社会
考え方・方針
日立は、プラネタリーバウンダリーを守り、人々のウェルビーイングを向上させることによって、長期的かつサステナブルな事業成長を実現し、社会的価値を創造するための重要な推進力として、DEIに取り組んでいます。日立は、従業員一人一人を歓迎し、公正な機会を確保し、誰もが組織の一員であると感じられる、多様でインクルーシブな企業をめざしています。日立では、他者を尊重しない行為は一切許されません。
性別や文化、世代、バックグラウンド、障がいやニューロダイバーシティなど、あらゆる面での従業員の多様性(ダイバーシティ)は、イノベーションを起こすために不可欠です。しかし、それだけでは十分ではありません。多様性を活用するためには、構造的なアプローチを通じてすべての人が公正な機会を得られるようにし(エクイティ)、誰もが受け入れられ、尊重され、自由に発言でき、そして組織に貢献できると感じられるようなインクルーシブで安全な環境を確保する必要があります(インクルージョン)。このため、日立はグループ戦略として、D・E・Iという3つの枠組みにわたる取り組みを、グローバルと地域の両軸で推進しています。
日立は、2022年9月に「日立グループ ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)ポリシー」を策定し、2024年4月に改訂しました。改訂版には、新たに2つのグローバルDEIトピック(LGBTQIA+、障がいおよびニューロダイバーシティ)を追加し、またアライシップと心理的安全性に焦点を当てています。このポリシーに基づき、日立はDEIの取り組みを推進し、以下の実現をめざします。
日立は、お互いの個性を尊重し大切にします。互いに協力し、支え合う環境をつくることで、私たちの企業文化が社会に貢献するという使命を成功へと導きます。
共に力を合わせれば、より強くなれるからです。Together, we are stronger.
体制
DEIとインクルーシブな企業文化は、サステナブルな事業成長の原動力となります。これらを強力に発展させるため、日立はロレーナ・デッラジョヴァンナをChief Sustainability Officerに任命し、サステナビリティの一環としてDEIを推進しています。Chief Sustainability Officerのリーダーシップの下、日立はグローバルおよび各地域のDEI体制を強化しました。ビジネスニーズや地域の優先事項に沿って、グループの方向性の検討や、DEIに関する施策、DEI目標の達成に取り組んでいます。
グローバルにおいては、役員レベルと現場レベルの双方でDEIに関する議論をすることで、方針や施策の共通理解を図っています。各事業・地域の代表が参加するシニアDEIカウンシルとグローバルDEIカウンシルは、各国の人財部門と連携したグローバルDEI戦略の推進を目的に開催しています。シニアDEIカウンシルでは、グローバルDEI戦略の策定、グローバルDEIカウンシルは、優先的に取り組むべきDEIトピックの特定や施策の実施をしています。なお、重要事項については、経営会議で審議・議論し、必要に応じて取締役会へ報告しています。
地域においては、6つの地域(アメリカ、EMEA、インド、中国、東南アジア、日本)に地域DEIリーダーおよびDEIチームを設置し、地域のニーズとビジネス戦略に沿った取り組みを推進しています。
グローバルダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン本部は、グループ施策の実施サポートや、インクルーシブな文化の醸成、公正なプロセスと方針を確保するためのDEI戦略を実施しています。DEIの取り組みをさまざまな指標を用いて評価し、中核となるアクションや優先事項を定めています。ビジネスユニット(BU)、コーポレート部門、グループ会社間の円滑なコミュニケーションを図るため、同本部は、グループ内の主要なステークホルダーが参加するワーキンググループ・セッションを設け、DEIトピックの議論や事例の共有、課題の特定および実用的な解決策の検討などを行っています。また、人財部門との緊密な連携のもと、すべての従業員が日立の各種方針や制度を利用できる環境づくりに取り組んでいます。同時に、従業員一人一人の力を引き出すインクルーシブ・リーダーシップの強化に努めており、社内プロセスの透明性の向上と社内連携の強化にも注力しています。
グローバルDEIマネジメント体制
DEIカウンシルおよび従業員リソースグループ
一部のBUおよびグループ会社は、独自のDEIカウンシルを設立し、施策の方向性の決定や、進捗状況のモニタリング、取り組み内容の特定を行っています。
