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ガバナンス

企業倫理・コンプライアンス

公正で透明性の高い、誠実な経営の推進

考え方・方針

日立は、企業倫理・コンプライアンスは会社を支える基盤であると考え、公正で透明性の高い、誠実な経営を推進しています。従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、一人一人が倫理的に行動できる風通しの良い環境づくりに取り組んでいます。また、従業員のみならず、ビジネスパートナーに対しても、法令遵守の徹底に加えて、「日立グループ企業倫理・行動規範」および各種規則などへの理解を促進しています。万が一、法令や「日立グループ企業倫理・行動規範」などへの違反またはその疑いが発生した場合には、適切な報告および対応がなされるように、「声を上げる」文化の醸成に取り組んでいます。
日立は、企業理念、日立創業の精神、日立グループ・ビジョンを体系化した「日立グループ・アイデンティティ」の実践にあたり、グループ全体で企業倫理・コンプライアンスに取り組むことが重要であると考えています。日立はグループ・グローバルでのコンプライアンス強化を目的とした「One Hitachi コンプライアンスプログラム」の推進を通じて、従業員一人一人が倫理観をもち、誠実で公正に行動できる企業文化を醸成しています。
さらに、バリューチェーン全体での企業倫理・コンプライアンスの徹底に向けて、ビジネスパートナー(調達パートナー、日立のビジネスに関与する仲介業者、エージェントおよびコントラクターを含む)に遵守していただきたい行動の指針として「ビジネスパートナーの皆さまへのお願い」を定め、倫理的な事業活動、人権の擁護などに対する日立のコミットメントへの理解促進を図っています。

日立グループ企業倫理・行動規範の遵守

考え方・方針

日立は、グループ共通の「日立グループ企業倫理・行動規範」を制定しています。毎年実施している企業倫理・コンプライアンス研修を受講したすべての従業員は、研修の中でその遵守を誓約しています。本行動規範には、「企業倫理」「利益相反」「公正で自由な競争」「サステナビリティ」「人権」「多様性・個性の尊重」「コミュニティへの貢献」など、幅広い事項に対する判断の拠り所や取るべき行動が定められています。また、本行動規範を20以上の言語で作成し、日立製作所のWebサイト、および日立製作所やグループ各社のイントラネットなどに掲載することで、役員、従業員および関係するすべてのステークホルダーへ共有しています。
2023年3月には、世界的な社会環境の変化に応じ、その期待に広く応えられる内容とすることをめざして、全面的に改正を実施しました。この改正に際して監査委員に対しその内容を報告しています。さらなる社会環境の変化や法改正を踏まえ、その有効性を保てるよう、コンプライアンス本部が主体となり、毎年レビューを行っていきます。

企業倫理・コンプライアンス推進体制

体制

日立は、企業倫理・コンプライアンス全般を管掌するChief Compliance Officerのもと、「One Hitachi コンプライアンスプログラム」を推進し、グループ全体で企業倫理・コンプライアンスの強化を図っています。コンプライアンスの重要事項については、取締役会のメンバーである監査委員(非業務執行取締役)に対してChief Compliance Officerが定期的に報告を行っています。
また、日本、アジア太平洋(APAC)、欧州・中東・アフリカ(EMEA)および北米、インド、南米に地域コンプライアンスマネージャーを設置しています。日立は地域コンプライアンスマネージャーを通じて、各地域のビジネスユニット(BU)・グループ会社などに対してグローバル・ローカルのコンプライアンスと規制要件への対応を支援するとともに、グループ全体の連携を促進します。
さらに、BU・世界各国のグループ会社などから選任された約700人の倫理・コンプライアンス責任者、コンプライアンスマネージャー、そしてコンプライアンス業務担当者などが連携し、「One Hitachi コンプライアンスプログラム」の効率的・効果的な推進に取り組んでいます。それぞれの選任者は、各BU・グループ会社などにおける従業員へのコンプライアンス教育の推進や従業員の相談窓口としての役割を担うとともに、各社の不正や法令違反のリスクについて、各BU・グループ会社などの法務部門、または日立製作所コンプライアンス本部へ報告し、必要に応じて調査を実施します。
コンプライアンス本部および各地域コンプライアンスマネージャーは、グローバルやローカルの倫理・コンプライアンス責任者、コンプライアンスマネージャー、そしてコンプライアンス業務担当者などとの定期的な会議の場を設け、企業倫理・コンプライアンスに関する最新動向や施策の進捗の共有を行うなど、支援を行っています。

