健康管理とデータヘルスの推進を支える
セキュアなWebポータルを「匿名バンク」で実現
日立健康保健組合は、機微な個人情報をインターネットで安心・安全に扱うため「匿名バンク」を基盤とした加入者向けポータルを導入しました。
これにより加入者のポータル利用率が向上し、さらにデータヘルスを支える統合データ分析環境を実現しました。
日立健康保険組合
事務局長
國近 則仁氏
日立健康保険組合(以下、日立健保)は、日立グループ従業員の被保険者および特例退職被保険者(60歳以上75歳未満の退職者で健康保険制度への継続加入者)約24万5,000人を中心に、被扶養者(家族)を合わせた約50万人が加入している企業健康保険組合です。日立健保では2008年から加入者の健診情報や医療費情報、健康増進プログラムなどをWeb上で提供するポータルサイトを公開していましたが、2016年12月、そのシステム基盤を刷新。セキュリティと情報提供機能を強化し、スマートフォンからも利用できるセキュアなポータルサイトへとリニューアルしました。その経緯を事務局長の國近 則仁氏は「これまで長らくインターネットで公開していた旧ポータルは、世間での大規模な情報漏えいのリスクをきっかけに、イントラサイトでの限定公開に切り換えられていました。その結果、インターネット上でしかポータルを利用できない特例退職者や被扶養者などへのサービス低下を招いてしまい、何らかの形で再開したいと考えていたのです。また一方で、国が進めるデータヘルス計画の一環として、健康づくりへのモチベーションを高める魅力的なプログラムや、参加・継続のインセンティブとなるヘルスケアポイントを導入し、ポータル利用率を向上させたいという思いもありました。そこで2016年から、これらの要件を満たすポータル再構築プロジェクトに着手したのです」と説明します。
「匿名バンク」で機微な情報をセキュリティを確保してインターネット上で公開
日立健康保険組合
保健事業担当部長
根岸 正治氏
複数のベンダーからの提案を比較検討した結果、最終的に日立健保が採用したのは、日立でした。日立の提案は、ポータルは秘匿情報管理サービス「匿名バンク」と、お客さま要件に合わせた健康管理プログラムをクラウドで一体化して提供するもので、これまで取り扱いに配慮が必要だった機微な個人情報とヘルスケアデータを、高い安全性と利便性を確保しながらインターネット上で管理・公開することが可能というものでした。
「既存のパッケージだけでは、インターネットで個人情報を公開する際のセキュリティに不安があり絞りきれませんでした。そのタイミングで日立から、匿名バンクと健康管理プログラムをワンストップのクラウドシステムとして構築できるという提案がありました。調べてみたところ、匿名バンクはマイナンバーの管理や、病院の疾患情報・臨床データの管理でも活用されているほど高いセキュリティを持っていることがわかり“これなら使える”と採用に踏み切ったのです」と語るのは保健事業担当部長の根岸 正治氏です。
日立の匿名バンクは、被保険者の「個人特定情報」を暗号化し、健診結果などは個人を特定できない「匿名化情報」として、堅ろうな日立クラウド上で別管理します。データとデータを暗号化/復号する鍵は別環境で管理しており、これらの情報はクラウド上で復号することはできません。また暗号化/復号する鍵は、ポータル利用時だけ利用者端末に格納され、情報を閲覧してログオフした際に消去されるため、鍵が流出することもありません。万一データが抜き取られてもデータ解読ができないため、インターネットでも機微な情報の提供が行える仕組みです。
「匿名バンクのおかげで、イントラネットに加えインターネットを通じた安心・安全な情報提供が再開できました。特例退職者やご家族も気軽に利用できるようになったのは本当にうれしいですね」と根岸氏は笑顔で語ります。
日立健保からの要望で、従来どおりこのポータルにも日立グループで使われている統一認証基盤がログイン方法に組み込まれました。グループ従業員は日常業務で使っているID/パスワードで、他の業務サービスと同様にポータルにシングルサインオンが可能です。なお、これまで統一認証基盤のログインは一部のプログラムでは未対応でしたが、今回すべてのプログラムがシングルサインオンにおける利用が可能となりました。また、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル環境にも対応し、通勤時や隙間時間を使って日々の体重や血圧などの入力が可能になりました。
「スマートフォンと連携し、健康施策への参加率と継続率を高めるプログラムとして好評なのが“グループウォーキング”です。従来は個人向けのプログラムのみでしたが、社内の事業所や部課単位で、スマートフォンの歩数計などから取り込んだメンバー全員の歩数が自動的にWeb上でランキングされるため、職場どうしで競い合い、楽しみながら健康増進を図ることができます。参加率に応じて付与されるヘルスケアポイントも商品交換という楽しみがあり、健康管理の継続性と意欲向上につながるはずです」と國近氏は語ります。
ポータルの稼働に合わせ、日立の「保健事業BPOサービス」も導入されました。このサービスは日立健保の人財や経営資源をコア業務に集中させるため、保健事業計画やコラボヘルスにおける事業所調整、分析業務などを日立の専門スタッフが支援し、健康施策やデータヘルス計画の、より迅速な推進と業務プロセスの最適化をサポートするものです。
「匿名バンクと統一認証基盤の導入で、個人とひもづいた一貫性のあるヘルスケアデータとサービス利用状況がセキュアに統合管理できるようになりました。今後はこのビッグデータをしっかり分析し、より効率的・効果的な保健事業の推進とポータルサービスの拡充についてPDCAを回しながら展開していきたいと思います。ポータルとBPO※サービスをワンストップで支援してもらう日立には、これらのデータに基づいた新たな改善策や健康施策も提案してもらえればうれしいですね」と國近氏は期待を寄せます。
日立健保のポータルを構築・運用したノウハウを生かし、これからも日立はヘルスケアデータのセキュアな利活用に加え、事務作業の負荷軽減、加入者サービスの充実を支援するサービスやソリューションを積極的に提供していきます。
※ Business Process Outsourcing
所在地:東京都千代田区神田練塀町3番地 AKSビル
設立:1986年4月1日
被保険者数:244,800人(2017年4月1日現在)
事業内容:保険給付、加入資格の審査および保険料の徴収、保健事業の推進、診療報酬等の審査・支払、医療費適正化など
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