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2021年10月8日
環境分野の顧客協創とゼロエミッション化を加速
直流型分散グリッドを用いたエネルギーマネジメントシステムの実証環境
株式会社日立製作所(以下、日立)は、研究開発拠点「協創の森」*1に、日立の発電・蓄電・設備保守などの技術を結集させたエネルギーマネジメントシステムの実証環境を構築し、運用を開始しました。本環境は、太陽光発電システム・蓄電池・ガスコジェネレーションシステム*2・EV*3急速充電器などを接続した直流型分散グリッド*4に、日立の高精度な電力需給調整システムや発電設備の故障・寿命予測技術、AIを活用した効率的な電力取引システムなどのエネルギーマネジメントシステムを組み合わせたものです。実際の設備やシステムを自由に組み合わせることで、再生可能エネルギーの安定的・効率的・経済的な運用やゼロエミッション化をめざすお客さまに実証実験の場を提供することが可能になります。また、本エネルギーマネジメントシステムの効果を国分寺サイトで2020年度に検証した結果、2018年度との比較で、CO2排出量を20%削減しながら、エネルギーコストを30%削減できることを確認しました。
今後、日立は本環境を活用し、日立とお客さまのゼロエミッション化を推進するとともに、環境分野での顧客協創を推進し、新たなエネルギーソリューションの創出をめざします。また、ローカル水素*5やバイオエネルギー、5G、エネルギー託送技術*6による多拠点連携などを組み込むことで、本実証環境をさらに進化させ、完全ゼロエミッション化や持続可能な社会の実現に貢献していきます。
世界各所で自然災害が多発する中、各国首脳は2050年のCO2排出実質ゼロを宣言し、2030年までの排出削減目標引き上げの取り組みが始まっています。エネルギー需要家は、これまで以上に非化石エネルギーの導入が求められる一方、コスト削減や災害時のレジリエンス性などにも考慮する必要があります。また、火力発電所などの大規模集中型の電源と、再生可能エネルギーを中心とする分散型電源を調和させたエネルギーマネジメントシステムの開発も進められてきましたが、エネルギーの需要量や再生可能エネルギーの発電量の変動から生じる電力量インバランス*7の抑制が困難なことがエネルギー需要家にとって課題でした。
そこで日立は、お客さまが再生可能エネルギーの導入検証や、日立との新たなエネルギーソリューションの協創を行えるように、研究開発拠点「協創の森」の中に、街区・工場・ビル・データセンターなどのエネルギー消費設備を有する多様な業界を想定した直流型の分散グリッドと、日立が半導体や情報通信分野で培ってきた制御技術を生かしたエネルギーマネジメントシステムを組み合わせた、実証環境を構築しました。
本エネルギーマネジメントシステムを実現する技術の特長は以下の3点です。
太陽光発電や蓄電池の電力データを半導体モデルで解析し、細かい時間単位でエネルギーをデジタルデータに変換することで高精度かつ短時間の発電設備制御に活用します。設備の状態をリアルタイムに管理することで、故障や寿命を短時間で予測することが可能です。
上記1の技術を用いて蓄電池による電力需給調整を行います。蓄電池の充電状態を電圧に変換し、蓄電池電圧と直流バス電圧をリアルタイムに制御することでエネルギー需給変動に対する高速応答と高精度なマッチングを実現し、電力量インバランスを解消します。
上記1および2の技術を用いて、エネルギー取引市場予測により経済性が成り立つエネルギー調整力(蓄電池、コジェネレーションシステム)運用計画を短時間に立案し、取引するタイミングを高精度化することでエネルギーコストを低減します。設備やサービス単位での使用電力が100%再生可能エネルギーであることを証明するシステム*13とともに運用し、再生可能エネルギー導入の経済的合理性を実現します。
本環境の運用開始に向け、上記のエネルギーマネジメントシステムの効果を当社の国分寺サイトで検証した結果、2018年度との比較で、CO2排出量を20%削減しながら、エネルギーコストを30%削減できることを確認しました。さらに、電力量インバランスの抑制精度は一般的に10〜20%の水準ですが、本システムでは2%以下と高精度であり、電力制御の指令に対してもエネルギーマネジメントシステムが約30分での応答を可能とし、エネルギー需要家の期待に応えられることを確認しました。
本サービスは、日立が2021年10月11日(月)〜15日(金)に開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2021 JAPAN」において、ご覧いただけます。
10月15日(金)15:10から開催する「エキスパートセッション13」の中で紹介する予定です。
日立は、データとテクノロジーで社会インフラを革新する社会イノベーション事業を通じて、人々が幸せで豊かに暮らすことができる持続可能な社会の実現に貢献します。「環境(地球環境の保全)」 「レジリエンス(企業の事業継続性や社会インフラの強靭さ)」 「安心・安全(一人ひとりの健康で快適な生活)」に注力しています。IT・エネルギー・インダストリー・モビリティ・ライフ・オートモティブシステムの6分野で、OT、ITおよびプロダクトを活用するLumadaソリューションを提供し、お客さまや社会の課題を解決します。2020年度(2021年3月期)の連結売上収益は8兆7,291億円、2021年3月末時点で連結子会社は871社、全世界で約35万人の従業員を擁しています。
株式会社日立製作所 研究開発グループ
以上