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2022年12月1日
(本リリースの内容は、イタリアで現地時間11月30日(水)に発表したものです。
日本では12月1日(木)に配信しました。)
360Pass アプリのイメージ図
株式会社日立製作所(以下、日立)の鉄道システム事業におけるグループ会社である日立レールは、イタリア北部のトレント市近郊で、スマートチケッティングを提供するモビリティアプリ「360Pass」とスマートモビリティプラットフォームの商用サービスを11月30日に開始しました。これは、スマートモビリティ事業の伸長をめざす日立の事業戦略に沿ったものです。360Passは、アプリストアで無料ダウンロードが可能です。住民や観光客は経路をアプリ上で計画し、従来の切符を買う必要なく、トレント市近郊の全ての公共交通(鉄道、バス)を利用できるようになります。また、本アプリは、より幅広いマルチモーダルモビリティサービスを提供しており、市内の駐車場の支払いもできます。さらに、乗客の移動データを取得することで、地域の交通網の「デジタルツイン」を作成できます。日立のスマートモビリティ統合ソリューション「Lumada Intelligent Mobility Management」を通じて、スマートチケッティング、交通流管理など異なる技術を組み合わせたデータ分析も可能になり、乗客と交通事業者の両者に大きな利益をもたらします。
360Passの利用者は、アプリ上で、トレント市近郊のあらゆる公共交通のチケットの購入、利用ができます。バス停でQRコードをスキャンするか、もしくはTrento-Malè-Mezzana(トレント-マレ-メッツァーナ)鉄道の38の駅や列車に備え付けられたセンサーと携帯電話のブルートゥースが通信することで、アプリ上でチケットの利用が認識されます。センサーは出発地と目的地を検知し、自動精算を行い、乗客のハンズフリーでの移動を可能にします。
360Passは、最も速く便利な複数の交通機関を組み合わせた経路情報をリアルタイムで乗客に提供することができます。乗客は混雑情報を確認することで、より混雑が少ない交通手段を選ぶことができます。この機能は、新型コロナウイルス感染症への不安を和らげ、人々を公共交通に呼び戻すことが期待されます。
トレント市では、世界の他の多くの都市と同様に、渋滞、温室効果ガスの排出削減、質の高い交通サービスの提供が重要な課題となっています。その結果、市当局は公共交通を改善し、乗客の移動の質を高めることにより、持続可能な公共交通利用の拡大を図っています。
トレント市近郊の360Passは、本年7月に発表*1された、新しいスマートモビリティ統合ソリューションであるLumada Intelligent Mobility Managementの実証試験の成功に続いて市場に投入されます。360Passは、Lumada Intelligent Mobility Managementの一部です。ジェノバでの実証試験で成功を収めたこの技術は、世界中の都市に展開できる技術です。
乗客向けの360Passモバイルアプリに加えて、Lumada Intelligent Mobility Managementは、交通事業者が、都市全体の交通機関をリアルタイムで接続して、運行・利用データを分析、最適化することを可能にします。
地域内の、出発地から目的地までのマルチモーダルモビリティサービスのデジタルツインを作成することによって、交通事業者はサービスと運行ダイヤを最適化し、ピーク・オフピークといった移動需要の変化により柔軟に対応可能なシステムを構築できるようになります。また、渋滞、温室効果ガス排出、混雑、サービスの質といった公共交通の利用を妨げる要因を特定することができます。
スマートチケッティングに加えて、この統合ソリューションは、交通事業者が交通流や運行パターンをリアルタイムで管理することを支援します。
「360Passアプリはスマートモビリティ技術を強化して乗客のために公共交通を変革する、私たちのコミットメントを象徴しています。Lumada Intelligent Mobility Managementによって、世界中の地方自治体や交通事業者が、交通を最適化・シームレス化し、持続可能な公共交通の利用を促進できるようになります。」
Lumada Intelligent Mobility Managementは、都市、交通事業者、乗客向けのスマートモビリティ分野での日立の新しい統合ソリューションです。
この統合ソリューションは、よりスマートなモビリティの実現に向けた、日立レールの360度ビジョン(全方位ビジョン)を象徴しており、以下の3つの重要な分野にわたるソリューションを包含しています。
この一部である「360Motion」プラットフォームはリアルタイムの分析ツールで、都市の全交通網のデジタルツインを作成します。交通事業者は、あらゆる組み合わせの交通サービスを接続し、必要な交通サービスを適宜追加して、最適化することが可能です。360Motionは柔軟性の高いプラットフォームで、他社の既存の技術や日立グループの他の幅広いソリューションと組み合わせることもできます。
都市、交通事業者、乗客のより持続可能な交通への転換の加速を、日立レールは「アズ・ア・サービス」型のビジネスモデルの提供によって容易にすることをめざしています。
日立レールは新しく、乗客向けモバイルアプリ「360Pass」の提供を開始します。Lumada Intelligent Mobility Managementのスマートチケッティングのソリューションの一部で、iOS・アンドロイドのスマートフォンで使用できます。今後、地元の交通当局や交通事業者と協力して、本アプリを都市ごとに展開していく予定です。なお、ジェノバでは既に利用可能です。
電子チケッティングやQRコードといった従来のモバイルチケッティング機能に加えて、360Passは、革新的なハンズフリーでの運賃の支払いを可能にします。「ビーイン・ビーアウト(Bein Beout)」技術で、複数の交通機関におけるチケットレスでの移動を実現します。
この技術は、鉄道、バス、停留所や駅の駐車場など交通の要所に張り巡らされたセンサー網を使用しています。センサーは乗客のアプリ360Passと、ブルートゥースで接続しています。
乗客が移動を開始すると、360Passアプリは移動経路上に設置された各センサーとつながり、複数の交通機関を利用した移動の全行程を記録します。例えば、乗客がバスと地下鉄を乗り継ぐ際にどのように移動したかを記録します。ジェノバのような都市では、その記録を基に、一日の終わりの時点での最も安い料金を算出し、翌日の午前3時に料金請求のレシートを発行します。
また360Passアプリは、各乗客の移動の状況に応じて、よりカスタマイズされた情報を提供します。例えば、目的地に到達するまでに通過するであろう次駅・次々駅などの混雑予報や、目的地接近アラートなどがあります。
乗客へのシームレスな移動の体験に加えて、この技術は交通事業者にも大きな利益をもたらします。乗客のマルチモーダルな移動の全容に関するより詳細なデータで、交通事業者の運行ダイヤの最適化を支援します。また、駅の改札口や車両乗降口でこの技術を使用することで、改札口・乗降口付近の長い行列やボトルネックを解消できる可能性があります。
日立レールの新しい試みと、数十年にわたるこれまでのチケッティングでの経験は、都市全体もしくは地域全体の複数の交通機関を接続する技術が実現可能であることを示しています。
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。金融・官公庁・自治体・通信向けITサービスやお客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、産業流通、水インフラ、ヘルスケア、家電・空調システム、計測分析システム、ビルシステムなどの幅広い領域でプロダクトをデジタルでつなぐ「コネクティブインダストリーズ」と、自動車・二輪車の分野で先進技術を提供する「オートモティブシステム」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。グリーン、デジタル、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2021年度(2022年3月期)の連結売上収益は10兆2,646億円、2022年3月末時点で連結子会社は853社、全世界で約37万人の従業員を擁しています。
以上