日立オープンミドルウェアで 「新聞購読者管理システム」をオープン化
現行業務の継承と情報資産の有効活用を図るため、 仙台に本社を構える株式会社建設新聞社(以下、建設新聞社)は、 SIパートナーである株式会社ニッセイコム(以下、ニッセイコム)とともに、 メインフレーム資産をオープンシステムに移行するマイグレーションを実施しました。 資産の移行には「COBOL2002」、「HiRDB」、「XMAP3」、「JP1」といった 日立オープンミドルウェアが活用され、運用コストの低減と環境変化に即応できるIT基盤の構築を支援。 操作性や運用性はそのままに、より柔軟でスピーディな情報活用環境を実現しています。
株式会社
建設新聞社
代表取締役
社長
河合 良太郎 氏
1951(昭和26)年の創業以来、岩手、宮城、福島を含む東北6 県の建設情報を日刊紙「建設新聞」と月刊誌「東北ジャーナル」 の紙面で発信し続けている建設新聞社。1998(平成10)年には インターネットホームページ「AOSIN-WEB」を開設し、その充実 したデータベースや独自コンテンツは、建設業界や官公庁、商社、 設計事務所などから重要な情報源として広く活用されています。
「当社は建設業界の健全な発展と向上に寄与することをモッ トーに、東北6県の建設発注計画や官庁発注の公告、入札情報、 民間企業の建設計画情報などを、読者の方々の営業戦略にお 役立ていただけるよう、迅速・的確に報道してきました。このたび 発生した東日本大震災についても、被災地の報道機関の使命 として、震災からの復興に向けた取材活動を全力で続けていま す」と語るのは、代表取締役 社長の河合 良太郎氏です。
株式会社
建設新聞社
常務取締役
編集事業部長
河合 良紀 氏
同社の基幹業務を支えるお客さま管理や売上/入金管理な どの「購読者管理システム」は、これまで日立のメインフレーム (VOSK/LS)で稼働してきましたが、ハードウェアのリースアップ を契機に、コストパフォーマンスと拡張性に優れたHA8000 (Windows 2008)への移行を決断。
「オフコン時代から継続して20年以上、日立さんのシステムを 利用し続けてきましたが、経営情報のさらなる有効活用や帳票 の電子化などを行うには、やはりオープン基盤への移行が必要 だと考えました。そこで長年、当社のシステム運用を支援してい ただいてきたニッセイコムさんに相談したところ、パッケージベー スで移行するにはカスタマイズが膨大で資産継承も難しいこと がわかり、既存プログラムをそのまま短期間で移行できるマイグ レーションが最適だと判断しました」と総務部 部長の山川 啓蔵 氏はその理由を説明します。
株式会社
建設新聞社
総務部 部長
山川 啓蔵 氏
依頼を受けたニッセイコムは、「現行業務を変えることなく、 オープン環境で継続運用させる」ことを目的としたプロジェクトを 2010年9月からスタート。同社が長年蓄積してきたマイグレーショ ンのノウハウと独自ツールに加え、COBOL85の業務ロジックをそ のままコンバージョンできる「COBOL2002」や、索引ファイル入出 力文を流用することで移行工数を削減する「HiRDB」など、さま ざまな日立オープンミドルウェアを活用しました。
画面系と帳票系は「XMAP3」によって使い慣れたCUI(*1)画 面を再現したほか、バッチ処理や月次決算に利用されていた ジョブネットも「JP1/AJS3(*2)」によって継続的な自動運用を図るな ど、日立のソフトウェア事業部と密接に連携した効率的な作業に より、実質わずか4か月でのオープン移行を実現。
総務部からの要請で、新システムには「PRINT DATA EXCHANGE」を適 用したPDFファイル出力機能や、データ分析ツールのアドオンに よる柔軟な情報活用環境などが追加され、より使い勝手のよい システムへと進化しました。また、検証作業においてもニッセイコ ムが責任を持って実施。
「ニッセイコムさんに検証作業を行って いただいたおかげでわれわれの負荷を最小限に抑えることがで きました。また、本番稼働後も問題なく動いてお り、対応していただいたSEさんに感謝していま す」と山川氏は語ります。
2011年3月から本稼働を開始した新購読者 管理システムに対し、運用を担当する総務部 主任の千葉 美由紀氏は、「当社が長年積み 重ねてきた独自の運用性や操作性をそのまま 継承できただけでなく、処理スピードも大幅に向 上したのが非常にうれしいメリットです」と笑顔 を見せます。
