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企業情報ニュースリリース

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2023年10月24日
株式会社きんでん
株式会社日立製作所

きんでんと日立が協創、デジタル技術で77kV送電ケーブルジョインターを
早期に育成する技能訓練支援ソリューションの試行運用を開始

日立開発のセンサー付きグローブを活用、社会インフラを支える送電工事の安定品質の実現に貢献

[画像]技能研修中の社員が本ソリューションを用いる様子
技能研修中の社員が本ソリューションを用いる様子

  株式会社きんでん(代表取締役社長 上坂 隆勇/以下、きんでん)と株式会社日立製作所(代表執行役 執行役社長兼CEO小島 啓二/以下、日立)は、このたび協創を通じ、デジタル技術を活用して、高度な技術と信頼性が要求される77kV送電ケーブルにおける接続技能者(以下、ケーブルジョインター)の早期育成を支援するソリューション(以下、本ソリューション)の試行運用を開始しました。具体的には、77kV送電ケーブルの中間接続箱組立作業工程で、外部半導電層と絶縁層を規定された寸法にガラス片で切削してケーブル表面を鏡面状に加工する技能を対象としています。本ソリューションでは、技能研修中の社員(以下、訓練生)の手に装着する日立開発のセンサー付きグローブで動作データを収集・数値化し、日立のLumada*1ときんでんの知見・ノウハウを活用し共同開発したアルゴリズムによって複数の技能検知項目を抽出して、熟練技能者と訓練生のデータを比較・解析します。加えて、ケーブルジョインターの動作と目線をカメラで撮影し、モニタリングします。データ解析結果として切削状況の映像と同期した複数の検知項目について、改善するべき動作のポイント、技能の定量的評価、改善方法が提示されるため、短期間で効率良く技能を習得することができるだけでなく、作業の標準化や品質の安定化につなげていくことができます。
  2021年4月よりきんでんの電力支社送電工事部の技能実習において本ソリューションの共同実証を行っており、熟練の技能者から訓練生まで20名(2023年9月末時点)の技能データを用いて定量的な技能評価(スコア化)や、改善すべき動作の可視化ができることを確認しました。加えて、訓練生の自己訓練に注力し、そのデータや分析結果をクラウド上に格納、遠隔地の熟練技能者と同じデータを共有しながら指導を仰ぐ試みも開始しています。
  きんでんと日立は、今回の運用を通して本ソリューションの精度向上を図るとともに、労働力不足が社会課題となる中、本ソリューションを活用してケーブルジョインターを早期に育成することにより、社会インフラの維持に貢献します。

*1
Lumada:お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称

[画像]本ソリューションの全体イメージ
本ソリューションの全体イメージ

本協創の背景

  送電ケーブルは、社会インフラを支える資材の一つです。経年によるケーブル更新工事や再生可能エネルギー関連工事の増加に伴い、ケーブルジョインターの不足が懸念されています。一方、訓練生が77kV送電ケーブルの端末接続作業を行う高度なスキルを習得するには数年の歳月が掛かることから、短期間で効率よく技能を習得できるようにすることが課題となっています。
  日立は、画像解析技術などを活用して空調機製造におけるろう付けプロセスの技能をデジタル化・比較・分析するLumadaソリューションを開発・構築した実績があり、これにより獲得した知見・ノウハウのほか、作業者の力加減や作業音などのセンサーデータをリアルタイムに収集し、作業ミスの検知や作業記録の遠隔共有を可能にするセンサーグローブソリューション「FREEDi」*2など、製造現場の人による作業を効率化する先進のデジタル技術を多数保有しています。
  そこで、きんでんと日立は、2020年からデジタル技術を活用して、熟練技能者と訓練生の手の動かし方やガラス片を押し当てる力を可視化・分析する本ソリューションの協創を開始し、このたびケーブルジョインターの育成に活用する試行運用を開始しました。

*2
「FREEDi」は 株式会社日立製作所の日本における登録商標です。

[画像]日立開発のセンサー付きグローブの詳細
日立開発のセンサー付きグローブの詳細

本ソリューションの特長

  グローブに内蔵された圧力センサー、マイク、慣性センサーから得られる動作データによって、作業者の手の動きを定量化し、個人の技能状況、仕上がり品質に直結する検知モデル(特徴量)10項目を導き出しました。これらの検知モデルはアルゴリズムで抽出され、熟練技能者と訓練生の技能差異を定量的に可視化しています。
  77kV送電ケーブルにおける端末接続にあたっての作業工程の詳細と、ケーブルジョインターに求められる技能は以下のとおりで、本ソリューションにはこれらの知見・ノウハウが活用されています。

[作業工程の詳細]

[画像]作業工程の詳細


[ケーブルジョインターに求められる技能のポイント]

  • ケーブルの末端同士を接続するには、ケーブル内部の外部半導電層と絶縁層を規定寸法の直径と長さにガラス片で削り取る作業が必要となります。
  • 削り取る際の要求品質は、ケーブルの最大径と最小径の差がミリ単位に規定され、削り過ぎによるへこみや、わずかな傷、段差がないことが絶対条件となります。
  • 削り取り作業はガラス片の角度、加速度、押し当てる圧力が仕上がり品質に大きく影響します。

今後の展開

  きんでんは、グループ会社にも本ソリューションの導入を広げ、社会インフラの構築、維持により一層社会に貢献していきます。
  日立は、センシングデバイスの高度化や作業者に負担をかけず(意識させず)にあらゆる作業のデータを自動収集できる環境構築に向けた開発を進めます。さらに、「人の動き」に、「機械」、「材料」、「方法」の情報を加えた4M*3データの収集・分析などを通して高品質・高効率な製造現場を実現するなど、お客さまの経営課題解決に貢献していきます。

*3
4M:huMan(人), Machine(機械), Material(材料), Method(方法)

関連情報

きんでんについて

  きんでんは、都市や企業などのインフラ構築を担う企業として、1944年の創業から「公共性」という社会的意義を基盤に据えて事業を展開してきました。変化の激しい今日においても、未来を志向した企業家精神を発揮して市場ニーズを汲み取ることで、国内において全国をカバーする事業体制を有する総合設備業界のリーディングカンパニーに成長しています。また、海外においても、1950年代から同業他社に先駆けて進出を果たし、ハワイやグアム、アジア各国、中東やアフリカまで、世界90数カ国において、60年以上の経験と実績を積み重ねています。近年では東南アジアを中心に社会インフラ整備にも積極的に進出しています。
  当社は電力インフラ事業への貢献や地域に密着した事業活動を継続する一方、首都圏における事業展開の更なる強化や長期的視野に立った海外事業を展開し、お客さまのニーズに応じて高い技術と技能で安心と快適をお届けしながら、社会へ貢献していきます。

日立製作所について

  日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は10兆8,811億円、2023年3月末時点で連結子会社は696社、全世界で約32万人の従業員を擁しています。

お問い合わせ先

株式会社きんでん 京都研究所

第一研究開発部

株式会社日立製作所

以上

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