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2017年5月25日
株式会社 日立製作所
国立大学法人 北海道大学
呼吸で移動する腫瘍へピンポイントで照射する技術により、患者負担を軽減
株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)と国立大学法人北海道大学(総長:名和 豊春/以下、北大)は、このたび、動体追跡粒子線がん治療装置(特許第05896211号)に関する発明で、平成29年度全国発明表彰で最も優れた発明に贈られる「恩賜発明賞」を受賞しました。
全国発明表彰は、日本における発明、考案または意匠の創作者ならびに発明の実施および奨励に関し、功績のあった研究者・科学者を顕彰することにより、科学技術の向上および産業の発展に寄与することを目的として1919年に創設されました。
粒子線がん治療は、放射線によるがん治療法の一つであり、水素の原子核である陽子や炭素イオンなどの粒子を加速器で高速に加速し、生成した粒子線を腫瘍に集中して照射することでがんを治療するものです。治療に伴う痛みがほとんどなく、他の放射線治療に比べて副作用が少ないため、治療と社会生活の両立が可能であり、生活の質(QOL: Quality of Life)を維持しつつ、がんを治療できる最先端の治療法として国内外の医療機関で導入が拡大しています。従来、頭部の腫瘍のように移動しない部位では、腫瘍に集中して粒子線を照射するピンポイントの治療が可能でしたが、肺や肝臓のような体幹部の腫瘍は呼吸などで移動するため、腫瘍位置をリアルタイムで捉えて正確に粒子線を照射する技術が求められていました。
こうした背景のもと、日立と北大は内閣府/日本学術振興会・最先端研究開発支援プログラムの支援を受け、日立が持つスポットスキャニング照射技術と、北大が持つ動体追跡照射技術の両方を世界で初めて搭載したシステムを共同開発しました。両者の持つ技術を融合した本発明を活用することで、移動する腫瘍に対するより正確な照射と、その照射をより短時間に行い患者への負担を軽減することを両立させることが可能となりました。北大病院では、2014年から本技術を適用した陽子線によるがん治療を行っています。
日立と北大は、今後も、医学・工学分野における両者の優れた技術・知識・経験を組み合わせ、QOLに優れた最先端の放射線医療・がん治療に貢献していきます。
なお、表彰式は、6月12日(月)にホテルオークラ東京で開催されます。
以上