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2023年1月24日
株式会社日立製作所
株式会社ウォーターエージェンシー
属人的な運転管理からの脱却と収益性改善、環境負荷低減への貢献をめざす
「汚泥削減サービス」内の脱水機運転ガイダンスシステム概念図
株式会社日立製作所(以下、日立)と上下水道事業運営などを手掛ける株式会社ウォーターエージェンシー(以下、ウォーターエージェンシー)は、このたび、脱水汚泥の最終処分または再利用の委託費用や、脱水汚泥の輸送や焼却工程で生じるCO2排出量の削減による環境負荷の低減を目的に、AI*1・IoT*2を活用し、下水処理場から排出される脱水汚泥の水分量を削減する「汚泥削減サービス」の実用化に向けた共同開発(以下、本共同開発)を開始しました。本共同開発では、下水処理場における脱水機の運転ガイダンスシステム(以下、本システム)の技術開発、および本システムの活用を軸に自治体と維持管理受託事業者の双方の収益性改善につながるサービスモデルの確立をめざします。
本システムは、より好適な条件の予測によって効率的に脱水汚泥中の水分量を低減するために、脱水機運転の重要指標である汚泥の凝集状態および脱水汚泥中の水分量を連続監視するとともに、データ解析によってノウハウを形式知化することで高効率な運転をガイダンスします。これにより、場外へ搬出する脱水汚泥量の低減に効果的な運転と運転管理業務の標準化を実現するとともに、脱水汚泥の輸送量および搬出後の焼却に必要なエネルギーを低減することで、CO2排出量の削減にも貢献します。
今後、ウォーターエージェンシーが運営を受託している国内の下水処理場において本システムの実証実験を行い、性能や実用性の検証を行う予定で、2024年3月までに「汚泥削減サービス」としての実用化をめざします。
国内の下水道事業は人口減少に伴う収益性の悪化が課題となっており、下水処理の効率化・最適化や官民連携の推進、新技術導入の推進などによる持続可能な運営に向けた取り組みが行われています。下水処理場の運営において、脱水汚泥の最終処分または再利用の委託費用は維持管理費に占める割合が大きく、処理の工夫による脱水汚泥量の削減は事業の収益性改善に向けた重要な課題です。一方で、脱水機の運転値の好適化は担当者の勘や経験に頼る部分もあり、業務標準化やナレッジの継承も求められています。加えて、脱水汚泥の最終処分時または再利用において焼却処理される場合には、エネルギー使用量やCO2排出量を削減するために、それまでの脱水工程で脱水汚泥に含まれる水分量を低減しておく必要があります。
日立のコネクティブインダストリーズセクターでは、先進のデジタル技術を活用して継続的にお客さまに価値を提供するリカーリングビジネスに注力しています。こうした中、日立は、Lumada*3のデータ解析技術やセンシング技術を活用して、脱水機の運転における、脱水汚泥中の水分量の低減に効果的な運転を支援する本システム、および本システムの活用を軸とする新たなサービスモデルとして「汚泥削減サービス」を開発・検討してきました。ウォーターエージェンシーは、国内の下水処理場の運転管理業務を受託する事業者最大手であり、現場の運転管理のノウハウを豊富に有するとともに、多くの自治体との信頼関係を築いてきました。そこでこのたび、両社は「汚泥削減サービス」の実用化に向けた共同開発に合意し、取り組みを開始しました。
日立とウォーターエージェンシーは、本共同開発を完了後、2024年3月までに「汚泥削減サービス」を実用化し、自治体向けに提案していく予定です。
ウォーターエージェンシーは、これまで60年以上培ってきた管理技術と本サービスを活用し、効果的な運営管理を実現し、下水道事業費の削減に寄与することで公益性の高い下水道事業に貢献していきます。
データとテクノロジーでサステナブルな社会の実現をめざす日立は、将来的に本共同開発の成果をLumadaソリューションとして広く展開するだけでなく、上下水道事業向けの各種デジタルソリューションにより、運転・維持管理を担うお客さまが抱える課題解決に貢献していきます。
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。金融・官公庁・自治体・通信向けITサービスやお客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、産業流通、水インフラ、ヘルスケア、家電・空調システム、計測分析システム、ビルシステムなどの幅広い領域でプロダクトをデジタルでつなぐ「コネクティブインダストリーズ」と、自動車・二輪車の分野で先進技術を提供する「オートモティブシステム」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。グリーン、デジタル、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2021年度(2022年3月期)の連結売上収益は10兆2,646億円、2022年3月末時点で連結子会社は853社、全世界で約37万人の従業員を擁しています。
ウォーターエージェンシーは、下水処理場ならびに浄水場等の O&M(Operation & Maintenance)において国内トップのシェアを持ち、包括的民間委託や指定管理者、第三者委託などの様々な業務実績を有しています。これまでの全国的な施設の管理経験に基づいたAIやIoTツールの開発と利活用、効率的な施設運用や緊急事象発生時の広域的な支援等に積極的に取り組んでいます。
以上