また、ボトムアップのアプローチでDEI 戦略を推進するため、日立は従業員リソースグループ(ERG*1)を設け、女性のキャリアアップ、LGBTQIA+、世代の多様性、文化的多様性、障がいなどのトピックに焦点を当てた活動をしています。
*1 ERG(Employee Resource Groups):共通の特性や経験に基づいて活動する従業員主導のグループ
戦略・目標
日立は、2020年度に、現状とのギャップ分析を実施しました。この分析に基づき外部評価を活用し、ビジネスユニット(BU)、コーポレート部門、グループ会社が連携して、事業戦略の見直しを行いました。また、この分析結果を踏まえて、下記の中長期的なグローバルDEI戦略を策定しました。
2024年度からは、改訂版DEIポリシーに沿ってDEI戦略を強化しています。 強化した戦略では、多様性のあらゆる側面に対応しています。日立は、その中でDEIビジョンを達成するために、すべてのビジネスや地域に共通する3つの重要なトピック(ジェンダー多様性、文化的多様性、世代の多様性)を特定し、さらに2つのトピック(LGBTQIA+、障がいおよびニューロダイバーシティ)を加え、エクイティ(公正性)とインクルージョン(包括性)の観点から活動に取り組んでいます。
ジェンダー多様性および文化的多様性については、グループ全体のリーダー層の多様性を高めるため、日立の各BU、コーポレート部門、およびグループ会社が具体的目標を設定しています。日立が事業展開する産業分野や市場が幅広いことから、目標設定にあたっては事業別・地域別に議論を行い、DEIの推進がそれぞれの課題に貢献できる点を検討しました。
これらのグローバルDEIトピックを念頭に、日立は、多様な人財の意見を組織に反映し、インクルーシブな行動を促し、グループ全体での公正性を確保するため、「5つの柱」に基づく行動計画を実行しています。
日立DEI戦略
5つの柱に基づいた行動計画
5つの柱 | 内容 |
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リーダーのコミットメント |
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企業文化 |
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採用 |
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リテンション |
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昇進 |
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戦略・目標
マテリアリティ
日立は、役員と従業員の構成は、社会の構成を公正に反映したものであるべきだと考えています。
そのため、日立製作所は、2030年度までに役員層における女性比率・外国人比率を、それぞれ30%とすることを目標とし、ダイバーシティの向上に努めています。2024年6月時点の役員層における女性比率は11.8%、外国人比率は25%となり、2030年度の目標に着実に近づいています。
役員層における女性比率・外国人比率(日立製作所)
活動・実績
日立は、DEIの観点から、さまざまな取り組みを継続的に実施しています。これらは日立グループDEIポリシーおよびグローバルDEIトピックを実行に移すもので、DEI戦略の展開につながっています。
取り組みの一つに、従業員リソースグループ(ERG)があり、女性、LGBTQIA+、文化的多様性など特定のトピックに焦点を当てています。日立はERGの活動を支援することで、職場の多様性の向上をめざしています。ERGは様々な国と地域で取り組んでおり、特定の従業員が職場で直面しうる潜在的な障壁への気づきをもたらし、機会均等と差別の排除に貢献しています。
活動・実績
ダイバーシティ(多様性)は事実です。
私たちはそれぞれがユニークな個性を持ち合わせています。
多様性を受け入れるという事は、すべての人にとって居場所があり、それぞれの個性を活かした貢献が尊重されるということです。
ジェンダーの多様性は、日立が長期的かつサステナブルな事業成長を維持するために欠かせません。世界人口の約半分は女性であり、日立が社内のあらゆる階層で適切なジェンダーバランスを保つことは、市場や社会のニーズを理解することにつながります。
