしゃべりが好きで、きびきび動くのが得意なんだ。
今回は、この「EMIEW 2」をつくった人にお話を聞いてきたよ。
網野さん2005年に名古屋で開催された「愛・地球博」に初代EMIEWを出展したのが始まりです。このときのEMIEWは、重さ70kgくらいの大きなロボットで、家の中ではすばやく動けませんでした。そこで「人と暮らし、生活をサポートするロボット」を目標に、できるだけ小さく軽く、親しみやすい安全なロボットを開発することになりました。
上田さんEMIEW 2の大きさは、オフィスの机の高さに近い身長80cm、重さもわずか14kgと、初代より大幅に小型・軽量化しました。ひみつは、ロボット内部のコンピュータですべて動かすのではなく、ネットワークを利用して外から制御できるようにしたことです。これで、だいぶ小さくすることができました。
網野さん人間の歩くスピードで、自由に機敏な動きを実現するために、一輪車の原理を採用しました。
一輪車で遊ぶとき、細かく車輪を前後に動かしてうまくバランスをとると倒れませんよね。あれと同じです。また、足を曲げてひざをつけば、ひざにも車輪がついているので、安定した姿勢で移動できます。人間が正座して移動しているような感じですね。
上田さん頭や腕、足などが自然でなめらかに動くよう、25個の小型モータがついています。さらに人間に近い動きができるよう、カメラやマイク、何種類ものセンサが体のあちこちについています。
会話機能も進化させたので、人が話す単語を理解するとともに、うなずいたり、首をかしげたりする動きを見て、最適な回答を返すこともできます。
網野さんロボットに夢中になったのは大学1年生のとき。学生食堂で黒いラインをトレースして移動するロボットのデモを見たときからです。以来、ずっとロボットづくりが趣味で、大学ロボットコンテストに出場し、日本代表になることもできました。先日、小学校の卒業文集に「将来はロボットをつくる技術者になりたい」と書いてあるのに気がつきました。おどろきました。すっかり忘れていましたからね。やはり好きだったんでしょう。もしタイムマシンに乗って20年前の自分に会えるなら、「好きなことをやり続けろ!」と言ってあげたいですね。
上田さんものづくりが好きだったせいか、小学生のときから「工作少年」でした。夏休みには輪ゴム鉄砲やパチンコをつくり、先生から「ほかの生徒につくり方を教えてやってくれ」と言われたこともあります。ところが中学生になると部活で運動ばかり。高校では、真剣に音楽大学に進もうと考えたほどピアノや音楽に夢中に。その後、ロケットや飛行機をつくろうと大学の機械宇宙学科へ。振り返ってみると、実にいろいろなことに興味を持ったものですね。ロボットづくりは1人ではできません。メカやプログラム、制御技術など幅広い知識が必要です。みなさんも、いろいろな知識を身につけてください。きっと役に立ちますよ。
今回お話をお聞きしたお二人に共通するのは「好きなことをやり続ける」こと。EMIEW 2の開発プロジェクトについても「今後の自分のものづくりの大きな財産になる」と話してくれました。