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2021年5月25日
株式会社日立ハイテク
「ウェーハ欠陥検出装置の高感度化」が微小欠陥の高感度検出に貢献
株式会社日立ハイテク(社長:飯泉 孝/以下、日立ハイテク)は、このたび、半導体検査技術に関する特許「新型瞳フィルタによるウェーハ欠陥検出装置の高感度化」(以下、本発明/特許第5216752号)で、令和3年度全国発明表彰の「発明賞」(主催:公益社団法人発明協会)を受賞しました。
全国発明表彰は、日本における発明、考案または意匠の創作者ならびに発明の実施および奨励に関し、功績のあった研究者・科学者を顕彰することにより、科学技術の向上および産業の発展に寄与することを目的として1919年に創設されました。
このたび受賞した新型瞳フィルタを搭載した欠陥検出用のレーザ暗視野式光学顕微鏡に関する本発明は、半導体デバイス製造プロセスにおいて、パターン無しウェーハ上で微小欠陥を高感度に検出し観察できることが高く評価されました。本発明は、日立ハイテクの高速欠陥レビューSEM*1「CR7300」にも搭載され、最先端の半導体デバイスの開発・量産に貢献しています。
半導体デバイス製造では、パターン無しウェーハを用いた検査により、各製造プロセスで発生する微小異物・欠陥を管理・低減しています。近年は、半導体製造プロセスの微細化に伴い、パターン幅と同等の十数nmの微小欠陥の発生を抑えることが重要となっています。半導体デバイスの品質管理は、欠陥検査装置によるウェーハ全面の検査と、レビューSEMで検出した欠陥の拡大観察・分析によって行われます。しかし、レビューSEMの視野は狭く、欠陥検査装置からの位置情報だけではレビューSEMによる観察が困難なため、視野が広くて高感度なレーザ暗視野式光学顕微鏡をレビューSEMに搭載し、欠陥の再検出と高精度な欠陥位置の算出を行っています。このレーザ暗視野式光学顕微鏡で欠陥位置を算出する際、輝度が弱くなった欠陥からの散乱光がウェーハ表面の微小な凹凸からの散乱光に埋もれ、微小欠陥の検出が困難であったため、高感度な欠陥検出技術が求められていました。
本発明は、欠陥からの散乱光(Signal)とウェーハ表面からの散乱光(Noise)の強度・偏光の分布特性が異なることに着目しました。Signal/Noise比を最大とするような光学式瞳フィルタを考案したことで、欠陥検出感度を大きく向上させ、レビューSEMにおける十数nmサイズの微小欠陥の高感度な検出と観察を実現しています。瞳フィルタは、透過する偏光の方向を変化させる機能をもつ分布波長板、偏光方向を選択する機能をもつ偏光子、透過する光の領域を選択する機能をもつ空間フィルタの3枚のフィルタから構成されます。この構成により、ウェーハ表面からの散乱光を制限するとともに、欠陥からの散乱光を選択して撮像素子結像レンズに投影し、欠陥像の明るさを強調した検出を可能としています。
半導体デバイス製造プロセスの微細化が進展しパターン寸法が十数nmとなる中、日立ハイテクは本発明により、半導体デバイス開発における早期の歩留まり向上や安定量産に貢献しています。
日立ハイテクグループは長年にわたり、本発明をはじめとする半導体計測・評価に関する技術開発に取り組んでおり、半導体デバイスが支えるデジタル社会の発展に大きく貢献してきました。今後も、半導体関連技術の研究開発を進めるとともに、革新的なソリューションをタイムリーに提供し続け、新たな社会・環境価値の創出に取り組み、最先端のモノづくりに貢献いたします。
株式会社日立ハイテク 知的財産本部 知財戦略部 [担当:上羽]
〒105-6409 東京都港区虎ノ門一丁目17番1号 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー
電話 : 070-2815-5274 (直通)
以上