このため、日立はすべての人財が生き生きと働き、活躍できる職場づくりに取り組んでおり、2023年度の女性管理職比率は14%に達しました。
女性管理職数と比率の推移(日立グループ)
Note:3月末時点の在籍者人員数(日立から他社への出向者および休職者を含め、他社から日立への出向者を除く)に基づく。人員データベースに未登録の一部直接員(製造ワーカー)および一部新規連結対象会社従業員は含まない。2023年度末時点における一部直接員(製造ワーカー)は2.3万人、一部新規連結対象会社従業員は0.8万人。女性管理職の数および比率の経年増加には、集計対象範囲の拡充および連結対象会社の変動によるものを含む。なお、人員データベースにグレード(役職)未登録の従業員は含まない
日立エナジー
日立エナジーは、女性活躍の加速をダイバーシティビジョン「ダイバーシティ360」の柱の一つに位置づけています。「ダイバーシティ360」は、日立エナジーにおいてダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンを実践するための360度アプローチです。すべての人々へ持続可能なエネルギーの未来を推進するために従業員を支援し、真にインクルーシブな従業員体験を提供することを目的としています。
GlobalLogic
グローバル企業向けにアルゴリズムのトレーニングを提供するGlobalLogic(北米)のコンテンツエンジニアリング事業では、組織における多様性を維持することで、ジェンダーバイアスの排除に取り組んでいます。なお、GlobalLogic(北米)では、新規採用における女性の割合も増加しています。
文化的に多様であるということは、日立のグローバルな性質を反映するチームを作り出すということです。2023年度末時点で、日立グループの海外売上収益と海外従業員比率はそれぞれ約60%を占めるなど、日立は日本のルーツを持ちつつ、世界でイノベーションを創出する企業へと成長しました。グローバルかつ多様な事業ポートフォリオにおいて、特に働く人々の意思決定を反映し、インクルーシブな職場を作ることめざしています。
国籍にかかわらず昇進の機会を整え、多様なリーダーが活躍する環境になることで、新たな市場の開拓とグローバルにおける持続的な事業成長が実現します。日立では以下のプログラムを行っています。
日立製作所および日本国内の日立グループ会社は、特例子会社と連携し、オンラインでの障がい者採用フェアを開催するなどして、障がい者雇用を進めています。
2024年6月時点の障がい者雇用率は、日立製作所で2.64%、日本国内の日立グループ全体で2.65%となっています。
障がい者雇用者数と雇用率の推移(日立製作所)*1
Note :データは各年度とも6月1日時点。人数は、法定雇用率の算定における障がい者雇用者数のカウント方法に従う
*1特例子会社およびグループ適用会社を含む(2024年6月のグループ適用は特例子会社1社およびグループ適用会社21社)(日立製作所を含む)
*22012年度までは法定雇用率1.8%、2013~2017年度は2.0%、2018年度は2.2%、2021~2023年度は2.3%、2024年度は2.5%
活動・実績
エクイティ(公正性)は選択です。
公正性とは、日立で働いている誰もが能力を発揮できるように環境を整えることです。日立はすべての人に対し公正な機会を確保し、且つ透明性をもって接します。
私たちは一人一人が異なっているため、誰もが能力を発揮できるようにするには、一人一人に合うように環境を整える必要があります。私たちは誰もがその能力を最大限に発揮できるような方針、ツールなどを含む適切な対応を提供します。
日立では従業員に対し、GPM(グローバル・パフォーマンス・マネジメント)における個人目標のうち少なくとも5%分をDEIに関連した目標にすることを求めています。2023年10月から段階的に開始し、2024年4月からはグループグローバル規模で導入しました。この取り組みを通じて日立は、従業員一人一人がインクルーシブな企業文化と職場環境との構築に積極的に貢献することをめざしています。
日立レール
日立レールは2023年度、イタリアを先行国として、ISO 30415:2021(人的資源管理-多様性と包括性)の認証を取得しました。ISO認証30415は、DEIに関して最も重要な国際認証の一つです。この認証は、日立レールが組織における不平等の解消とあらゆる方針とプロセスにおける公平性の担保に取り組み、DEIの進展に注力し続けてきたことが認められたものです。
