鉄鋼制御技術の世界では、従来の高信頼、高品質制御、フレンドリーなヒューマンマシンインターフェースなどだけでなく、IT技術を使った広範囲なシステム統合(業務統合、メディア統合、遠隔統合など)、多様なニーズ(省エネルギー化、ソリューションシステム化、リエンジニアリング性)の取り込みなどに対する、新しい要求が寄せられています。日立の制御技術は、これらのご要望に応えるべく、日々進化していきます。
(株)日立製作所の鉄鋼モータードライブシステムは、主機ミルや補機などの可変速モーターを駆動する制御ソリューションを提供しています。エネルギー効率良く回生機能付きのPWMインバータードライブシステムを全てのラインに適用し、高効率電力変換・リアルタイム高応答・高精度・高い信頼性&堅牢性&保守性を実現します。さらに、IoT(モノのインターネット)のような先進のITと鉄鋼プラント制御システム技術の融合により、高品質かつ安定操業および高級・高機能材の生産やその生産性向上に貢献しています。
(株)日立製作所は、鉄鋼モータードライブシステムのグローバル展開を通じて、世界中の製鉄会社の効率経営に貢献していきます。
PWM(Pulse Width Modulation)インバータードライブシステム:
交流電源を直流に変換したり、逆に直流電源を交流に変換する過程で、電力半導体スイッチを駆使しながら電圧・周波数を制御してモーターを自由自在に回転させるシステム。
様々な鉄鋼プロセス(高炉、連続鋳造、熱延、冷延、メッキライン、焼鈍ライン、等)に関して豊富なノウハウに基づいた数値計算モデルやプロセス情報管理システムを提供します。例えば、熱延の場合、数値計算モデル(セットアップ計算モデル、巻き取り温度制御モデル、形状制御モデル)により、設備能力を考慮に入れながら、目標の板厚、板幅、最終温度、形状(板クラウン、平たん度)を実現する最適なスケジューリングを自動計算します。これらの数値計算モデルは、目標値と実績値の差から次鋼板の目標値を補正する自己学習機能を搭載することで、更なるスケジュール計算精度の向上を実現しています。また、プロセスコンピューターシステムは、熱延設備から取り込んだ鋼板温度や圧延の実績データから熱延コイルの冶金特性や機械特性の変化を推定する材料予測システムも提供しており、圧延済みのコイルに対し、各パラメータを変更することで、冶金特性や機械特性の変化をシミュレーションできます。これにより圧延直後の品質レポート、圧延スケジュール構築支援、鋼板品質検査工程の簡素化を実現します。
鉄鋼プラントでは、製品鋼板の品質や歩留り改善のために、板厚公差外れの縮減や板破断の防止、形状安定化などが求められます。
これらの改善には要因分析が不可欠ですが、多様な鋼種、板厚、板幅を生産するため、人手による解析には膨大な時間を要するとともに、解析者のスキルによる結果のばらつきといった課題があります。
これらの課題に対し、日立が築いてきた豊富な知見をいかし、プラントから採取したデータの戦略的利用を目的としたソリューションが、知的操業保守支援システムHITSODAS(Hitachi Self-Organized Diagnosis and Analysis System)です。
HITSODASはプラントからのデータ収集、データのグラフ表示等をサポートした基本機能であるHITSODAS-BASEと3つの拡張機能であるHITSODAS-QA(Quality Analysis)、HITSODAS-DS(Dynamic Synergy Control)、HITSODAS-PH(Process Human Interface)より構成されます。
モーター電流予兆診断ソリューションは、モーターの電流データを収集し、AIを活用した日立独自の予兆診断アルゴリズムで分析し、異常度として可視化することで、効率的な投資による設備の安定稼働を実現します。
お客様の鉄鋼プラント設備制御システムが日立から納入された後、各システムにかかる運用・保守(O&M)契約をいただくことにより、設備の長期安定&高効率な稼働を実現する制御システム安定稼働サービスを提供開始しました。 各種O&Mサービスにより、お客様の設備停止リスクを最小化し、O&M業務の課題解決力を最大化します。 日立は、O&Mの豊富な専門知識と重要な知見を蓄積しており、モータードライブシステム(L0)から鉄鋼制御システム(L1, L2)までの全システムにわたってO&Mサービスをご提供して参ります。