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2020年10月30日
業務テンプレートや開発フレームワークを整備し、
ニューノーマル時代に加速するリモートでの安全なデータ取引を支援
株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、企業の保有する業務データをつなぎ、"信頼(トラスト)"を担保した企業間取引の実現を支援する「ブロックチェーンシステム開発支援サービス」を、10月30日から提供開始します。
本サービスは、高い改ざん耐性を持つブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用する業務アプリケーションの開発・導入を迅速化するものです。ブロックチェーン基盤や開発環境、業務テンプレートなど各種機能を整備し、システム基盤の環境提供から、設計コンサルティング、アプリケーションの構築・運用まで、ブロックチェーンのシステム導入をトータルでサポートします。
具体的には、ブロックチェーンシステムでニーズの高いユースケースを汎用化した業務テンプレートと、難易度が高いブロックチェーン特有のコーディングを自動生成できる開発フレームワークを独自に開発するなど、お客さまのビジネス要件に柔軟かつ迅速に対応できる機能群を整備し、ブロックチェーンのシステム導入を支援します。本サービスの提供を通じ、ニューノーマル時代における安全な企業間のデータ取引を促進し、お客さまの新しい価値・ビジネス創出に貢献します。
現在、Society 5.0の実現に向けて、ヒト・組織・ネットワークにつながるモノの正当性やデータの完全性の確認を行うため、信頼が担保された自由なデータ流通として「Data Free Flow with Trust」*1の実現が求められています。
ブロックチェーンは、ネットワーク上の取引情報を、各参加者(ノード)に分散させて記録・管理する分散型台帳技術で、データの秘匿性・真正性を担保して改ざんやなりすましを防止するなど、透明性の高い取引が可能であることから、データの"トラスト"を確保する仕組みとして、リモートや非接触といったニューノーマルのニーズに対応するシステム開発での活用がますます期待されています。一方で、ブロックチェーンは成長途上の技術であることから取り扱いの難易度が高いほか、台帳の保持単位や、データごとの共有・秘匿範囲の設計など、従来のシステム構築にはなかった要素の検討が必要であり、高い専門性が求められます。
日立は、2019年3月より、マネージド型クラウドサービスとしてブロックチェーン基盤の構築から運用保守まで包括的にサポートする「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」*2を提供しています。ブロックチェーンをセキュアに制御する日立独自のRASフレームワーク*3や、Hyperledger Fabricに精通した日立のエンジニアによるサポートサービスを通じて、稼働状況のモニタリングなど、ブロックチェーン基盤の安定したシステム運用を実現してきました。
今回、提供開始する「ブロックチェーンシステム開発支援サービス」は、「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を活用し、ブロックチェーンシステムにおけるアプリケーション開発の迅速化を図るサービスです。日立がこれまで培ったブロックチェーンシステムの開発実績をもとに、ユースケースを「証跡共有型」「価値流通型」「自動執行型」の3つに分類し、各類型に対応する開発部品群を整備しました。
「証跡共有型」は、企業間取引において「誰がいつどのような行為をしたのか」を電子的に記録・保証する、ブロックチェーンの代表的なユースケースです。本サービスでは、「証跡共有型」の中でも特に利用ニーズが高い「電子署名」と「受発注情報のトレーサビリティ」*4向けの業務テンプレートを用意するほか、専門性が求められるブロックチェーンへのアクセス処理をGUI*5の定義のみで自動生成できる開発フレームワークを提供します。
また、デジタル通貨やデジタル債権などの所有権・利用権の取引管理を目的とする「価値流通型」のユースケース向けには、「トークン」*6機能を効率的に開発・運用するフレームワークを開発し、2020年度中の提供開始を予定しています。「自動執行型」は、ブロックチェーン上であらかじめ設定されたルールに従って、取引を自動実行するスマートコントラクトの仕組みを利用するユースケースで、お客さまごとの固有の取引実行の条件などに応じて開発を支援します。
