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2020年7月14日
ダイキン工業株式会社
株式会社日立製作所
重要業績指標(KPI)最大化に向けて適正化した製造・販売施策シナリオや生産計画を
自動で複数パターン提示し、意思決定の迅速化を実現、ウィズ・アフターコロナ時代の急激な需要変化にも対応
生産・販売計画の立案・実行支援ソリューションの全体イメージ
ダイキン工業株式会社(代表取締役社長兼CEO:十河 政則/以下、ダイキン)と株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、日立グループのSCM*1最適化シミュレーション技術*2を適用し、ダイキンの化学事業において需要変動に即応する最適な生産・販売計画の立案・実行支援ソリューション(以下、本ソリューション)を実用化しました。本ソリューションは、モノづくりプロセスの革新をめざした両社の協創から生まれた取り組みです。複数の製造・販売拠点の需給バランスをもとに、利益、売上、キャッシュフローなどの重要業績指標(KPI)の最大化に向けて適正化した製造・販売施策シナリオや生産計画を自動で提示し、意思決定の迅速化に貢献するとともに、ウィズ・アフターコロナ時代の急激な需要変化にも対応します。
ダイキンは、フッ素化学製品に関するグローバルの5カ所の製造拠点、9カ所の販売拠点、数百品目を対象に、6月から本ソリューションの本格運用を開始しました。これまでは、どの製品を、どの拠点でどれだけ生産し、どこで販売するかといった製造・販売施策を担当者が手作業により立案していたため、多くの時間を要していました。今回、本ソリューションを新たに導入したことにより、従来の約60倍のパターン数を短時間に作成することができ、それらの定量的なシミュレーション結果に基づいて迅速な合意形成が図れるため、意思決定までに要する時間を約95%短縮できることを確認しました*3。
製造業では、消費者ニーズの多様化や昨今の新型コロナウイルス感染拡大などにより、需要がダイナミックに変動しており、生産の遅延や欠品による機会損失、過剰生産などサプライチェーン全体でさまざまな課題を抱えています。
なかでも化学品は需要変動が激しく、かつ多品種生産を行うため、製造から販売まで部門間で調整を行い、状況に応じた製造・販売施策を複数パターン検討し、週単位や日単位で実行可能な生産計画を立案し、迅速にアクションに移すことが重要になります。一方、世界中の製造・販売拠点について、販売価格や販売・生産量、設備稼働率、生産能力、関税など膨大なパラメータを販売先や製品ごとに考慮し、経営視点でKPIの最大化に向けた製造・販売施策や実行可能な生産計画を立案することは難しく、人手では膨大な時間と経験・ノウハウが必要です。
このような課題に対して、ダイキンと日立は、2018年9月から、ダイキンのフッ素ゴム・ダイエル*4を対象に、モノづくりプロセスの革新をめざした新たなソリューションの創生・実用化に向けた協創を進めてきました。ダイキンが製造から販売を横断した現場の事業計画立案業務のノウハウとニーズを提供する一方で、日立がLumada*5の協創アプローチ「NEXPERIENCE*6」を通じてそのニーズを施策パターンとして具現化し、そして株式会社日立ソリューションズ(取締役社長:星野 達朗/以下、日立ソリューションズ)が有するSCM最適化シミュレーション技術を適用して事業計画の立案・実行を支援するソリューションの実証実験を行いました。
その結果、ボトルネック工程の設備稼働率と生産能力向上に伴う人員コストに着目した増産施策や、利益を最大にする調達・生産・販売経路の変更施策など、KPIに寄与する製造・販売施策や、現場制約が加味された実行可能な生産計画を、自動で複数パターン提示することが可能になりました。これにより、製造・販売施策のタイムリーな立案と迅速な意思決定が可能になるとともに、需給調整や施策立案に携わる担当者はお客さま起点のSCM施策や事業計画の検討・実行に一層注力できるようになります。
ダイキンでは、本ソリューションを活用することで、これまで需給調整担当者が膨大なデータを基に人手で立案していた製造・販売施策や生産計画について、世界中のお客さまの要求納期に対応する施策・計画を、日単位でタイムリーに検討できるようになりました。さらに、新型コロナウイルス感染拡大による市場の急激な需要変動に対しても本ソリューションの有用性が確認できたことから、このたび本格的な運用を開始しました。
これまで、高度な生産技術を有するダイキンと、自ら製造業として長年培ってきたOT*7と IT を融合し先進のデジタル技術を活用したLumadaソリューションを提供する日立は、それぞれの技術・ノウハウを生かした次世代生産モデルの実現に向けて、ろう付け作業のデジタル化*8やフッ素化学品の反応プロセスのデジタル化*9に関する協創に取り組んできました。本協創は、両社の協創の新たなステップとして、経営視点での価値最大化に資するテーマとなります。
今後、ダイエル以外の化学品への適用拡大を図るとともに、本ソリューションと製造現場データの収集基盤を連係させることで、よりタイムリーかつ高精度な分析と経営判断につなげていく計画です。
日立は、今後、本協創で培ったノウハウ・技術を活用し、Lumadaの製造業向けソリューション*10としてグローバルに事業展開していきます。
本ソリューションを活用して自動立案した製造・販売施策シナリオの例
日立は、OT(Operational Technology)、IT(Information Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2019年度の連結売上収益は8兆7,672億円、2020年3月末時点の連結従業員数は約301,000人でした。日立は、モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野でLumadaを活用したデジタルソリューションを提供することにより、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献します。
株式会社日立製作所 産業・流通ビジネスユニット ソリューション&サービス事業部
以上