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ミドルウェア

uVALUE 実業×IT

Hitachi

メインフレーム資産のオープン移行で
内部統制強化とマスター統合への環境整備を実現

環境変化への柔軟な対応と収益体質の強化を図るには、IT 基盤のシンプル化と経営情報の可視化が不可欠です。

そこで自動車用プレス部品メーカーのユニプレス九州株式会社(以下、ユニプレス九州)は、 株式会社 日立ソリューションズ西日本(以下、日立ソリューションズ西日本)の協力のもと、 COBOL2002やNHELP実行支援ライブラリ、JP1といった日立オープンミドルウェアを活用し、 XRPG、NHELP、COBOL85などで構成されたメインフレーム資産をオープン環境へと移行。 IT投資コストを抑えつつ柔軟な情報活用と開発/実行環境の分離によるIT統制強化に加え、 経営実態を可視化するマスター統合に向けた環境整備を実現しました。

XRPG、NHELP、COBOL85などが混在した既存資産

太田 秀樹 氏の写真
ユニプレス九州
株式会社
管理部 部長 兼
人事・総務課 課長
太田 秀樹 氏

自動車用プレス部品メーカー ユニプレス株式会社(以下、ユニプ レス)のグループ企業として、自動車産業の一大集積地として知られる 北部九州地区に国内最大級の生産拠点を構えるユニプレス九州。 同社は1976年の創業以来、世界トップレベルのプレス成形技術と、 高い生産性を誇る3,000トン級のトランスファープレス*1やテーラード ブランク溶接機*2などの高付加価値設備により、ユニプレス事業の 中核を担う存在として発展を続けてきました。

義経 末信 氏の写真
ユニプレス九州
株式会社
人事・総務課
情報システム
義経 末信 氏

そのIT基盤となる「生産管理システム」は、富士市にあるユニプレス のメインフレーム「AP8000 VOS1/LS」にホスティングされ、ネットワーク 経由で利用する形態をとっていました。しかし2008年にユニプレスが ERPシステムへの全面移行とメインフレーム撤去を決断したことから、 ユニプレス九州にも新たなIT 基盤の選択が求められていました。

「当初はAP7000を導入した継続運用も検討しましたが、この機会 に過去からの資産を精査し、IT投資コストを抑えつつ情報系システ ムとの連携を模索していく方が将来的にも有望だろうと判断しまし た。そこで当社資産を誰よりも理解していた日立ソリューションズ西日本さんの 協力を得ながら、限られた期間とコストでオープン系へ移行できるマ イグレーションを実行することにしたのです」と語るのは、管理部 部 長 兼 人事・総務課 課長の太田 秀樹氏です。

要請を受けた日立ソリューションズ西日本は、メインフレームから数多くの移 行実績を持つベテランSEを配したプロジェクトチームを編成。2009 年7月より、ユニプレス九州のシステム担当者である人事・総務課 情報システム 義経 末信氏とともに、簡易言語XRPG、NHELP、 COBOL85などが混在した既存資産の棚卸しとプログラム移行に 着手しました。

*1
複数の金型を1台のプレスにセットできるプレス機
*2
板厚や材質の異なる複数の鋼板をプレス成形前に溶接できるマシン

移行にともなう課題を日立グループの連携で解決

義経氏は「関連部署にプログラムの稼働状況を1つひとつヒアリン グしながら、約3か月かけて1,000本あった資産を400本程度にまで絞り 込みました」と当時の苦労を振り返ります。そしてスリム化された資産 のマイグレーションを効率化するために利用されたのが、COBOL資 産の継続活用を支援するCOBOL2002、データ抽出や帳票出力に使 われていたNHELPを移行するNHELP実行支援ライブラリ、バッチ処 理の自動化を高精度に代替するJP1などの日立オープンミドルウェア 製品群です。

基本的なプログラム移行は順調に進みましたが、その過程では当 初想定していなかったさまざまな課題も出てきました。例えばNHELP の移行過程で、改ページやグループインジケーションが従来と同じ出 力にならないパターンがありましたが、製品側で対応することにより、迅 速な解決を図りました。また、長らくブラックボックス化されていたことで 移行が懸念されていたXRPGについても、パターン化している作業領 域の定義と帳票出力部分で独自のコンバータを作成する一方、ロジッ ク部分のみを手作業で組み上げることでCOBOL2002への移行を実 現。その他の課題に対しても日立グループ内の密接な連携で、すべて の難問をクリアすることに成功したのです。

厳しいシステム監査への対応も支援

「最終局面で苦労したのが、本番稼働に先立つシステム監査でし た。ユニプレスグループでは日本版SOX法に基づいた厳格なIT 統 制を敷いています。このため外部機関の監査に備え、全プログラムで テストを行い、新旧システムの入出力ファイル・帳票そのものと整合性 確認のエビデンスをジョブ単位に保管し検証する必要があったので す。予想以上に作業量が膨大だったため、日立さん に検証支援ツールを作成してもらい、テスト工数の低 減を図りました」と太田氏は語ります。

