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企業情報ニュースリリース

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2019年10月4日

AIを活用し、医薬品の効果に影響を与える重要因子を探索する
「Hitachi Digital Solutions for Pharma/バイオマーカー探索サービス」を提供開始

未知のバイオマーカー候補を高精度に検出する新開発AIで、より効果の高い医薬品開発や開発期間短縮に貢献

[画像]「Hitachi Digital Solutions for Pharma/バイオマーカー探索サービス」で用いる新開発AIの特長
「Hitachi Digital Solutions for Pharma/バイオマーカー探索サービス」で用いる新開発AIの特長

  株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、AIを活用し、医薬品の効果に影響を与える重要因子(バイオマーカー*1)を探索する「Hitachi Digital Solutions for Pharma/バイオマーカー探索サービス」(以下、本サービス)を本日から提供開始します。本サービスのAIには、日立が新たに開発したディープラーニング*2技術を使用しており、人体の遺伝子情報や電子カルテなどの医療データから、医薬品の効果に関連する因子を抽出し、それらの因子を用いて簡便な数式を組み立てることで、医薬品の効果を表す指標を自動生成します。この技術により新たなバイオマーカー候補を高精度に検出できることから、効果の高い医薬品の開発とその開発期間短縮に貢献します。今後、本サービスを、デジタルイノベーションを加速する「Lumada」の医薬品メーカー向けソリューションの一つとして展開していきます。
  なお、本サービスは、大日本住友製薬株式会社(代表取締役社長:野村 博)をはじめとした医薬品メーカーのお客さまに適用し評価をいただいています。

  近年、高齢化社会の進展により医療費が増大するとともに、医療技術の高度化に伴って医薬品の開発費も高騰しており、医薬品メーカーは、迅速かつ効率的に医薬品を開発し、市場に投入していくことが求められています。しかし、遺伝子検査や画像診断技術の急速な発展によって人体の膨大な情報を取得できるようになり、従来の人手による統計解析*3のみでは、医薬品の効果を予測するバイオマーカーの探索が困難になりつつあります。
  こうした中、日立は、医療データ解析に適したAIの開発を進め、患者の再入院リスク予測*4,5や、臨床試験における情報収集業務の効率化に向けた協創*6に取り組んできました。そして今回、これらの知見・ノウハウを活用し、新たに開発したAIを用いて本サービスの提供を開始します。
  本サービスでは、まず、医薬品メーカーのお客さまが治験などで取得した医療データの提供を受け、それらを日立のデータサイエンティストが新開発のAIを用いて分析します。そして、数百億以上の因子と数式の組み合わせパターンの中から、医薬品の効果を予測可能な、定式化がなされた指標を、バイオマーカー候補として高精度に検出してお客さまに提供します。本サービスを活用することで、お客さまは、バイオマーカー候補の探索における統計処理に時間を割く必要がなくなり、バイオマーカーの医学・薬学的な検証や考察に専念することが可能になります。また、本サービスでは、医薬品の奏効・非奏効を高精度に予測可能な指標や、疾病の予後を予測する指標をバイオマーカー候補として提供できるため、さまざまな患者層別化*7を実施する目的に使用できます。

新開発のAIについて

  本サービスで用いるAIには、医薬品と人体の関係を表すバイオマーカー候補を高精度に探索・生成するために、ディープラーニング技術を導入しています。従来のディープラーニングは、数万から数億にもおよぶ人工ニューロン*8からなるネットワークに複数の因子を入力して、別の因子を新しく生成することで、予測精度を飛躍的に高めてきました。しかし、ディープラーニングが生成した因子とその生成過程は、人が理解するにはあまりにも複雑なため、分析結果の根拠を提示することが求められる医薬品の開発に適用するのは困難でした。
  そこで日立は、人体の遺伝子や電子カルテなどの情報から医薬品の効果に関連する因子を抽出し、それらの因子を用いて簡便な数式を組み立てることで医薬品の効果を表す指標を生成可能な、人に匹敵するレベルで思考する独自のディープラーニング技術を開発し、2018年4月からお客さまとの協創を通して検証した結果、新開発AIの有効性を確認しました。
  これにより、人が医学・薬学的にバイオマーカー候補の有効性を判断できる分析結果を表示することが可能になるとともに、遺伝子解析のように、データのサンプル数が少なく、因子数が膨大な場合でも、バイオマーカー候補を素早く高精度に検出することが可能になります。また、複数の因子を組み合わせて計算することで得られる医学的な指標、例えば肥満を表す指標であるBMI*9や、腎機能を表す検査値であるクレアチニンクリアランス*10などを、人手に頼らずにAI自らが発見していくことも期待されます。

「Hitachi Digital Solutions for Pharma」について

  「Hitachi Digital Solutions for Pharma」は、臨床試験や外部データなどの医薬品業界に関するさまざまなデータを収集・蓄積・分析し、医薬品バリューチェーンにおけるイノベーションを支援するLumadaのサービス群です。本サービス以外にも、治験情報提供サービス、MR配置シミュレーションサービス、関連遺伝子探索サービスなどを提供しており、今後もサービスメニューの拡充・提供を行っていきます。

*1
バイオマーカー: 病気の診断、治療の効果、医薬品の効果の指標として、客観的に測定され評価される特性。
*2
ディープラーニング: 脳の神経細胞のメカニズムを取り入れたニューラルネットワークによる機械学習手法。
*3
統計解析: データを分析し、データに含まれる傾向を客観的に説明すること。
*4
2017年12月12日ニュースリリース「日立とPartners HealthCareが、AIを用いて心疾患患者の再入院リスクの高精度な予測に成功」
*5
2018年12月12日ニュースリリース「AIを用いた患者の再入院リスクの予測値とその根拠データを提示することができる情報ダッシュボードを開発」
*6
2018年3月26日ニュースリリース「田辺三菱製薬と日立が、AI技術を活用し新薬開発における臨床試験の効率化に向けて協創を開始 」
*7
患者層別化: ある疾患に属する患者を、バイオマーカーを用いて更にいくつかのグループに分類すること。それぞれのグループに適した治療法を選択することを目的とする。
*8
人工ニューロン: 人間の脳神経を模したニューラルネットワークを構成する基本単位。
*9
BMI(Body Mass Index): 身長(m)の2乗に対する体重(kg)の比で計算される、体格を表す指標。
*10
  クレアチニンクリアランス: 血清中のクレアチニン(筋肉内にあるクレアチンが代謝した最終産物)が腎臓でどの程度排泄されるかを表す指標。(140-年齢)×体重/(72×血清クレアチニン値)で算出される。

日立製作所について

  日立は、OT(Operational Technology)、IT(Information Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2018年度の連結売上収益は9兆4,806億円、2019年3月末時点の連結従業員数は約296,000人でした。日立は、モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野でLumadaを活用したデジタルソリューションを提供することにより、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献します。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所 産業・流通ビジネスユニット

以上

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