例えば、「証跡共有型」と「価値流通型」の開発部品群を組み合わせることで、物品貸借において契約署名の電子化と貸借状況の管理を連動するなど、各類型の開発部品群を組み合わせることで、複雑なユースケースにも柔軟に対応できるようになり、さまざまなお客さまのニーズや要件に応じたブロックチェーンシステムの迅速な構築が可能となります。また、日立の専門技術者によるコンサルティングにより、実運用を見据えた最適な環境設計を提案するほか、開発フレームワークのみの提供も可能なため、お客さま自身によるブロックチェーンのシステム構築の効率化も支援します。
今後、本サービスの導入・管理に、「Lumada Solution Hub」*7の利用を可能とすることで、より迅速かつ容易にお客さまのデジタルトランスフォーメーションの実現を支援します。また、テンプレートの拡充やフレームワークの機能強化を継続的に行い、お客さまのデータ利活用を促進していきます。
お客さまの業務要件やニーズに適したブロックチェーンシステムの構築を迅速化・効率化するため、アプリケーション開発環境として業務テンプレートと開発フレームワークを整備しました。
業務テンプレートには、ニューノーマルの環境下でニーズの高まる紙への押印を不要とする「電子署名」用のテンプレートを用意しました。本テンプレートにより、簡単な画面操作で署名欄の設定やワークフローを定義でき、ブロックチェーンを活用したセキュアな電子署名を迅速に実現します。
開発フレームワークは、高い専門性が求められるブロックチェーンへのアクセス処理を、GUIの定義のみで自動生成できるもので、ブロックチェーンの代表的なユースケースとなる「証跡共有型」向けに開発しました。具体的には、ブロックチェーンのシステム開発で難易度が高いといわれる、ブロックチェーンへの登録・参照処理や、IoTデバイスなどで発生した大量データを送受信するための流量制御、ブロックチェーンのネットワークに参加する企業との台帳設定、ハッシュ化*8による秘匿化の実施有無などを、GUIで容易に定義できます。
「証跡共有型」「価値流通型」「自動執行型」のそれぞれに特化したユースケースにとどまらず、各類型の機能・ノウハウを組み合わせることにより、お客さまの幅広いニーズに適した、セキュアにデータを交換・共有できる仕組みを、柔軟に構築できます。例えば、「証跡共有型」の電子署名テンプレートと「価値流通型」のトークン機能を組み合わせることで、電子署名によるリモートでの契約から、所有権をトークンとして発行・移動させることによる物品管理まで、物品貸借管理を一つのブロックチェーンシステム上で実現することが可能です。また、「証跡共有型」のサプライチェーンテンプレートと「自動執行型」のスマートコントラクトの仕組みを組み合わせることで、サプライチェーンにおける受発注のトレーサビリティを強化するとともに、支払いなどの決済を確実に自動化することを実現できます。
本サービスを通じて、ブロックチェーンの豊富な開発実績を有する日立の専門技術者が、お客さまのニーズに適したブロックチェーンシステムを提案します。
名称 | サービスメニュー | 価格 | 提供開始日 |
---|---|---|---|
ブロックチェーンシステム 開発支援サービス |
コンサルティングサービス | 個別見積 | 10月30日 |
ブロックチェーンシステム構築サービス | |||
開発環境提供サービス |
本サービスは、日立が2020年11月4日(水)〜6日(金)に開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2020 TOKYO ONLINE」において、ご覧いただけます。
オンデマンドムービー「ポストコロナに向け、お客さまの業務データをセキュアに融合するブロックチェーンを活用したアプリケーションサービス」の中で紹介する予定です。
日立は、IT(Information Technology)、OT(Operational Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2019年度の連結売上収益は8兆7,672億円、2020年3月末時点の連結従業員数は約301,000人でした。日立は、モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野でLumadaを活用したデジタルソリューションを提供することにより、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献します。
株式会社日立製作所 システム&サービスビジネス統括本部 [担当:藤野、南]
アプリケーションサービス事業部 事業企画部
以上