この比較検証テストの過程で、ソートキーの値が同 一のレコードが複数存在した場合、新旧システムで出 力結果が異なる事象が発生しました。これは、ソート キーの値が同一の場合、旧システムではソート結果 が保証されませんが、新システムでは入力順での ソートが保証されていたためです。両システムでの結 果アンマッチにより、監査に耐えるためには膨大な出 力結果を人手で確認する必要に迫られました。しか し、日立は旧システムに新たなソートキーを付与し、新 システムと同一の出力結果となる変更を加えこの問 題を解決。システム間の整合性確認がとれたことで監査も無事クリア し、HA8000(OS:Windows Server® 2003 R2)をプラットフォームとし た新システムが予定どおり2010年4月から本番稼働を開始しました。

システム概要図
システム概要図

IT統制の強化と業務効率の向上を実現

オープンシステム移行によるITコストの低減により、新システムでは 本番環境とテスト環境の物理的な分離も実現し、システム部門は業務 に影響を与えずに開発やテストが行える環境を確保しました。同時に、 本番環境へのアクセス権限がより厳格化されたことで、同社のIT統制 はコンプライアンスの観点からも一段と強化される形となったのです。

「おかげさまで移行後はノントラブルで稼働しています。今回のマイ グレーションでは当社側の専任者は実質的に義経ひとりだけで、日立 さんの協力なしには到底実現できないプロジェクトでした。それだけ に、ここまで予定どおりにこぎつけたことには本当に感謝しています」と 太田氏は笑顔で語ります。

一方、義経氏は「体感的には5倍程度速くなりました」とHA8000に よる処理速度の向上を高く評価します。手順が複雑だったバックアッ プ業務も、JP1でカタログ化し容易に行えるようになったほか、運用自 動化もJP1を活用することにより、より幅広い業務をフォローできるように なったことで「運用負担が大幅に削減され、オペレーションミスの不安 も解消されました」と喜びます。

「さらに言えば、帳票のPDF化でイントラネット上でのスピーディな公 開と柔軟な検索・加工などが実現できたのもうれしいポイントです。現 場では、さまざまな情報の利活用が進み、エンドユーザーの作業効率 が着実にアップしていることを実感しています。メインフレーム時代は 帳票を必ず印刷して持ち歩くのが常でしたが、今後は出力を最小限 に抑えられるため、ペーパーレス化とセキュリティ強化の実現につなが ると考えています」と義経氏は語ります。

各種システムのマスター統合を推進

ユニプレス九州のシステムを支えるHA8000
ユニプレス九州のシステムを支える
HA8000

ユニプレス九州では、すでに生産実績データの収集や、協力メー カーからの購買・検収業務などを「U-KICS」という名称のオープンシ ステム上で稼働させていました。今回、生産管理の基幹システムも同 じオープン系で統一されたことで、データベース連携が容易となり、業 務効率や運用性の向上に大きく寄与しています。

「現在は日立ソリューションズ西日本さんの協力を得ながら、これまで着手で きなかった各種システムのマスター統合を進めているところです。将 来的にはシステム環境のさらなる集約と経営情報の可視化を進め ていきたいと考えていますが、そこでも引き続き日立さんのサポートを お願いしたいと思います」と太田氏は将来への展望を語ります。その 期待に応えるため、今後も日立はオープンミドルウェアを中心とした付 加価値の高い製品群とソリューションで、同社のビジネスを強力に バックアップしてまいります。

USER PROFILE

ユニプレス九州株式会社

ユニプレス九州株式会社

[本社] 福岡県京都郡みやこ町勝山松田507
[創立] 1976年1月
[資本金] 4億5千万円
[従業員数] 469名(2010年3月現在)
[事業内容] 自動車部品および金型・治工具の製造販売

PARTNER PROFILE

株式会社 日立ソリューションズ西日本

[本社] 中国本社 〒730-0013 広島市中区八丁堀3番33号(広島ビジネスタワー19階)
九州本社 〒814-0001 福岡市早良区百道浜2-1-1(日立九州ビル)
[設立] 1984年10月1日
[資本金] 3億円
[従業員数] 930名(2013年1月現在)
[事業内容] 中国・九州地域に根ざしたビジネスを展開するITソリューション企業として、 各業種のお客様に対してコンサルテーションから構築、保守までの一貫したSIサービスを提供するとともに、 自社パッケージ商品をベースとした業務・業種向けソリューションサービスを全国のお客様向けに展開。

特記事項

  • この記事は、「はいたっく 2011年9月号」に掲載されたものです。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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