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日立の「Groupmax Collaboration」で情報活用基盤を構築。
番組作りに欠かせない部署を越えた先進コラボレーション環境で
視聴者へのさらなるサービス向上を推進中

東海地区を中心に放送事業を展開する中京テレビ放送株式会社(以下、中京テレビ)では、全社の共通業務インフラとなるポータルシステムの再構築を実施した。情報の速さや正確さが何よりも問われる業種だけに、情報活用基盤が果たす役割は極めて大きい。同社でも早くからポータルシステムを導入し、情報共有や業務の迅速化に役立ててきた。こうした効果を、さらに高めるのが今回の再構築の目的である。 日立のコラボレーションポータル「Groupmax Collaboration(グループマックスコラボレーション)」を採用することで、使い勝手の向上やモバイルでの情報活用を実現。また、組織の枠を超えたコラボレーション基盤としても活用していく。

デジタル放送時代に向けた新たな取り組みを次々と展開

鈴木 則泰 氏の写真
中京テレビ放送株式会社
メディア開発局
情報システム部
部長
鈴木 則泰 氏

岩田 敏裕 氏の写真
中京テレビ放送株式会社
メディア開発局
情報システム部
副部長
岩田 敏裕 氏

デジタル放送への完全移行を控え、新サービスの開発が活発化するテレビ放送業界。その中でも、先進的な取り組みを行っているのが中京テレビだ。

「今後はテレビ局もこれまで以上にシステム力を強化し、新たなビジネスモデルを開拓していかなくてはなりません。当社でもデジタル技術を活用した実証実験や研究開発に、積極的に取り組んでいます」と鈴木氏は語る。

その一つが、ワンセグ放送を利用した情報提供サービスだ。この実証実験では、ワンセグ放送と携帯電話のGPS機能を連携。視聴者が番組を観ている場所から一番近い店舗のクーポンや電子チラシを、配信することに成功した。

また社内業務の効率化に向けても、新たな取り組みを次々と展開。最近ではコンテンツマネジメントシステムを自社開発した。

「現在ではデータ放送や携帯サイト、Webサイトなど、さまざまなチャネル向けのコンテンツを管理し、番組と連動させて更新しなくてはなりません。こうした複雑な作業がタイムリーに行える製品が見当たらなかったため、自社開発を行いました」と岩田氏は語る。こうした技術力の高さが、同社が提供するさまざまなサービスを支えているのである。

ワンセグ放送を利用したサービスの実証実験画面
ワンセグ放送と携帯電話のGPS機能を利用した
情報提供サービス実証実験の画面。

一歩進んだ情報活用を目指し「Groupmax Collaboration」を導入

同社では、1999年にグループウェアを導入し、メールや掲示板の活用を推進していた。しかもこの環境を、当時としてはまだ珍しいWebシステムで実現したのである。

「特定のOSやプラットフォームに依存したくなかったというのがその理由です。製品に日立の『Groupmax Version3』を選択したのも、Web対応であることが大きな決め手でした」と鈴木氏は振り返る。

Groupmax Version3は、その後数年間にわたって同社の業務を支えてきたが、2004年後半頃より、再構築に向けた検討を開始した。

「メールや掲示板は当たり前の存在になりましたが、次の課題となったのがスタッフ間のコラボレーションです。社内で何か作業を行うにしても、スケジュールや仕事の流れを管理するのは紙ベース。こうした部分もサポートできるインフラが必要だと感じました」と鈴木氏は続ける。そこで新たに導入されたのが、日立のコラボレーションポータル「Groupmax Collaboration」だ。

これまで構築してきた環境を継承しつつ、より効果的なコミュニケーション/コラボレーションが実現できる環境を目指したのである。

ユーザーの利便性を追求しつつセキュリティも強化

廣瀬 茂貴 氏の写真
中京テレビ放送株式会社
メディア開発局
情報システム部
廣瀬 茂貴 氏

同社のシステムの特長としては、ユーザーの利便性に最大限の配慮が払われている点が挙げられる。たとえば、一つのポータルで自分の業務がすべて行えるよう、画面上に業務システムのアイコンを配置。しかも属性や権限に応じて、必要なアイコンだけが表示され、関係のない機能は最初から表示されないため、直感的にシステムを利用できるのだ。さらにメンテナンス中には、アイコンが「工事中」のデザインに変わるといった工夫も施されている。

