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コラム

生産現場にロボットを導入する企業が急増!
これからの生産を支えるロボティクスSIとは?

生産現場にロボットを導入したイメージ

物流の2024年問題をはじめとして、労働力の不足が問題となる中、製造業や物流業界を中心に生産現場や物流倉庫へのロボット導入が急速に進んでいます。ロボットの導入は、生産効率の改善や労働力不足の解消など多くのメリットをもたらしてくれますが、近年注目を集めているのがロボティクスSI(System Integration)です。本記事では、ロボットの導入やロボティクスSIがどのようにして生産現場を変革し、進化させているのかについて紹介していきます。

目次

  1. なぜロボットを生産現場に導入する必要があるのか?
  2. ロボット活用のメリット
  3. ロボティクスSIを活用する

なぜロボットを生産現場に導入する必要があるのか?

ロボティクスSIについてお話しする前に、そもそもなぜ生産現場や物流の現場にロボットを導入するのかを確認しておきましょう。

生産現場や物流の現場のみならず、企業は生産性を常に上げ、利益を確保しないと競合他社との競争に勝てなくなってしまいます。限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)を最大限に活用する( = 高い生産性)体質を維持しておかないと、企業は生き残れないのです。それゆえ現場では常に効率の向上が求められ、無駄を省く努力がなされています。

また、企業におけるもう1つの深刻な問題には、労働力の不足があります。日本は少子高齢化の問題が叫ばれて久しいですが、実際に2019年以降は労働力の減少が顕著になっており、2030年には600万人以上の労働力が不足するとの調査報告もあります。今後国も国策として対策を強化していくことと思われますが、人口や労働力の問題はすぐには解決に至りません。

工場などの場合、以前はこのような問題に対して海外に生産現場を移管することが盛んに行われました。人材が豊富で賃金も安い海外で、生産性向上と利益率の向上を同時に行おうとしたのです。ところがカントリーリスク(政治や経済、社会的状況など)や宗教、民族性の問題があり、立ち上げに時間とコストがかかる、品質が上がらない、国の方針転換で撤退せざるを得ないなど、多くの問題が起きています。結果として2008年のリーマンショック以降、円安による海外生産コストの高騰や調達リスクなどの理由から、一部の企業では国内回帰(海外に生産拠点を移したり、製造業務を海外委託したりすることをやめ、再び国内に持ち帰ること)が進んでいます。

これらの問題に対し、生産現場や物流の現場にロボットを導入することは有効な解決策になります。次章ではロボットを活用するメリットについて説明していきましょう。

ロボット活用のメリット

生産現場や物流の現場でロボットを活用することには、以下のようなメリットがあります。

作業効率の向上

ロボットは、効率的かつ正確にプログラムされた作業を行うことができます。これにより作業効率が向上し、生産性も向上します。また、24時間365日稼働することも可能なので、製品の作り置きや夜間の格納作業などにも対応できます。

品質の向上、企業の信頼度向上

ロボットは高い精度で動作するので、歩留まり率や製品の品質が向上します。物の製造においては一定の品質をブレなく維持できるので、企業の信頼度や顧客満足度を向上させることにも寄与します。

労働力不足の解消

労働力不足の解消は、ロボット導入の大きなメリットの1つです。ロボットに工程を任せることにより属人化が解消され、急な離職や欠勤などによるリソース調整の必要がなくなります。ロボットの導入はただ単に工程の1つをロボットが肩代わりするだけでなく、工程を管理する作業者の負担軽減にもつながるのです。

作業環境の改善

ロボットの導入により作業の進捗が明確化され、予定も正確に把握できるようになるので、生産現場の作業環境改善につながります。無駄な残業や休日出勤が減ることにより、離職率の改善にもつながります。またその工程が危険を伴うものであった場合には、作業の危険性も排除されます。加えて無駄な残業や休日出勤が減ることにより、離職率の改善にも寄与します。

