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DICと日立、合成樹脂製造プラント運転自動化を図るデジタルツイン技術を実用化
来年1月に本格稼働を開始、プロセス・インフォマティクスによりフロントラインワーカーの負荷軽減へ
株式会社日立製作所
DICと日立が実用化した合成樹脂製造プラントにおけるデジタルツインのイメージ
DIC株式会社(以下、DIC)と株式会社日立製作所(以下、日立)は、合成樹脂製造プラントの運転自動化を図るデジタルツイン技術として、プロセス・インフォマティクス*1を活用したシステム(以下、本システム)を実用化し、DICの国内プラントで来年1月から本格稼働します。両社は2021年から本システムの実プラントへの適用に向けて共同実証を行ってきました*2。その結果、製造工程における反応状態の予測および最適運転条件の探索技術を確立し、実用化に至りました。DICと日立は今後、本システムをDICの国内3拠点、海外1拠点へ展開していく予定です。
従来、プラントの現場では、サンプリングした製品の状態や品質を確認・監視しながら、熟練者がDCS*3操作値の補正や追加操作により反応を制御しています。本システムはAIなどを用いた反応予測モデルにより、サイバー空間上にプラントの運転状況を再現するとともに、プロセス・インフォマティクスの活用で、目標とする品質値に向けた調整タイミングや投入量を決めるための最適な運転条件を導き出し、それらをフィジカル空間(現場)にフィードバックすることを可能にしています。これにより、現場でのサンプリング確認回数の低減、品質の安定化、作業員の作業効率向上、新製品導入時の立ち上げ期間短縮に寄与し、フロントラインワーカーの負担軽減と生産性向上の実現に貢献します。
- *1
- プロセス・インフォマティクス: 統計分析などを活用したインフォマティクス(情報科学)の手法により、製造条件を最適化する取り組み。
- *2
- 2021年12月15日DIC・日立 ニュースリリース「DICと日立、樹脂製造における次世代プラント実現に向け本格的な協創開始」
- *3
- DCS(Distributed Control System) : 分散制御システム。
本システムの特長
- 合成樹脂の代表的な生産方法であるバッチ生産*4に対応
- 目標とする品質値(粘度など)を得るための運転条件(調整タイミングや投入量など)を自動で算出し、「ヒートマップ(下図)」として作業員に明示し、バッチ生産に適切な運転条件を選択できるようになる
- 約20回のバッチ生産運転データのみで化学品製造に活用できるモデルの作成が可能*5
- システム画面に表示する粘度などの「品質予測カーブ」により、反応中の手動サンプリング分析操作を行うことなく、現在の製品品質、および将来の品質の推移と反応工程が終わるタイミングを確認可能
- 「品質予測カーブ」は反応終了時点(数時間後)までの品質を予測可能
- 過去の運転実績と比較する機能により、作業員が納得感をもって運転条件の確認を行うことが可能
<ヒートマップについて>
製造時の追加原料量(縦軸)と追加タイミング(横軸)の組合せにより、製品品質が所定の値に到達するための最短運転時間の予測結果を可視化。これにより、作業員は現状の予測結果から高い効果を見込める運転操作を選択可能です。また、色の濃淡は運転時間の差を表し、濃いほど短い時間となります。
最適運転条件の探索を支援するヒートマップの画面
- *4
- バッチ生産 : 原料投入・製造・製品取出しの工程を1回毎に実施する、少量多品種に適した生産方法。連続生産と対比して用いられる。
- *5
- 今回検証した製品でのモデル作成実績。
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