また、安全性と利便性を両立させるための仕組みも盛り込まれている。

「当社ではセキュリティ強化の観点から、ネットワークや業務システムごとに個人認証を行っています。とはいえ複数のパスワードを管理するのは、ユーザーにとって負担が重い。そこでGroupmax Collaborationと認証システムを連携させ、シングルサインオンで利用できるようにしています」と廣瀬氏は語る。

現在利用されている主な機能は、メール、掲示板とスケジューラを利用した施設予約など。

「会議室だけでなく、スタジオや中継車、編集室などの施設についてもポータルから予約を行います」と鈴木氏。番組制作を担当するスタッフからは、「たとえ深夜の時間帯でも、編集室が空いていたら使いたい」といった要望が寄せられる。その点、ポータル画面で確認すれば、施設の空き状況をリアルタイムで確認することが可能だ。

さらに、今回から新たに加わったのが、携帯電話連携機能である。
社外でもメールを読みたいというニーズは以前から強かったが、これまではセキュリティ上の問題から実施を見送っていた。自宅へのメール転送などを許可して、もし、情報漏えい事故が起きたら大変だからだ。

しかしGroupmax Collaborationの携帯電話連携機能を利用することで、いつでも・どこでもセキュアな状態で会社宛のメールを読み書きできるようになったのだ。

中京テレビのポータル画面
中京テレビのポータル画面。
ユーザーの利便性に配慮し、属性や権限に応じて、必要なアイコンだけが表示される。

組織の枠を超えたコラボレーションを推進

石平 麻衣子 氏の写真
中京テレビ放送株式会社
メディア開発局
情報システム部
石平 麻衣子 氏

Groupmax Collaborationの使い勝手に対しても、高い評価が寄せられている。

「たとえばメール機能についても、以前はWebメールならではのいろいろな制限がありました。しかし現在では、一般的な電子メールソフトと同等の感覚で利用できます。受信者がメールを開封したかどうかも確認できるので、情報伝達がさらに正確になりました。この他にもさまざまな機能強化が図られているので、使い勝手は大幅に向上しました」と石平氏。

新システムへの移行にあたっては、ユーザーの混乱を防ぐために、あえて半年間の並行稼働期間を設けた。このため「操作方法についての基本的な問い合わせなども、今ではほとんどありません」(石平氏)とのことである。

今回のシステムは、さまざまなシステムと連携しているが、こうした作り込みも比較的容易だったという。「日立にも支援してもらったおかげで、従来通りの運用を維持しつつ、新機能を追加できました」と廣瀬氏は語る。

新たな情報インフラを実現した中京テレビだが、本格的な活用はこれからが本番となる。

「テレビ局では制作部門や事業部門、営業部門など、複数の部門が連携して一つのプロジェクトを進めるケースが少なくありません。こうした際に電子会議室やコミュニティ機能を利用すれば、懸案であった組織の枠を超えたコラボレーションが実現できます」と岩田氏。

「情報共有のためだけに会議を開いたりする必要がなくなる上、セキュリティも確保できます。現在は本格展開に向けた詰め作業を行っている最中ですが、できるだけ早くユーザーに提供していきたい」と鈴木氏も抱負を語る。

テレビ放送事業を支える次世代の情報活用基盤として、Groupmax Collaborationが今後も活用されていくのである。

中京テレビの新システム概要
中京テレビの新システム概要

USER PROFILE

中京テレビ放送株式会社

[本社] 愛知県名古屋市昭和区高峯町154
[設立] 1968年3月1日
[放送開始] 1969年4月1日
[資本金] 10億5,600万円
[従業員数] 267名(2006年10月末現在)

愛知、岐阜、三重をサービスエリアとするNTV系列の放送局。デジタル技術を駆使したさまざまな実証実験を行うなど、デジタル放送時代を見据えた新たな取り組みも積極的に実施している。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ2007年4月30日号」に掲載されたものです。
  • CosminexusGroupmax Collaborationの詳細については,ホームページをご覧ください。
  • その他記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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