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(本件は、スイス・チューリッヒにおいて、
5月23日12:00(日本時間19:00)に発表しました。)
日立エナジーがオーストラリア連邦の送電事業者マリナス・リンクから
HVDC変換所2基を受注
マリナス・リンク
HVDC LightⓇバルブホール
日立エナジーは、オーストラリア連邦(以下、オーストラリア)政府、タスマニア州、ビクトリア州による合弁の送電事業者であるマリナス・リンク社から、オーストラリア本土とタスマニア州を結ぶHVDC連系線マリナス・リンク向けの変換所を受注しました。当社は、自励式HVDCシステム「HVDC LightⓇ」を用いた750MWのHVDC変換所2基を提供します。本プロジェクトは、オーストラリア初のモジュラー・マルチレベル・コンバーター*1技術を用いたHVDC変換所を導入するもので、約345kmのケーブルにより、オーストラリア本土とタスマニア州間の再生可能エネルギーの融通を可能にします。マリナス・リンクの整備は2段階に分かれており、最終的に1,500MWの容量になる予定です。当社は今回、第1段階である750MW分の変換所を受注しました。
- *1
- 複数のセルを接続したモジュールで構成された変換装置
オーストラリアは、2050年までのネット・ゼロ達成と、それに向けて2030年までに温室効果ガス排出量を2005年比で43%削減することを目標に掲げています。安全で信頼性の高い電力を低コストで提供するには、再生可能エネルギーによる発電、効率的な送電網の構築、さらに、それらを蓄電システムや揚水発電で補完することが重要です。また、オーストラリア本土とタスマニア州では、エネルギーシステム全体において電力インフラの大規模な見直しが必要とされています。
マリナス・リンクは、ビクトリア州の太陽光発電と風力発電の余剰電力をタスマニア州に送電するHVDC連系線です。2段階目の整備が完了すると送電容量は1,500MWとなります。これはオーストラリアの約150万世帯の電力需要に相当する容量です。また、タスマニア州にはすでに揚水発電所があり、余剰電力を蓄電することが可能です。蓄電した電力は、需要増加時にオーストラリア本土の送電網に供給することができ、揚水発電所は巨大な蓄電池の役割を果たします。これにより、持続可能なエネルギーによる発電が増加しているオーストラリアの送電網において、電力供給の安定性向上に貢献します。
オーストラリアのネット・ゼロ戦略のもと、石炭火力発電の廃止とマリナス・リンクの整備などにより2050年までに最大1億4,000万トンのCO2排出量が削減されます。これは、約100万台の自動車から排出される排気ガス量に相当します*2。同連系線の整備は、増大する電力需要を満たすと同時に、オーストラリアの再生可能エネルギーへの転換に貢献する、国家的な重要プロジェクトです。
- *2
- https://www.marinuslink.com.au/(英語サイト)
日立エナジーのグリッド・インテグレーションビジネスユニット担当役員であるニクラス・パーソンは、「オーストラリアでは、よりクリーンなエネルギーを提供するため送電網の改革が急速に進められています。当社のHVDC技術が、より安定的かつ低損失な送電を支援できることを誇らしく思います。マリナス・リンクのような連系線を整備することで、需要に応じて、再生可能エネルギーによる電力を適正な価格で供給できるとともに、蓄電能力も向上します。」と述べています。
マリナス・リンク社のCEOであるキャロライン・ワイキャンプは、「本日、当社はマリナス・リンクの整備に向けた新たな一歩を踏み出しました。プロジェクトの根幹であるHVDCシステムが確保されたことで、マリナス・リンクの2030年末までの運転開始に向けた準備が整いました。マリナス・リンクは、オーストラリア政府の国家送電網再整備計画の要であり、オーストラリアのエネルギー市場オペレーター*3の国家エネルギー計画においても重要プロジェクトに指定されています。オーストラリア政府、タスマニア州政府、ビクトリア州政府は、先日マリナス・リンクの共同運営について歴史的な合意に達し、マリナス・リンクがオーストラリアにとって重要な送電プロジェクトであることを再確認しました。」と述べています。
- *3
- オーストラリアの電力市場運営機関
日立エナジーは、70年前に商用HVDC技術を開発しました。それ以来、世界のHVDCプロジェクトの半分以上を納入するなど、HVDCにおいて世界最多*4の納入実績を有しています。
- *4
- 日立エナジー調べ(2024年5月23日時点)
マリナス・リンクの連系ルート
日立エナジーのHVDCについて
日立エナジーのHVDCソリューションは、HVDC変換バルブおよびデジタル制御プラットフォームMACH™*2、変換用変圧器、高電圧開閉装置、システム調査、設計・エンジニアリング、供給、据付管理、試運転に関する世界トップレベルの専門知識を結集したものです。
HVDC LightⓇは、日立エナジーが開発した変換技術で、変換所がコンパクトかつ電力損失が極めて低いという特長を有しており、各国送電網の相互連系、再生可能エネルギーの連系、陸上から洋上への電力供給など、多くの場面で活用されています。
日立エナジーについて
日立エナジーは、持続可能なエネルギーの未来へ向けた取り組みを加速する、グローバルな技術リーダーです。お客さまやパートナーとの協創により、世界のエネルギーシステムを、より持続可能、より柔軟、より安心・安全なものにします。電力、産業、運輸、データセンター、インフラの各分野のお客さまにサービスを提供しており、140カ国以上の導入実績を有しています。合計150GW以上のHVDC連系線の電力網への連系など、革新的な技術とサービスでエネルギーバリューチェーンを効率化し、あらゆる人が電気を利用できるよう支援しています。また、分野や地域を超えたステークホルダーとのデジタルトランスフォーメーションにより、カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー転換を加速します。スイスに本社を置き、90カ国に約45,000人の従業員を擁しており、約1兆8,000億円の事業規模を有しています。
日立エナジー関連情報
日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」という3セクターの事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。3セクターの2023年度(2024年3月期)売上収益は8兆5,643億円、2024年3月末時点で連結子会社は573社、全世界で約27万人の従業員を擁しています。