株式会社 日立製作所
インダストリアルデジタルビジネスユニット
トータルシームレスソリューション統括本部
TSSコンサルティング本部
コンサルタント小川 敬大
日立の最適化ソリューションを支えるエキスパートを紹介するインタビューシリーズ。今回話を聞いたのは、エンジニアリングの上流工程でソリューション導入へとつなぐコンサルティングを担当している小川敬大。SCM(サプライチェーンマネジメント)やロジスティクス分野における豊富なSI経験に基づく現在の業務や、最適化拡販のための取り組みなどについて語ってもらいました。
学生時代からロジスティクスや生産管理に関する研究をしていて、卒業論文のテーマも「配送ルートの最適化」でした。卒業してからも同じような分野のビジネスや研究に携わりたいと考えてメーカーや商社、シンクタンク系などを対象に就職活動をしていた中で、めざしていたテーマに最も近い研究をしていた日立の生産技術研究所(当時)を選びました。入社後は、日立の事業部やグループ会社、製造業や流通業のお客さまに、 SCMやロジスティクスに関する業務構築、システム構築を行うプロジェクトに参画してきました。
私が担当しているのはエンジニアリングの上流工程にあたるコンサルティング業務で、お客さまのお困りごとやご要望、めざす姿を引き出し、日立が持つソリューションによる解決策を提案し実際の導入へとつなげる役割を担っています。そうした業務で求められるのは、日立のソリューションに関する知識に加えて、SCMやロジスティクスの幅広い業務知識とソリューションの導入から稼働までの実践的な経験とノウハウです。中でも重要なのは、お客さまの課題ややりたいことをシステムやソリューションでどのように解決できるかを知識と経験に基づいて提案できることで、そこにこれまでのプロジェクトで重ねてきた経験が生きていると思っています。
一つは、PoCを行う際のインプットデータのクレンジングです。例えば、SCO(サプライチェーン最適化)を適用するPoCを担当したときに、お客さまがやりたいことは明確になっていたもののPoCに必要なデータがそろっていないケースがありました。そうした場合、データが取れていないこと自体が業務課題の要因となっている可能性があります。データがあったとしても有効なものが足りないときには、必要なデータを探すところから始めることになります。そうしたときは、自分たちの知識や経験に基づいてデータを見極めたり、新たなデータの提供をお客さまに依頼したりしますが、どうしても手間や時間がかかります。また、お客さまが求める業務のイメージを聞いて最適化や技術に落とし込むにあたっては、それをどのように実現するか、どのようなモデルにフィットさせるか、さまざまな関係者に説明する必要があります。そこは、業務フロー、データフロー、アウトプットイメージをドキュメント化するなどして、認識を一致できるように努めています。
お客さまとのプロジェクトを推進したり、協創したりするだけでなく、日立の最適化の拡販のための取り組みも私の役割だと思っています。例えば、営業とともに新たな業界のお客さまに会いに行くときには 、SCMやロジスティクスの領域でやりたいこと、お困りごとをお聞きして、まずは日立のケイパビリティを示します。あとは、ご要望や課題、お困りごとの内容に応じた最適化の事例を紹介するなどしてアピールしています。最適化事例や、これまでの導入での経験をベースにお客さまと会話し、自分がフックとなってニーズに応じた最適化技術の専門家へとつなぐという立場で活動しています。
日立の社内には、最適化を活用するモノづくりをしている部門があります。そのため、多くの知見や知識が蓄積されているとともに、最適化ソリューションを使う側の気持ちを分かっている人たちがいます。また、最適化の技術を開発、発展させる部門や、その技術を各システム・データとつなげて実装するSIに関しても多くの経験者がいます。最適化を「使う」「開発する」「実装する」、それぞれの立場の人財が社内にそろっていることは大きな強みだと思います。特に最適化が魔法の杖でないことを身をもって知っている、つまり実装段階の難しさを知り、その経験からよりよいものを提案できる人財がいるということが日立の強みになっていると思います。
SCMやロジスティクスに関してはまだまだ人に依存している業務があるので、拠点から拠点への配送、工場内の物流、企業と消費者を結ぶ流通など、最適化はさまざまなシーンに適用可能と思っています。また技術の面では、今後ますます取得できるデータが増えていくこと、処理にかかる時間が短縮できるようになることから、ソリューションの精度や質は向上すると考えています。そのうえで日立の課題となるのは、どういったデータが最適化に有用なのか、お客さまのお困りごとに対してどのソリューションを使えば良いのかなどを判断して導入につなげられる人財を育成し、体制を拡充していくことです。私自身も、現在の業務を続けるとともに、知識や経験を継承することによって貢献していければと思っています。
2001年入社
社内外の生産計画・調達計画・需給調整などのSCM関連業務および情報システムの構築に従事
物流センター構築プロジェクトを経験した後、SCM・ロジスティクスの上流エンジニアとして現部署に所属