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2017年3月16日
国立大学法人金沢大学
株式会社日立製作所
IoTを活用した社会インフラの安全性向上に貢献
国立大学法人金沢大学(学長:山崎 光悦/以下、金沢大)と株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、自動運転機器の誤作動の原因となる電磁ノイズ*1の発生源を特定可能な小型センサーを開発しました。今回、センサーの小型化実現により、自動車や鉄道車両などへ複数のセンサーを設置可能となったことに加え、複数のアンテナを組み合わせた構造にすることで、経年劣化が進んだ機器から発生する低周波数帯域の電磁ノイズの方向を高精度に検知し、その発生源を正確に特定することが可能となりました。本センサーにより電磁ノイズを常時監視し、走行制御に関わるセンサーデータの欠落を予防することで、自動運転機器や交通システムなどの誤作動リスクを回避します。
今後、金沢大と日立は、電磁ノイズを検知するセンシング技術の適用を進めることで、社会インフラの安全性向上に貢献します。
近年、IoTの進展に伴い、自動車や鉄道車両などに搭載されている機器と関連システムとのデータ連携や、自動運転化に向けた取り組みが加速しています。長期にわたり機器やシステムの信頼性や安全性を確保するためには、機器の高信頼化に加え、正常なセンサーデータの取得が不可欠です。しかし、経年劣化した機器や集積した電子機器からは、低周波数帯域の電磁ノイズが漏れ、周囲の信号やセンサーデータを欠落させて、機器やシステムの誤作動を引き起こす可能性があります。
現在、低周波数帯域の電磁ノイズの発生源を特定する技術としては、無線通信に利用される、高周波数帯域の方向推定手法*2を応用する方法と、ポインティングベクトル*3による方向推定手法があります。しかし、高周波数帯域の方向推定手法を用いる場合、センサーの大型化もしくは広範囲にセンサーを設置する必要があるなど、実際に自動運転機器向けに活用することは困難でした。また、ポインティングベクトルによる方向推定手法は、電界、もしくは磁界のいずれかを測定し、もう一方の値を数値変換により求めることで発生方向を推定する手法のため、実際の方向とは45度程度の誤差*4が生じてしまうことから、電磁ノイズ発生源の正確な特定はできませんでした。
そこでこのたび、金沢大と日立は、低周波数帯域の電磁ノイズの発生源を高精度に特定するため、ポインティングベクトルの手法を応用し、同一地点で、3次元の電界と磁界を同時計測する小型センサーを開発しました。本センサーの特長は以下の通りです。
従来、磁界の計測にのみ使用されていたループアンテナを、同一平面上に2つ並べた対の構造とすることで、ループアンテナ間で発生する電界の同時計測が可能になりました。
対になったループアンテナを3つ組み合わせ、中心の電磁ノイズ検出回路がデータを一括取得する構造とすることで、電界と磁界のデータを同時に、縦・横・奥行き方向の3次元で取得可能になりました。ループアンテナが直交する構造のため、互いに干渉することなく計測精度を向上できたほか、対構造のループアンテナの中心部に検出回路を集約できたため、センサーを110mm四方に小型化することができました。
今回開発したセンサーを用いて、200kHz〜10MHzの低周波数帯域の電磁ノイズの方向推定を行った結果、実際の方向と2度以下の誤差で検知可能であることを確認しました。これは、センサーから発生源までの距離が3mの場合、10cm以下の誤差です。センサーを3個用いることで、推定した方向の3点が交わる箇所を、電磁ノイズの発生源として特定可能であることから、その部分の対策や修理を実施することで、機器の誤作動を未然に防ぐことができます。
今後、金沢大と日立は、本センサーを活用した、自動運転機器の誤作動予防システムの構築などを通じ、社会インフラの安全性向上に貢献します。
本成果の一部は、2017年3月22日〜25日に名城大学で開催される、「2017年電子情報通信学会総合大会」で発表予定です。
理工研究域電子情報学系 教授 八木谷 聡
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研究開発グループ 技術統括センタ [担当:阿部、藤原]
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以上