同社は、障がい者雇用に関するHigh-Speed Talent Diversity for Inclusionプロジェクトなど、採用のプロジェクトにおいてもDEIに取り組み、インクルーシブで充実した協働の促進をめざしています。
ジェンダーにおける公正性と包括性を推進するためには、女性一人一人が個人の意思と強みに基づいて能力を発揮できる機会を得られるようにすること、そして公正な採用プロセスとインクルーシブな職場環境の確保が欠かせません。また、誰もがどこにいても活躍できるよう、構造的な不平等を解消することも重要です。
日立は、幅広い役割への女性の採用をはじめ、女性リーダーの育成に取り組んでいます。日立は、日立で働くすべての女性が、受け入れられ尊重されていると実感し、独創的な発想を通じてイノベーションに貢献することをめざしています。
社内外に対する透明性を高めるため、日立はグローバルDEIデータオフィスを立ち上げました。この目的は、KPIと進捗状況を追跡し、DEIに関する意思決定をデータに基づいて行い、ビジネスコラボレーションにおけるDEIの役割を明確に示すことです。さらに、DEIの実行を加速させる領域を特定するのに役立ちます。
日立は、従業員の性別に関係なく、同一の報酬や福利厚生制度を適用しています。2023年度に、日立は男女間賃金差異(男性1人当たりの賃金に対する女性1人当たりの賃金の割合)の調査を初めてグローバル規模で実施しました。その結果、割合はグローバル全体で80.1%であり、日本では69.4%、その他の地域で89.9%でした。
男女間賃金差異は、上位等級における男性比率の高さを含めたさまざまな要因でもたらされます。特に日本では、男性に比べて女性管理職の割合が低く、また短時間勤務を行う従業員の割合が男性に比べて女性が高くなっています。日立は、今後も日本における女性管理職登用促進を含むDEI活動を通じて、賃金の差異を解消していきます。
日立エナジー
日立エナジーは、同一賃金、柔軟な働き方、ERGなど、従業員のライフサイクルに関連するすべての方針にDEIを組み込んでいます。「ダイバーシティ360」プログラムの一環として、日立エナジーは中間管理職向けのメンタリングを含む人財育成プログラムを導入しました。現在までに、86人の女性リーダーがこのプログラムを修了しています。公正でインクルーシブな環境を構築するための改革の一環として、下記に取り組みました。
日本におけるジェンダー・エクイティ
日立製作所および国内グループ会社は、女性のキャリア構築を支援しています。そのために日立では、育児を担う従業員が男女を問わず仕事とプライベートを両立できるよう、方針や制度、研修を整備し、全員に同じ機会を提供しています。主に下記の取り組みを行っています:
日立エナジー
日立エナジーは、世代間のギャップを埋めるために、コラボレーティブ・ラーニング・フレームワーク(メンタリングおよびコーチング、コラボレーション手法を組み合わせたラーニングサークル)に取り組んでいます。グローバル・メンタリング・フレームワークの2つの具体的なツールは、リバース・メンタリングとリーダーシップ・メンタリングです。
日立ハイテク
日立ハイテクアメリカでは、優秀な人財を支援およびリテンションするため、「メンターシップ・プログラム(EMPower)」を推進しています。このプログラムは、従業員のスキル・知識を高め、専門性の向上および自己成長を実現することをめざしています。
日立は「LGBTQIA+ツールキット」を発行し、LGBTQIA+に関連する用語や、職場で簡単に実践できる具体的な行動を紹介しています。
「LGBTQIA+ツールキット」は、従来の「LGBTQIA+ガイドブック」の内容に、より実践的なアライシップの行動例や、ジェンダー・アファメーション、プロナウンや希望する氏名の使用に関するガイドを追加したものです。
日本におけるLGBTQIA+エクイティの取り組み
2020年4月より、日立製作所と日本におけるほぼ全てのグループ会社において、同性パートナーを持つ従業員が、異性パートナーを持つ従業員と同等に、介護休業や育児・両立支援などの福利厚生を受けることができるようになりました。また、日立製作所と複数のグループ会社は、LGBTQIA+コミュニティの支援や、公正でインクルーシブな職場環境への取り組みが評価され、一般社団法人work with Prideが主催する、性的マイノリティーに関する取り組みの評価指標「PRIDE指標2023」を受賞しています。
日立ヴァンタラ
