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仮想ワークスペース・VDI

ラボ室長が行く!第3回「VDI導入に立ちはだかるコストの壁(2)」

VDI基盤の見積もりを複数のベンダーから取得しましたが、どれもかなり高額です。 要件を見直すことでもっと安くなる方法はないのでしょうか?

現在PCでやっていることをVDIで単に仮想化の仕組みの上に持ってくるだけでは費用はむやみに膨らむ一方です。 「仮想デスクトップ上でのアプリケーションの利用形態」に着目してコスト圧縮の可能性を見ていきましょう。

コストで比較  VDI方式

今までのHDD付きPCの利用では、エンドユーザーごとにアプリケーションを自由に入れていたという状態だとします。

このままでVDIに移行するなら、「仮想PC方式」を選択しWindows® のOSとアプリケーションの格納されるCドライブを仮想基盤の上に移行します。OSやアプリケーションは何も変わらないので、既存クライアントOS運用との連続性が確保されます。
しかし、これでは通常PC内蔵の単価の安いHDDが、データセンター設置で可用性も高いが値段も高いストレージに置き換わることになり、単に数倍のコスト増になったというだけです。

本当にその個別アプリケーションを使い続ける必要があるのでしょうか?

業務の必要性を再検討すれば不要になるものも多くあるのが現状です。VDI 検討をきっかけにアプリケーションの大掃除をやってみませんか?

「どのPCにどんなアプリケーションが入っているのか調べるのが大変だ」という場合は、作業員が現物のPCを棚卸し調査する「PCソフトウェアライセンス棚卸代行」や「IT資産管理サービス」などをうまく利用するのも良いでしょう。 別途突然発生するソフトウェアベンダーのライセンス監査など非常に手間がかかる場面でもスムーズに進めることができます。

アプリケーション利用の標準化が可能になるとVDIのメリットである「確実で手間のかからない効率的なメンテナンス」が現実のものになってきます。 OSにMicrosoft® Office等の共通アプリケーションを入れてマスター化します。マスターを共有すれば、同じファイル構成のCドライブが重複排除された状態になり、必要なストレージ容量を大幅に削減できます。

アプリケーションの仮想化を組み合わせれば、マスター化した上に、必要な人に準備されたアプリケーションを配信できます。アプリケーション仮想化はすべてが動作するわけではありませんが、使う人が限定される有償アプリケーションを効率良く配布するには適しています。アプリケーション仮想化では動作しないアプリケーションがどうしても必要な人には、単純移行の仮想PCを用意し個別にアプリケーションを入れてもらう、ということになります。

また、アプリケーションがWindows® 7/8ではなく、Windows® サーバOSで動作可能となれば、さらにコスト圧縮の手があります。 VDI上でクライアントOSを利用するには、Windows® Virtual Desktop Access(VDA)という年契約のライセンスが必要です。これに比べてWindows Server® 2008 R2等のサーバOSであればDatacenter Edtionという1仮想サーバ上で無数のOS利用が可能なライセンスがあり、1サーバの集約率をある程度高めることで5年間のコスト比較で有利になります。

さらに、1つのサーバで稼働サーバOSを共有化する「ターミナル方式」を採用できれば、サーバのリソース効率も上がり必要サーバ数を減らすことができます。サーバ数が減れば「サーバ仮想化」の場合と同様、データセンタ費用や電気代、運用のための運用ソフトウェア等の費用も抑えることができます。

以上のようにアプリケーションの利用形態によってVDI基盤の構成を工夫することによって調達コストの圧縮が実現できます。

想定される削減効果を算出してみましょう。

比較表

前回ご紹介したように、シンクライアントにすると故障時のコスト等が圧縮できますが、直近でPCをリプレースしてしまった方は、すぐにシンクライアントを買いなおすということは現実的ではありません。しかし、ここでも工夫があります。

Windows® VDA(Virtual Desktop Access)の特典として Windows® Thin PCという「PCをシンクライアント化」できるOSが使えるようになります。VDIの対象となる部署から既存PCをこのWindows® ThinPCでシンクライアント化していけば端末に対するコスト圧縮が実現できます。 さらに、サーバ方式のターミナル方式でもデスクトップ仮想化の製品次第では、既存PCをシンクライアント化するOSが提供されるものもありますので、検討に加えてみてはいかがでしょうか。

導入したいシステムによって、削減できるコストは異なります。
導入コストでお悩みの方は、お気軽にラボ室長にお問い合わせください。