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ミドルウェア

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企業経営の核となるメインフレーム資産を
日立オープンミドルウェアで新基盤へ移行

経営環境の変化に即応できる戦略的なシステム構築や運用管理コストの低減を図るため、 メインフレーム上の既存資産をオープン環境へ移行し、 新たな資産活用を可能とするマイグレーションが注目されています。

九州を地盤とする医療機器商社 株式会社 ジャムコン(以下、ジャムコン)は、 九州日立電子サービス株式会社(以下、九州日立電子サービス)の協力のもと、 「COBOL2002」、「XMAP3」、「HiRDB」、「JP1」といった日立オープンミドルウェアを活用し、 受発注システムのプラットフォームを「AP7000」から「BladeSymphony BS320」へと移行。 これまでどおりの機能と操作性を維持しながら、 処理能力の向上と柔軟なデータベース活用を実現する戦略的なIT基盤の構築に成功しました。

基幹プログラムは“人”と並ぶ重要な財産

中山 紘吉 氏の写真
株式会社
ジャムコン
代表取締役
社長
中山 紘吉 氏

福岡市に本社を構えるジャムコンは、九州圏を中心に広島から沖 縄までの眼科医や医療機関を対象に、各種医療機器、コンタクトレ ンズ・ケア用品、眼内レンズ、メガネなどを卸販売している医療機器 商社です。

長年の実績とノウハウをベースに、眼科開業のコンサル ティングも行うなど、眼科メディカル分野におけるトータルなビジネスを 展開しています。

同社は1999年、日立のメインフレーム「MP5400」 (OS:VOSK)を導入し、九州日立電子サービスとともに現在まで続く 受発注および売掛・買掛の基幹システムを構築しました。

「当社では、医療機器をトータルでサポートしているため、数多く の商品を取り扱っています。各カテゴリーで扱う商品群はそれぞれ 独自規格を持っており、アイテム数も膨大なため、とても既存のパッ ケージでは対応できません。長年にわたる運用の中で機能強化を 重ね、数々のノウハウを蓄積してきたプログラム資産は、当社にとっ て“人”と並ぶ重要な財産なのです」と語るのは、代表取締役 社長 の中山 紘吉氏です。

このため2005年にはプラットフォームを日立のメインフレーム 「AP7000」(OS:VOSK)に移行し、継続的な運用が図られてきまし たが、オープン基盤で先行開発されていたWeb販売実績システム とのシームレスな連携や、競争力向上に向けた運用管理コストのさ らなる低減などを目的に、基幹システムの全面的なオープン化を決 断しました。

「医療用品の多種化や保険改定などで、より高品質・ 低コストなオペレーションが求められている今こそが、より柔軟で可 視化されたシステムヘの転換期だと考えました」と、システム管理室 室長の原田 和男氏は振り返ります。

オープンミドルウェアによるマイグレーションを実施

2009年8月からスタートした移行プロジェクトのパートナーには、 ジャムコンの基幹システムに長年携わってきた九州日立電子サービ スが選ばれました。

「九州日立電子サービスさんは当社のシステムをゼロから作り上 げ、継続的に進化させてくれた企業です。当社の業務内容を熟知 されているため、機能的にはまったく不満のなかった既存プログラ ムを、そのままオープン基盤へ移行できるマイグレーション提案にも 安心感がありました」と原田氏は説明します。

システム管理室と九州日立電子サービスは、移行対象プログラム を精査し、機能間連携を可視化するための棚卸し作業を行った 後、「COBOL85」との互換性に優れた「COBOL2002」や、画面移行 を容易にし、PDFによる帳票の電子化を可能にする「XMAP3」、 VOSK DBからのストレート移行を実現する「HiRDB」、メインフレー ムのコマンド言語に代わってジョブ制御を担う「JP1」など、さまざまな 日立オープンミドルウェアを活用した移行作業へと入りました。

再教育の必要がない操作性の再現に成功

原田 和男 氏の写真
株式会社
ジャムコン
システム管理室 室長
原田 和男 氏

佐野 正典 氏の写真
株式会社
ジャムコン
システム管理室 主任
佐野 正典 氏

西 昌三 氏の写真
九州日立電子サービス株式会社
ソリューション営業第2部
第1グループ
主任
西 昌三 氏

移行に際して最も留意したのは、「オペレーターに違和感を感じ させない画面配置でした。新システムに移行後、操作性 の変化が原因で受発注業務のスピードが落ちた場合、ド クターや患者さんに多大なご迷惑をかけてしまいます。そ のため、受発注センターのオペレーターに、いかに従来と 同じ操作性でストレスのない業務環境を提供できるかに 力を注ぎました」と語るのは、システム管理室 主任の佐野 正典氏です。

