第153回定時株主総会において、執行役社長小島啓二より、日立グループのめざす姿と成長戦略についてご説明申し上げました。以下はその内容です。
日立は、このたび、2024年度までの新たな中期経営計画「2024中期経営計画」をスタートしました。この新しい中期経営計画において、日立は、「プラネタリーバウンダリー」を超えないよう、地球の環境を守りながら、人々の幸せ「ウェルビーイング」が保たれた、持続可能な社会の実現をめざします。
この目標を達成するため、日立は、「グリーン」「デジタル」「イノベーション」の3つを重点領域として、成長していきます。「グリーン」では、カーボンニュートラルをめざすとともに、社会やお客さまに環境価値を提供します。「デジタル」では、Lumadaソリューションの提供に注力します。「イノベーション」では、2050年を見据えた研究開発や外部との連携を推進します。また、経営の効率化とスピードアップ、そしてお客さまとの協創による成長を加速するため、提供する価値の近い事業をまとめ、経営体制をシンプル化しました。これまで5つあったセクターを、「グリーンエナジー&モビリティ」、「デジタルシステム&サービス」、「コネクティブインダストリーズ」の3つに再編しました。これらに、日立Astemoのオートモティブシステム事業を加えた事業体制としています。
新しい事業体制における、それぞれの事業と成長戦略について、ご説明致します。
まず、エネルギー・鉄道事業を展開する「グリーンエナジー&モビリティ」では、脱炭素に向けたエネルギー転換と安全・快適でクリーンな移動サービスを提供します。パワーグリッドや鉄道システムなどにデジタル技術を融合することで、環境や人々の生活に価値を提供し、事業の成長を図っていきます。
「デジタルシステム&サービス」は、先進的なデジタルソリューションやITプロダクツを提供しています。昨年買収したGlobalLogic社の高いデジタルエンジニアリング力と、高い信頼を得ている日立のIT技術を掛け合わせて、デジタルトランスフォーメーションを実現し、日立も成長していきます。
多様な製品群を有する「コネクティブインダストリーズ」では、「コネクテッド」、機器や設備を「つなぐ」、がキーワードです。競争力の高いプロダクトにデジタル技術を組み合わせたサービスを提供することで、産業と社会を革新し、成長をめざします。
「日立Astemo」では、自動車・モーターサイクルの電動化や、先進運転支援システム・ソフトウェアなど、次世代技術の開発に注力して、成長をめざします。
これらの社会イノベーション事業において、進化の鍵となるのが、Lumadaです。
日立は、各事業において、Lumadaを用いて、お客さまが直面する課題を把握し、その解決方法を創出して、実装します。さらに、その運用・保守まで実施した上で、次の課題解決にお客さまとともに取組む、という価値協創のサイクルを構築してまいります。このようなLumadaソリューションによって、社会イノベーション事業の高収益化を図り、お客さまとともに成長していきます。
一方、現在は、世界情勢が目まぐるしく変化する大変厳しい経営環境にあります。
持続可能な経営を実現するためには、事業の拡大に伴って増大するリスクにも対応する必要があります。日立は、グループ全体で想定されるグローバルなリスク情報を本社に集約し、リスクに、先行して対応する体制の確立を推進しています。想定される重要リスクに、先手を打って対応し、成長の阻害要因を最小化することで、成長の機会を最大化していきます。
日立の使命は、社会イノベーション事業を通じて、データとテクノロジーで持続可能な社会を実現することです。日立は、新しい中期経営計画のもと、グリーン・デジタル・イノベーションでグローバルに成長する企業に進化します。その成果を、環境や社会の人々などの全てのステークホルダーに還元していきます。
株主還元の拡大にも努めてまいりますので、引き続きのご理解・ご支援をお願い致します。