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Hitachi

小沢 康弘
サプライチェーン最適化における
事業戦略レイヤーを担うエンジンとして。

株式会社日立ソリューションズ
産業イノベーション事業部

デジタルエンジニア小沢 康弘

日立の最適化ソリューションを支えるエキスパートを紹介するインタビューシリーズ。今回話を聞いたのは、日立ソリューションズの小沢康弘。お客さまとの協創プロジェクトの成果が製品として販売に至った「グローバルSCMシミュレーションサービス」や、日立の計画最適化ソリューションの中で担う役割などについて語ってもらいました。

Q1 これまでの経歴を教えてください

学生時代には数学を専攻していました。IT系企業に2年間勤務した後に日立ソリューションズに入社して、自治体の公共システムの構築を担当しました。その後、販売管理、在庫・購買管理、生産管理を中心としたロジスティクス領域のBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を行うSAP R/3コンサルタントとして、関西地域の化学系メーカーや医薬品ロジスティクス企業向けのERPシステムの構築に従事。この間に、製造業やサプライチェーンに関する多くの業務知識を学びました。お客さまとの協創プロジェクトでは数理解析技術を用いたサプライチェーンシミュレーションシステムのPoV(価値実証)を、責任者として推進。実用化した生産・販売計画の立案・実行ソリューションは、「グローバルSCMシミュレーションサービス」としてそのほかのお客さまにも提供できるようになりました。

SAP、およびその他のSAP製品、サービスは、ドイツおよびその他の国々におけるSAP SEまたはその関連会社の商標または登録商標です。
※ ERP:
Enterprise Resource Planning
※ PoV:
Proof of Value

Q2 最適化のどのような業務を担当していますか

日立ソリューションズではSEとしてシステムインテグレーションも行っていますが、サプライチェーンの最適化にはコンサルタントとして関わることが多いです。日立の最適化チームの一員として、DXでこういったことをやりたいというお客さまの要望に対して、解決方法を紹介したり、提案したりしています。「グローバルSCMシミュレーションサービス」を協創したプロジェクトでは、ヒアリングした課題に対してITでどのような解決を図ることができるかを示し、実際にソリューションを使用して得た最適解を検証して、その結果から業務への適用シーンを拡大できないかを模索するPDCAプロセスを繰り返し実施しました。またその過程で、現状におけるコストや売り上げのシミュレーションに加え、需要が拡大したときに社内の余力を使ってどのくらい生産量や売り上げを増やせるかといった予測を示すことで、ソリューションに対してより高い評価をいただくことができました。

小沢 康弘

Q3 グローバルSCMシミュレーションサービスとは

「グローバルSCMシミュレーションサービス」のコア技術は、数学の線形計画法に基づくシミュレーション技術です。ソリューションとしては、サプライチェーンをデジタルツイン上に再現して、どこの拠点で何を製造すれば最も利益が出るかを判断するというものでした。もともとは研究所とともに開発した技術で、主に製造業における物流の課題を解決するために使っていました。そのエンジンが将来の利益や売り上げを予測したいというお客さまにも適用できるのではという検討が2018年に始まり、日立として取り組んだ協創プロジェクトで採用されました。結果として、それまで製造・販売施策の担当者が手作業で長時間かけて立案していた計画を、短時間で従来の約60倍ものパターンを作成でき、意思決定までに要する時間も大幅に短縮できることが実証されました。

Q4 機能を拡充した目的と、それに対する反応は

協創プロジェクトで実用化されて成果を認められた技術が、「グローバルSCMシミュレーションサービス」として提供開始されたのが2020年でした。そして2022年には、それまでの利益や売り上げに加えてCO2排出量をシミュレーションできる機能を追加しました。製品を製造するためにかかるコストとその過程で排出されるCO2に対する考え方は似ていて、ソリューションの機能拡充は比較的スムーズに進めることができました。コストとともにこれからの経営判断の重要な要素になるCO2排出量を加えることは、企業のレジリエンス強化に貢献することを目的とした機能の拡充でしたが、お客さまの関心も高く、今ではサプライチェーンの延長線上にあるSXやカーボンニュートラルも私たちの担当領域となっています。

※ SX:
Sustainability Transformation

小沢 康弘

Q5 最適化における日立の強みはなんでしょう

例えば「グローバルSCMシミュレーションサービス」も、その根底を支える線形計画法という数理最適化技術はAIのように新しい技術ではありません。日立の研究所で20年以上前から研究開発を続けてきたものです。このように時間をかけて積み上げてきた技術とノウハウの厚みというのは日立ならではの強みだと思いますし、私たちはその成果をソリューションという形で活用していることになります。また研究開発部門にもフラットに依頼ができて、研究所で培ってきた技術を活用するにしても、課題解決に向けた新技術を開発するにしても、ワンチームとして取り組める環境が整っていることも強みだと思います。

Q6 今後に向けた取り組みと最適化でめざしていきたいもの

今後サステナブルな社会に移行していくに伴って、企業も自社事業のポートフォリオを大きく見直す必要が出てきます。拡大させる事業、縮小する事業、M&Aといった変化要素が経営にどう影響するのか、利益、供給量、CO2排出量の3つの観点でシミュレーションすることで、事業としてめざすべき姿を導き出し、向かうべき方向性の裏付けを示すのが「グローバルSCMシミュレーションサービス」です。サプライチェーン全体の最適化にあたっては、お客さまの課題や要望に応じて日立が持つさまざまなソリューションを組み合わせて実現していくことになります。そうした中で、事業戦略レイヤーにおけるエンジンの役割を担い、企業と社会のサステナビリティな変革に貢献していきたいと考えています。

プロフィール

経歴

販売管理、在庫・購買管理、生産管理を中心としたロジスティックス領域のBPRを行うSAP R/3コンサルタントとして、ERPシステムの構築に従事。ダイキン工業化学事業部との協創による数理解析技術を用いたサプライチェーンシミュレーションシステムPoV(価値実証)の結果を製品としてリリース

担当業務(得意)領域

  • 製造業戦略シミュレーションを用いた経営戦略立案支援
  • サプライチェーン全体のCO2発生量評価・シミュレーション

これまでの主な実績

  • 化学メーカー:戦略シミュレーション

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