2023年、日立ヴァンタラは、ヒューマン・ライツ・キャンペーンの「企業平等指数」で95点を獲得しました。この指数は、LGBTQIA+コミュニティに対する企業のポリシー、慣行、福利厚生に関する全米ベンチマークツールです。高評価につながったのは、マイノリティグループや女性、LGBTQIA+、障がい者など多様性の観点を、調達先の選定基準に含めた点です。2024年に「企業平等指数」のスコアにおいて、2022年度同様に100点を獲得することをめざし、ジェンダートランジションガイドラインの改善に取り組んでいます。2023年4月に、同社は反LGBTQIA+立法に反対する立場を示すため、ヒューマン・ライツ・キャンペーン・ビジネス・ステートメントに署名しました。
日立エナジー
2024年6月、日立エナジーは、プライド月間の活動の一環として、ジェンダー・アファーメーション・ガイドラインを公開しました。本ガイドラインは、性別を変更する従業員およびその上司や同僚の責任と期待について、お客さまとの関わり方の観点も含めて明確に示したものです。すべての従業員が、心理的安全性を保ち適切な共感と敬意のもとに性別変更に向き合えるよう、公式なガイドラインとして作成しました。また、人財部門における対応を準備することにもつなげています。
GlobalLogic
インドでは、人財の発掘、採用、教育および職場の整備などにおける従来の取り組みを改善しました。
また、障がい者のエンパワーメントを推進した結果、インド商工会議所連合会(ASSOCHAM)およびインド国立アビリンピック協会(Sarthak NAAI(National Abilympic Association of India))により「Emerging Employer」として認定を受けました。
日立エナジー
日立エナジーは、2022年の戦略的優先事項として障がい者雇用を掲げるなど、障がい者のエクイティに積極的に取り組んできました。2023年12月には「Advancing Abilities Awareness and Allyship」キャンペーンを実施しました。現在は、選考プロセスの改善のため、Webアクセシビリティの見直しを行っています。これからも障がい者が働き続けられる環境づくりのため、各種方針の整備や研修、バディプログラムを継続し、公正な機会創出に取り組みます。
活動・実績
インクルージョン(包括性)は行動です。
日立におけるインクルージョンとは、一人一人の存在とそれぞれの意見が尊重され、 組織に関与する意識を持てることを意味しています。人々の帰属意識は、自己が受け入れられ、尊重され、自由に発言でき、そして組織に貢献できると感じることから生まれます。そのためにはオープンで共感力があり、全員の心理的安全性が確保される企業文化や行動が欠かせません。
グローバル企業で従業員一人一人の多様性を最大限活用するには、インクルーシブな環境と企業文化の醸成が不可欠です。エクイティは企業の制度や構造と密接に関係しており、インクルージョンは日立の従業員の行動や考え方に関係しています。そのため、インクルージョンを醸成するために、トップダウンとボトムアップの両方のアプローチから一連のアクションを実施し、ビジネスドライバーとしてのDEIの認識を高め、インクルーシブな行動の具体的な例を共有して、全従業員に対し自らの役割についての理解促進を図っています。
日立ハイテク
日立ハイテクは、Hitachi High-Tech WAYの一環として、年間25回のインクルージョンに関するタウンホールミーティングを開催し、累計で約4,000人が参加しました。本タウンホールミーティングは、従業員が仕事だけでなくあらゆるテーマに対して、心理的安全性が担保された環境下で、安心して自由に発言できる場を提供します。
また、日立ハイテクは、DEIとイノベーションの関連性を重視しており、DEIをグローバル全体で浸透させるため、「働き方改革」「ダイバーシティ&インクルージョンの加速」「自己啓発」「日立における女性」「メンターシップ」などに取り組んでいます。
日立レール
日立レールは、2022年に全従業員を対象にデジタル教材「インクルーシブ文化の構築」を展開し、アンコンシャスバイアス、異文化理解、インクルーシブな行動、心理的安全性、障がい者インクルージョンに関するeラーニングやウェビナーを提供しています。引き続き、従業員の学習をサポートするデジタル教材の拡充を図ります。同時に、理解を深めるためのワークショップも試行しています。
日立エナジー
DEI戦略を推進するため、日立エナジーは、「持続可能な明日のためのインクルージョンの推進」と題し、一連のインクルージョン月間キャンペーンとして、ジェンダー(3月)、プライド・アライシップ(6月)、ダイバーシティ360ウィーク(10月)を開催しました。
