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2018年5月8日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
株式会社日立製作所
中小規模配電事業者向け事業モデル構築をめざす
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(理事長:石塚 博昭/以下、NEDO)と株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、スロベニアの国営送電事業者であるELES, d.o.o.(以下、ELES)と共同で推進している実証事業について、2016年11月から構築を進めてきた中小規模の配電会社向けのクラウド型統合配電管理システム(DMS)*1が完成し、2018年5月末から試運転、7月末から運転開始します。
実証事業では、スロベニアの配電会社2社の配電系統に、クラウド型サービスによりコストを削減したDMSを構築し、適正電圧の維持や停電時間の短縮などスロベニア、さらには同様の課題を持つEU諸国での課題を解決する機能の実証を行うとともに、それを用いた中小規模の配電事業者向けの事業モデルの構築をめざします。
スロベニアのエネルギー政策では、2020年までに最終エネルギー消費量の25%を再生可能エネルギーにし、エネルギー効率を20%改善する目標を掲げており、2016年11月4日に発効した地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」にも批准しております。一方で、スロベニアは、製造業が盛んで、2004年のEU加盟後は域内有数の高い成長率と豊かな生活水準を誇り、電力需要が増加しています。しかし、配電会社の設備は老朽化が進みつつあり、設備更新に向けた投資費用の増加が予想されています。このため、今後、再生可能エネルギー・電力需要の増加に伴い発生することが想定される電圧変動、停電、過負荷、予備力確保などの問題を解決する、より高度で経済的な配電系統の管理技術が求められています。
このような背景の中、2016年11月25日にNEDOとスロベニアの経済開発・技術省、インフラ省は、スマートコミュニティ実証事業開始に向けた協力覚書(MOC)*2ならびに議事録(MOM)*3を締結しました。また、同時にNEDOは、スロベニア国営送電会社ELESと共同で開始する実証事業に合意、基本協定書(MOU)*4を締結、委託先として日立および株式会社みずほ銀行を選定し、2019年12月までの予定で正式に実証を開始しました。
実証事業では、スロベニアの配電会社2社の配電系統に、クラウド型サービスにより初期投資および保守費用を削減したDMSを構築し、適正電圧の維持や停電時間の短縮などスロベニアさらには同様の課題を持つEU諸国での課題を解決する機能の実証、およびそれを用いた中小規模の配電事業者向けの事業モデルの構築をめざします。具体的には、仮想化のアーキテクチャーを採用した複数の配電会社が利用可能なクラウド型統合DMSシステムを開発し、スロベニアの首都リュブリャナ郊外にある通信会社Stelkom社のデータセンターにサーバを集約・設置、2社の配電会社に対して統合DMSのサービスを提供します。統合DMSには、基本機能に加え再生可能エネルギー大量導入の阻害要因である電圧変動を緩和するVVO*5(電圧・無効電力最適化)機能や停電時間を最小化する配電系統向け事故監視機能、配電網への設備投資を延伸するためのDR*6機能などの高機能を実装しました。また、統合DMSから監視制御を行うために、配電網に開閉器/RMU*7、OLTC*8(負荷時タップ切換器)付き変圧器、計測器なども設置しました。
今後、日立とELESでは、本実証の分析・評価結果をもとに、今後クラウド型DMSをサービス形態で提供するビジネスモデルの他地域での展開について検討していきます。
実証運転の開始に先立ち、5月8日(現地時間)に、リュブリャナで運転開始式を行いました。式典には、ミロ・ツェラル首相、福田在スロベニア日本国大使をはじめ多数の関係者が出席しました。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
スマートコミュニティ部 [担当:横田、濱田、浅野、永田、出脇]
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電話 : 044-520-5274(直通)
株式会社日立製作所 社会ビジネスユニット 社会システム事業部
電力情報制御本部電力情報制御部 [担当:深澤]
〒101-8608 東京都千代田区外神田一丁目18番13号
電話 : 080-2016-5034(直通)
以上