第4次産業革命が進展する中で、製造業界でもAIやIoT技術を取り入れた工場のスマート化が加速しています。その一方で「IoT活用は必要だと思うが、どういう順番で何から手をつけたらいいのか?」とこれから取り組む企業や、「デジタル化したが期待した成果が出ていない」と取り組みが停滞する企業も少なくありません。このインタビューでは、日立製作所の大みか事業所で生産改革を推進してきた沖田憲士氏に、その改革の道のりを伺いました。
大みか事業所は、モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、IT分野に提供する情報制御システム・コンポーネントの開発や製造を行っている工場です。同事業所は、設計・製造におけるIoTを活用した高効率生産モデルをはじめ、設計・製造からシステム検査・運用保守までのバリューチェーン全体の、人とデジタルの協調による最適化の取り組みが評価され、2020年1月に、世界で最も先進的な工場「Lighthouse」*1に日本企業で初めて*2選出されています。自らもシステム設計技術者として、品質と生産性向上の両立に取り組んできた改革の内側を、前編・後編にわたり語っていただきます。
【プロフィール】
株式会社 日立製作所
サービス&プラットフォーム
ビジネスユニット
制御プラットフォーム統括本部
産業IoT&ロボティクス設計部
主任技師
世界で最も先進的な工場「Lighthouse」の選出は、日本企業初ということで、まだまだ国内では広く知られていないんじゃないかと思いますが、Lighthouse=灯台(指針)という意味なんですね。モノづくりを前進させる指針になるようなお話を聞かせていただけるんじゃないかと楽しみにしてきました。
いやぁ、私たちの大みか事業所は海沿いの高台にありまして、夜も明かりが灯っている社屋が“灯台”と呼ばれておりましたので、初めはそのことかと思った社員もいたくらいです(笑)。世界的な先進工場というと、何か最初からお金をかけた特別なことをしてきたと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
約20年の間、生産改革活動を積み重ねて、現在のようなスマートなファクトリーが実現しました。継続は力なりだと思っています。そして今も現場での生産改革は日々続いています。
実際の大みか事業所 生産ラインの様子