千葉氏によれば、従来ならバックアップも含めて1時 間以上かかっていた月次処理などのバッチ業務が、新システム ではわずか10分で終了するとのこと。業務用端末も、さまざまな 操作制限があったエミュレータ端末から、一般的なPCへと移行 し、複数画面を立ち上げた業務の並行処理が行えるようになっ た点も、業務効率の向上に大きく寄与しているそうです。
株式会社
建設新聞社
総務部 係長
池田 裕政 氏
一方、「データ分析ツールの導入により、営業戦略の立案など に向けたデータ活用が、迅速に行えるようになりました」と評価す るのは、今回のシステム構築の取りまとめ役となった総務部 係長 の池田 裕政氏です。
「メインフレームでは、データの抽出からPC 上での活用までに、どうしてもデータ変換などでシステム運用者 の手を介在する必要がありました。このため、営業担当者がデー タを活用したいと思っても、なかなか難しい状況があったのです。 しかし現在は、画面上のボタンをクリックするだけで、広告依頼主 別や業種別のデータ分析を、対前年同月比較や月別比較など 多角度から行うことができます。このため営業部署からの要請に 応じた実績データの有効活用や経営判断がスピーディに行える ようになり、高い評価を得ています」と池田氏は続けます。
建設新聞社が導入したシステム概要
株式会社
建設新聞社
総務部 主任
千葉 美由紀 氏
PRINT DATA EXCHANGEの適用で大量帳票の電子 データ(PDF)保存が可能となったことも、運用性の向上とコスト 削減に大きな効果をもたらしています。
「これまでは元帳などを出力する際、数千枚もの紙帳票をプリ ントアウトし、残高が合っているかどうかを確認する作業が発生 していました。しかしPDF出力が可能となったことで、そのような 大量出力がなくなりました。帳票内のデータもPDFなら容易に検 索できるので、必要なもののみプリントアウトする運用が可能とな り、今後はペーパーレス化によるコストダウンが進展していくと思 います」と千葉氏は語ります。
システム基盤をオープン化したことで運用コストも「従来の約 2/3になりました」と山川氏は喜びます。
また今回のシステムは ニッセイコムの提案でサーバと本社および6拠点のクライアントを Windows Server® の機能であるターミナルサービスで仮想クラ イアント環境が構築されています。このため、アプリケーションの 集中管理によるセキュリティ強化と、クライアントPCに対するメン テナンス負担の低減が実現しているのも大きな特長です。これ はユーザーが10〜20クライアント程度のシステムにおいて、基盤 のシンプル化とパフォーマンスを両立させる有効なソリューション となります。
常務取締役 編集事業部長の河合 良紀氏は、「オープン化と データ分析ツールの導入によって、これまでは活用に一手間か かっていた経営情報がいつでも柔軟に利用できる環境が整備さ れました。これを契機に、今後はお客さまのニーズをより詳細に分 析した営業戦略の立案やサービス開発が行えるよう、継続的なシ ステムの進化に取り組んでいきたいと思います」と期待を寄せます。
既存資産をそのまま継承することで、コストとリスクを最小化し ながら、拡張性の高い新たなビジネス基盤をスピーディに構築し た建設新聞社。同社の業務効率向上と営業戦略の強化に向 けた取り組みを、これからも日立はオープンミドルウェアを核とした サービスプラットフォーム製品の拡充と、ニッセイコムとの密接な 連携で、強力にサポートしていきます。
USER PROFILE
専門紙として個人、社会公共に対して責任を持ちな がら確固たる情報提供の理念を持ち、建設業界とと もに輝く未来を築くことを念頭に置きながら、今後 も、より良い日本の国土建設を担う建設産業界とと もに歩み、成長し、発展をめざす。
PARTNER PROFILE
株式会社ニッセイコム
[本社] 東京都品川区大井1-47-1 NTビル
[設立] 1974年2月
[資本金] 3億円
[従業員数] 846名(2011年4月現在)
[事業内容] 情報システム、ネットワークシステムの企画・
構築・設計・運用教育・サポートまでのシステ
ムインテグレーション、アプリケーションパッ
ケージの開発・販売およびASPサービスなど