この課題をクリアするため、九州日立電子サービスとと もに現場オペレーターを交えた検証/テストを繰り返しな がら、インタフェースを追及。ほとんど再教育の必要がな い操作性を再現することに成功しました。

一方、AP7000のデータベースからのストレート移行と、 増え続けるデータへの柔軟な拡張性を両立させたのが HiRDBです。「薬事法の規定によって医療機器やレンズ の受発注にかかわる帳票は、5年間の保存が義務づけ られています。当社の場合、月に4万件ほどの売上明細が発生する ため、5年間では膨大な量となります。これほどのデータ量をオープ ン環境でスケーラブルに管理できるデータベースはHiRDBしかあり ませんでした」と原田氏は評価します。

マイグレーション作業を担当した九州日立電子サービスの西 昌 三氏も、「メインフレームとの互換性が高いHiRDBなら READ/WRITE文をSQLに書き直す必要もなく、そのまま動かせ ます。プログラムの改修工数が大幅に削減できたことに加え、お客 さまのデータベース拡張要求にも対応できました。また COBOL2002の適用でビジネスロジックをほとんど修正することなく スムーズに移行できた点も今回のプロジェクトにおける大きな成果 です」と喜びます。

さらにJP1を適用することで、メインフレームと同等のジョブ自動運 用と障害監視も実現。日立オープンミドルウェアを活用した高信頼か つ高効率なプログラムコンバートにより、ジャムコンの基幹システムは 2010年7月、新たなプラットフォームとなった「BladeSymphony BS320」 (OS:Windows ServerR 2003)上での本稼働を開始しました。

受発注センター風景
本社1階の受発注センターでは、約30名のオペレーターが
お客さまからのオーダーに日々迅速に対応している

オープンミドルウェアによる機能拡張で“攻めの戦略”を推進

メインフレームと同等の信頼性と可用性を確保するため、 BladeSymphonyではN+1コールドスタンバイ構成が採用されまし た。「BS320を6ブレード導入し、4枚を基幹システムとWebサーバ、 1枚を待機系、もう1枚をテスト環境に利用しています。高信頼でシ ステムパフォーマンスにも余裕のある環境へ低コストに移行できた ことで、開発業務も一段と行いやすくなりました」と原田氏は語りま す。また、メインフレーム時代に比べて処理スピードも大幅に向上 し、「従来30分弱かかっていた集計業務を、わずか1〜2分で終了 できます」と佐野氏も驚きを隠しません。

九州日立電子サービスからの提案により、帳票運用はXMAP3 によるPDF変換とサーバ管理で、PC上からいつでも内容を確認・ 出力できる電子帳票へと進化しました。これにより、全社的な情報 共有の促進と帳票設計の柔軟性が向上。ストックフォーム紙が必 要だったラインプリンタから、一般的なレーザープリンタでの普通紙 印刷へと移行することが可能となり、ランニングコストの低減にも寄 与するものと期待されています。

「データベースがオープン化できたことで、今後は全社的な情報 活用がさらに進展できると考えています。営業向けに、リアルタイム な在庫情報や戦略的な情報を提供できるシステムを作っていきた いですね」と、原田氏は将来構想について語ります。続けて佐野氏 も「眼鏡販売の直営店の拠点管理システムの構築、転記ミスの心 配のないFAX受発注の自動化など、挑戦すべき課題はたくさんあ ります。新しいIT基盤をベースに業績拡大に寄与する、よりよいシス テムを追求していきます」と力強く語ります。

長年にわたって蓄積してきたコアコンピタンスともいえるプログラ ム資産を、そのまま拡張性の高いオープン基盤へと継承することに 成功したジャムコン。同社のこれからの躍進と企業価値向上を、日 立は九州日立電子サービスとの緊密なパートナーシップのもと、オー プンミドルウェアを核としたサービスプラットフォーム製品の拡充によ り、継続的にサポートしていきます。


システム構成図

USER PROFILE

株式会社ジャムコン

株式会社ジャムコン

[本社] 福岡市南区塩原1-28-23
[設立] 1985年11月25日
[資本金] 7,800万円
[従業員数] 101名(2010年11月1日現在)

PARTNER PROFILE

九州日立電子サービス株式会社

[本社] 福岡市博多区博多駅南2-12-22
[設立] 1970年6月
[資本金] 5,000万円
[従業員数] 318名(2010年10月1日現在)

特記事項

  • この記事は、「はいたっく 2011年1月号」に掲載されたものです。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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