コストの削減

不安定な品質やミスによる手戻りは、無駄なコストを発生させます。ロボットの導入は人件費や労働コストの削減に寄与しますが、このような企業の信頼度や顧客満足度に影響するような問題も軽減できます。

競争力の維持

優れた人材の確保(離職率の改善)や高い生産性と利益率、イノベーションの促進は、すべて企業としての力になります。競合他社に対して競争力を維持するためには、ロボットの導入が強い味方となります。

ロボティクスSIを活用する

ロボティクスSI(System Integration)とは、ロボットの導入や工程の自動化を検討しているお客さまと課題を共有し、適切な自動化システムを構築するための取り組みです。またロボティクスSIを提供する企業をロボティクスSIerと呼び、生産現場や物流倉庫などにロボットを導入する際には、多くの実績をもつロボティクスSIerに相談するのが課題解決への近道です。ロボティクスSIを活用するメリットには以下のようなものがあります。

作業分析(状況分析)

ロボティクスSIerは現在の作業環境を分析し、作業効率化のための自動化プランを策定します。また効率化だけでなく、過酷な環境や危険な環境での作業をロボット化することによる作業環境改善の提案も行ってくれます。ロボット化というとどうしても効率化だけに目が行きがちですが、作業環境の改善は優れた労働力の確保や労働災害の防止にもつながります。

コンサルティング

ロボットの導入実績を豊富にもつロボティクスSIerであれば、上記のような分析をもとに省力化や効率をアップするための最適なコンサルティングを受けられます。ロボティクスSIerを選択する場合には、多くの実績と幅広い経験をもち、統合的な自動化ができるSIer(ロボットだけでなく統合的なシステムや制御プログラムなどをもつSIer)を選ぶべきでしょう。

導入規模の選定

ロボティクスSIerは、生産現場の規模に合った自動化のプランやロボットの導入プランを提案してくれます。自動化は過剰であればコストの無駄になり、適切な規模に達していなければ期待していた効率化を達成できなくなります。生産現場のどこに自動化の要があるのか、実績を豊富にもつロボティクスSIerであれば、最適な導入規模を選定してくれるはずです。また、構想段階でシミュレーションを行うことで、設計の効率化、品質確保、現地試験の短縮にも寄与します。

総合的・統合的な自動化検討

ピッキングロボットやパレタイズロボット、AGV(無人搬送機)などのロボットは、単体で導入してもその効果は限定的です。例えば物流の現場であれば、自動倉庫や物品搬送コンベア、空中搬送装置、パレタイザー、デパレタイザー、WCS(倉庫制御システム)などと組み合わせて運用することにより最大の効果を発揮します。ロボティクスSIerは、ロボットだけでなく、これらのシステムを総合的かつ統合的に制御できる実力をもっている必要があります。ロボティクスSIerを選択する際には、これらの実績の有無も確認しておきましょう。

構築

多くの実績と経験をもつロボティクスSIerであれば、自動化の構想策定や要件定義、設計、製作、現地試験までトータルでサポートすることが可能です。生産現場や物流の現場での構築は、優れたロボティクスSIerの選択が実稼働までの時間と効率、そして費用を左右します。

アフターサポート

ロボットや自動化のシステムは、導入してそれで終わりではありません。効果についてはPDCAサイクルを回して問題点を見つけ、改善していかなければなりません。また、設備の安定稼働のためには定期的な保守点検も必要になります。ロボティクスSIは、このようなサービス・サポートが充実している事業者を選ぶことが重要です。

ロボットの導入は、現在生産現場で問題となっている「効率向上」や「労働力不足」という課題を解決してくれる最適な手段です。ロボットのテクノロジーは日々進化しているので、今後はロボットとDX、AIを組み合わせて最適解を導き出せるロボティクスSIerとの連携が課題解決のカギになります。ロボティクスSIerを選択する際は、幅広い経験と実績をもち、統合的な課題解決ができるロボティクスSIerを選びましょう。

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