女性によるさらなる事業への貢献を実現するためには、社内のあらゆる階層や部門における女性リーダーの増加、平等な機会の創出を可能にするポリシーや制度の実施に加えて、インクルーシブな文化の醸成が不可欠です。
日立エナジー
日立ヴァンタラ
日立ヴァンタラは、女性技術者の積極的な登用と、女性従業員および将来の入社希望者のためのキャリア開発の機会提供に取り組んでいます。ジェンダー・ダイバーシティ推進と2025年女性管理職比率30%の目標達成に向けて、下記の取り組みを進めています。
文化的インクルージョンは、日立におけるイノベーションの主要な推進力のひとつです。従業員の文化や背景が多様であることで、お客さまや社会のニーズをより深く理解でき、最適なサービスの提供、ひいてはサステナブルな事業成長へつながると考えています。
このため、日立は、役員・執行役員に占める外国人の割合を30%とする目標を掲げました。
日立は、グループの将来のグローバルリーダーを育成するための確かなパイプラインを構築するとともに、多様な環境の中で、文化の違いを理解し、尊重し、評価しながら、働くために必要なツールを全従業員に提供するよう取り組んでいます。
日立ヴァンタラ
日立ヴァンタラは以下の取り組みを行っています。
日立ヴァンタラのリーダー層はインターカルチャー研修を継続的に受講し、世界中の文化に対する理解促進にも努めています。
2024年5月のグループキャンペーンの一環として、日立ヴァンタラは、世界の文化や行動様式、また多文化の職場における効率的な働き方への意識を高めるため、カルチュラル・インテリジェンス・トレーニング・プログラムを展開しました。
日立には、すべての従業員にとっての居場所があります。あらゆる多様性は、イノベーションの創出と持続的な事業成長の源泉です。LGBTQIA+コミュニティもまた事業成長に貢献しており、日立は個々人の違いに関係なく誰もが活躍できるインクルーシブな環境を推進しています。
2023年6月のプライド月間において、日立は、LGBTQIA+への理解を広げるため、インクルージョンの実践例を共有し、アライシップを促進するキャンペーンを実施しました。LGBTQIA+への支援を示すためレインボーカラーの企業ロゴを初めて公開したほか、活動の一環として、外部講師、ERGメンバー、役員を招き、経験を共有する対面イベントやオンラインイベントを開催しました。
2024年度も、LGBTQIA+に関連する活動において、日立はレインボーカラーの企業ロゴを継続して使用します。6月のプライド月間では、日立は各国でのレインボーパレードに協賛し、地域の取り組みを支援しました。
また6月には、アライシップに焦点を当てたダイアログを開始し、当事者やアライが、アライになる理由や方法など、自分の見解を共有する場を設定しました。
日本におけるLGBTQIA+インクルージョン
日立製作所は、2024年4月に開催された東京レインボープライドにスポンサーとして初めて参加しました。
日立エナジー
2023年6月、日立エナジーは「Advancing Pride」をテーマにインクルージョン月間を展開し、職場においてジェンダーアイデンティティを受け入れるための心構えや、プロナウンの使用、業界における先行事例を取り上げました。また当事者やアライ、リーダーたちの経験を共有し、アライシップの可視化を図りました。
日立は、世界経済フォーラム(World Economic Forum)にて発足した、障がい者のインクルージョンを促進し、ビジネス体制や職場環境の変革を目指すグローバルCEOコミュニティThe Valuable 500に加盟しています。これまで、社内活動を通じてこの変革を支援し、The Valuable 500への取り組みに参加してきました。
その一つに、2023年12月から、障がいのある従業員と経営幹部が直接対話するプログラム「Generation Valuable」への取り組みがあります。本プログラムは、障がいのある従業員と各社経営幹部が直接対話することで、障がいのある従業員のエクイティを確保するためのギャップについて理解を深めることを目的としています。
日本における障がいのインクルージョン
日立は、障がい者への差別をなくし、合理的配慮の理解促進を目的に、国内日立グループ全社に向けて、eラーニング教育「障がい者と共に働く職場づくり」を展開しています。2023年度は、国内グループ会社全体で、約168,000人が受講しました(受講率約95%)。
グループ会社の「日立ゆうあんどあい」では、新たに「採用定着支援部」を設置し、障がい者の長期雇用に向けてより丁寧な支援を実施し、雇用の定着とともに従業員が働きがいを感じることができる職場づくりを推進しています。