より迅速で正確な情報共有を目指し、
新・行内情報システムをポータルシステムに刷新。
日立のオープンミドルウェア製品群を統合的に活用
「地域とともにお客さまとともに」をテーマに、地域密着型の活動を展開してきた株式会社 清水銀行(以下、清水銀行)は、より迅速で正確な情報共有を目指し、行内情報システムをポータルシステムに刷新。 ポータルシステムの構築にあたっては、日立の統合システム構築基盤「Cosminexus(コズミネクサス)」を基盤にして、コラボレーションポータル「Groupmax Collaboration(グループマックスコラボレーション)」、「電子フォームワークフロー」、文書管理基盤「DocumentBroker(ドキュメントブローカー)」を適用し、日立のオープンミドルウェア製品群を統合的に活用。 清水銀行は、柔軟なシステム間の連携を実現する進化の可能性に満ちた新しい情報活用基盤を手に入れたのである。
株式会社清水銀行
事務部担当
執行役員
池田 進 氏
清水銀行では、執行役員を静岡県内4地域に常駐させる「地区駐在制度」をスタートさせるなど、地域密着・現場主義を強化する新たな施策を積極果敢に行っている。
地域ごとの現場で得た正しい情報を共有して、機敏な意思決定による経営のスピードアップを実践していくには、柔軟性の高いシステムが不可欠である。そこで、11年前から利用してきた行内情報システムを刷新することになった。従来の行内情報システムは、あるグループウェア製品をベースに構築していたが、特定ベンダーの技術に縛られているため、新規の業務を載せることも困難で、メンテナンスの面でも問題があった。
「このグループウェア基盤上には、すでに多くの業務システムが載り、データも蓄積されていましたので、捨て去ることには大きな決断が必要でした。それでも、全行員が情報を共有し、業務をすばやく行うには、システムを刷新するしかないと考えました」と池田氏は語る。
株式会社清水銀行
業務企画部
次長
三浦 靖久 氏
株式会社清水銀行
事務部
代理
伊藤 篤 氏
同行は、既存システムのバージョンアップを含めて、複数のグループウェア製品を比較検討した。その結果選択したのは、日立の統合システム構築基盤「Cosminexus」を基盤に、日立のオープンミドルウェア製品を組み合わせたポータルシステムであった。今回のシステム構築は、日立グループの株式会社日立情報システムズが担当した。
このポータルシステムは、コラボレーションポータル「Groupmax Collaboration」が提供するメールや掲示板などのグループウェア機能、「電子フォームワークフロー」で構築した業務ワークフローシステム、文書管理基盤「DocumentBroker」で構築した規定規則システム、通達文書システムなど、多種多様なシステムをポータル画面上のポートレットとしてWebベースで統合できる。
多様な業務システムを開発した従来の行内情報システムの機能を継承しつつ、ポータルで一貫性あるシステムとしてひとまとめにして効率よく利用できるのである。
「製品個別の提案ではなく、複数を組み合わせて実現できる全体の機能を評価しました」と三浦氏は語る。
「国内メーカーである日立の製品なら開発拠点が国内にあり、迅速な対応が期待できると考えました。また、各製品のサポートがワンストップで受けられ、将来にわたって安心できます」と伊藤氏は付け加えた。
新システムは、2007年4月に本格稼働を始めた。利用者は、全行員の約1,000名である。表示されるポートレットは役職や部署に応じてパーソナライズされており、日常業務はポータル画面を見ていれば網羅できる。
また、各システムの認証をひとつにまとめ、ポータル画面への一度のログオン操作だけで、各ポートレットのシステムをシームレスに利用できるシングルサインオンを実現した。
「ポータルシステムは、必要な情報が一覧表示されているのが魅力です。階層の深いメニュー選択を何度も行う必要がなくて、スピーディに仕事ができ、メール受信件数などの確認もポータルシステム上で完結できます。情報共有のレベルがワンランク上がりました」と三浦氏は評価する。
メール、掲示板、電子会議室をはじめ、各種業務システムのポートレットは、役職や部署にかかわらず基本的な配置を統一した。このレイアウトの工夫により、異動などにより業務内容が変更になった場合でも、どこを見れば必要な情報があるかすぐにわかるのだ。
業務ワークフローシステムでは、仕事の属性を個人ではなく役職をベースに設定して、正しい権限による的確なワークフローの運用を実現している。大口定期稟議決裁システムなどのワークフローシステムは、電子フォームワークフローの柔軟性の良さを十分に活かしており、人事異動があっても新しい役職に即応して業務が滞りなく継続できる。
行内の統制を実現するために欠かせない通達文書システムは、ワークフロー・文書管理・ポータルを密に連携させることで、伝えるべき部署に、伝えたい内容を適切に配信する。電子フォームワークフローで審査・承認を行った通達文書は、文書が改ざんされないようにDocumentBrokerによって厳密に保管される。また、公開文書は、アクセス権制御と期限管理により、通達が必要となる前日に対象部署に自動公開されることで、必要部署だけが閲覧できる仕組みを実現している。
清水総合コンピュータサービス株式会社
システム部
システム開発
大塚 尚子 氏
同行では、日立のミドルウェア製品を統合的に利用することで、グループウェア製品をベースに積み上げてきた行内情報システムを、特定ベンダーの技術にとらわれないWebベースのポータルシステムへと刷新することに成功した。
単に移行するだけでなく、利便性が高まったところもある。たとえば、人事異動があるたびに手作業で更新していた行内情報システムのユーザー情報は、人事異動の情報を元に自動的に更新できるようになり、組織変更に素早く対応できるようになった。
「以前は、異動発令の前日に休日でも出勤して、手作業でユーザー情報を更新していたので、管理者は大変楽になりました」とヘルプデスクを中心に運用サポートを担当している大塚氏は語る。
相談する窓口がひとつになった効果も大きい。日立に相談すれば、システムのメンテナンスといった運用面だけでなく、ワークフローの追加や他のWebアプリケーションとの連携などの新たな試みについても積極的に検討できる。
「今後も、業務のワークフローシステム化を積極的に推進していきたい。ペーパーレス化を推進して事務効率を上げられるうえ、権限を明確にして内部統制ができ、セキュリティも高められるからです。行内情報システムを刷新できたことで、内部統制をしつつ、情報共有をさらに強化するといった戦略を考えることも可能になりました」と池田氏は評価する。
清水銀行は、新しい行内情報システムをポータルシステムとして構築したことで、地域密着の経営戦略を推し進め、意思決定をスピードアップさせることのできる情報活用基盤を手に入れることができたのである。
本部のポータル例(上)と
支店のポータル例(下)。
清水銀行の新・行内情報システム概要
USER PROFILE
静岡市清水区を中心に81店舗を展開。取締役と執行役員の役割を明確に分ける「執行役員制度」、執行役員を4つの地域に常駐させる「地区駐在制度」などの施策を実行に移している。
PARTNER PROFILE
株式会社日立情報システムズ
[本社] 東京都品川区大崎1-2-1
[創立] 1959年6月15日
[資本金] 131億6,200万円(2007年3月31日現在)
[従業員数] 4,988名(2007年3月31日現在)
日立グループの中軸企業として、システム運用サービス、システムインテグレーションやソフトウェア開発、これらの事業にかかわる機器・サプライ品販売事業を展開。