日立の「Groupmax Collaboration」と
「電子フォームワークフローセット」で
申請業務の効率化と内部統制の強化を推進
株式会社松坂屋(以下、松坂屋)では、全社を挙げた内務業務改革の一環として、事務部門の集中一元管理をスタート。各拠点ごとに行なわれていた総務・経理業務などの内務業務を全社統一し、内務業務のスリム化・効率化と意思決定のスピードアップを実現させるため同社が選択したのは、日立のコラボレーションポータル「Groupmax Collaboration(グループマックス コラボレーション)」と「電子フォームワークフローセット」である。ポータル画面からシングルサインオンで各種申請・承認業務システムにアクセスでき、入力支援機能によってスピーディかつ高精度に申請・承認業務が行える環境を構築した。作業履歴の情報なども保存できるため、内部統制強化にもつながると松坂屋では高く評価している。
株式会社松坂屋
執行役員
業務統括本部
業務推進部長
古屋義行 氏
株式会社松坂屋
業務推進部
IT企画スタッフ統括部長
夏目進功 氏
2011年に創業400年を迎える松坂屋は、国内屈指の老舗百貨店だ。「2010年松坂屋ビジョン」である「ひとびとのこころ彩る生活創造百貨店」の実現に向け、更なる顧客サービスの向上、売場の革新などの改革に取り組んでいる。
2004年9月から、「MVP(Matsuzakaya Value up Project)2005」と名づけた内務業務改革プロジェクトを推進してきた。内務部門の業務時間30%削減を掲げ、その結果生まれた時間を営業力の強化にあてることを目的としたものだ。
「各拠点ごとに行なわれていた人事、経理、商品管理などに関わる業務を洗い出し、業務フローや情報の全社一元化による効率化を目指しました。また、営業組織改革として、地区本部制を廃止し、全社の営業部門を統括する営業統括本部を設けて、組織をフラット化しました。これにより戦略や方針のスピーディな浸透、各店の強みの共有・活用が拡がり、営業力強化とともに顧客サービスの向上を狙いとしています」と古屋氏は説明する。
内務業務改革を支援する情報インフラとして採用されたのが、日立のコラボレーションポータル「Groupmax Collaboration」だ。
株式会社松坂屋
業務推進部
業務スタッフ統括課長
六車豊 氏
株式会社松坂屋
業務推進部
情報システムスタッフ係長
村上重徳 氏
Groupmax Collaborationの採用理由は、さまざまなシステムとの連携が柔軟に実現できることにあったという。
「当社のPC端末は現在約2,400台。PCによる業務が拡大している中、現場での使いやすさを考えれば、シングルサインオンでシームレスに各種アプリケーションを利用できる環境(基盤)の実現は大きい」と六車氏は語る。
Javaベースで汎用性が高い日立のユニバーサル・アプリケーション・プラットフォーム「Cosminexus(コズミネクサス)」を基盤にしたGroupmax Collaborationは、新規サービスの追加など段階的なシステム拡張にも容易に対応する。また、Webベースでありながらシンプルで直感的なGUIと操作性をかね備えている。
「ホストのデータベースと連携したアプリケーション利用ができるなど、旧資産の継続性も重視した点です」と村上氏は話す。
同社ではすでに1999年に、クライアントサーバ版のGroupmaxを導入していた。後継のGroupmax Collaborationであればメールや掲示板などの資産も難なく継承できる。
また、社内に散在するさまざまな既存のIT資産を整理し、必要なものだけをポータルで連携させている。
内務業務改革によって業務統合が進められた結果、課題として上がってきたのが東京や静岡といった遠隔地から本部機能がある名古屋への申請・承認のスピード化である。業務の見直しによって新規に営業費関連の伝票と外商顧客の口座申請業務などをワークフロー化することが決まり、それを機に日立の「電子フォームワークフローセット」が導入された。
「電子フォームワークフローセットを評価したのは短期間での開発を可能にするシステムだということです。また、社内だけでなく、グループ会社や海外駐在所などからの利用も考えると、Web環境にしたかったこともあります」と古屋氏は話す。
電子フォームワークフローセットを使えば、Microsoft® ExcelやMicrosoft® Wordから、変換ツールを使いスピーディに帳票を作成することができる。また、既存の帳票を利用して入力フォームを作成することで、既存の帳票に近いイメージの入力フォームで入力作業を行うことができる。この他にも正確でスピーディな入力を促すしくみが施されている。 たとえば、ホストのマスタデータと連携を持たせてあるため、社員コードを打つだけで、その社員の所属部署名や名前などが正確に自動入力される。また、経費精算のようにくりかえしの要素が多いものについては「パターン登録」の機能が付加されており、あらかじめ入力パターンを登録しておくことによって一から入力しなくて済む。さらに、承認作業が滞らないしくみとして、Groupmax Collaborationとの連携で、ポータル画面には送られてきた承認の処理待ち数が表示される。 これにより、承認者はポータルにログインすると同時に承認待ち件数を把握して、すぐに承認作業にはいることができる。
このようなワークフローシステムで業務が電子的に行われるようになると、誰がいつどのような処理を行ったのか、権限者が適正に承認したかなどの処理の履歴情報が保存できる意義は大きい。
「電子フォームワークフローセットでは、申請・承認処理の履歴がすべて保存されますので、内部統制の強化にもつながっています。内部統制強化への対応は視野に入れていたのですが、実際にワークフロー化したことで、あらためて履歴情報が重要であるという認識を強めました」と夏目氏は語る。
なお、新システムでは、個人情報など大切な情報を守るために、PCには社員のICカードをかざさないとログインできないようにセキュリティ面も充分に配慮されている。
新システムは2006年3月から本格稼働を開始。グループ会社並びに海外駐在員事務所、外商の各出張所や出先からでもデータ連携や情報共有できる環境が整った。
「以前は営業ノウハウなどの情報は各店単位に限られていましたが、情報の一元化により、横の連携の重要性をあらためて感じました。その意味では組織にとらわれずに自由にコミュニティを形成し、柔軟な発想を産み出すことをサポートするGroupmax Collaborationのコミュニティ機能に注目しています。
実際、営業部門では、横の情報共有を高めたいという要望もあり、営業支援ツールとしての活用を今後は検討したいと思っています」と古屋氏は語る。
長い歴史の中で培われた伝統と信頼を大切にしつつ、新しい時代の変化をチャンスととらえ、大胆な業務改革に挑む松坂屋を日立の電子フォームワークフローセットとGroupmax Collaborationは支えている。
松坂屋 新システム概要
USER PROFILE (2006年6月現在)
株式会社松坂屋
[本社] 名古屋市中区栄3-16-1
[創業] 1611年
[創立] 1910年
[資本金] 97億6,500万円
[従業員数] 3,063名(2006年2月末現在)
1611年に名古屋本町で呉服小間物商を始め2011年には創業400周年を迎える老舗百貨店。中京地区を中心に全国8店舗を展開。不振店を整理する一方、上野店の全館再構築や本店北館の大改装に着手するなど事業の“選択と集中”を徹底。低迷に悩む百貨店業界の中にあり、2006年2月期の連結決算で2年連続の黒字を計上した。