企業倫理・コンプライアンス推進体制

図:企業倫理・コンプライアンス推進体制

企業倫理・コンプライアンス文化の醸成

戦略・目標

活動・実績

日立は、550社以上のグループ会社を含めたグローバル全体での企業倫理文化を推進するための戦略を策定し、施策を実行しています。具体的には、従業員一人一人が何が正しい行動なのかを理解し、倫理的な決断を下すことをサポートするガイドラインや資料を提供し、グループの方針や手続き、法的要請に対応するための支援を行っています。

目標

マテリアリティ

日立は、従業員一人一人が倫理的に行動できる環境づくり、ひいては企業倫理・コンプライアンス文化の構築に向けて取り組みを推進しています。グローバル企業倫理の専門研究機関である米国のEthisphereに委託して実施する企業倫理・コンプライアンスに関する意識調査の結果をKPIとしており、目標として初年度に基準スコア60以上(100点満点)、それ以降毎年度スコアを向上することを掲げています。
2023年6月に実施した第一回意識調査のスコアは76.5となり、初年度の目標を達成することができました。この結果を分析し、「One Hitachi コンプライアンスプログラム」の改善を行った結果、2024年5月に実施した第二回意識調査では、初年度を上回るスコア79.8となり、2年連続で目標を達成することができました。

企業倫理・コンプライアンス研修

日立は、「日立グループ企業倫理・行動規範」や社内規則に基づく企業倫理・コンプライアンス研修を、すべての従業員(派遣、パートを含む)を対象に毎年実施しています。
2023年度は、企業倫理、贈収賄防止、贈答品・旅行・接待、マネーロンダリングの防止、不正行為、公正競争、第三者の所有する情報、データ保護、利益相反、内部通報の奨励と不利益取扱いの禁止、日立グローバルコンプライアンスホットラインなどに関する研修を通じて、コンプライアンス意識の強化を推進しました。「日立グループ企業倫理月間」に合わせて設定した研修期間において、グループ全体で293,985人の従業員が受講し、受講率は79.2%でした。コンプライアンス本部は、すべての従業員が毎年必ず企業倫理・コンプライアンス研修を受講するよう、集計期間後も継続してこの研修を受講可能な状態に保ち、全従業員による受講完了を促進しています。
あわせて、リスク分野の特定や、新たな研修実施の検討に活用するために、研修受講者の地域や職種別の理解度、研修の所要時間に対するデータ分析を実施しました。また、日立の管理職が組織において倫理的な企業文化を推進することを支援するため、倫理的な意思決定の手引き、チーム内での議論のテーマやシナリオ、およびチームメンバーとのやり取りに必要なコミュニケーションのリソースなどを提供する「日立グループマネージャー向け倫理・コンプライアンス教育ツール」を作成しました。
さらに、日立製作所では、「日立グループ企業倫理・行動規範」の周知徹底を図るため、新入社員向けの集合研修、および中途採用者・新任管理職向けコンプライアンス研修を実施しました。

企業倫理・コンプライアンスのリスクアセスメントおよび監査

活動・実績

日立は、すべてのグループ会社に対して、概ね3年ごとに贈収賄・腐敗防止、競争法遵守を含む包括的な企業倫理・コンプライアンスのリスクアセスメントを実施し、重大なリスクの管理・是正に向けた施策の有効性を検証し、改善を要する事項が特定された場合には、適切な是正措置を講じてきました。2023年度以降は、各地域コンプライアンスマネージャーが、担当する国・地域のグループ各社との連携を強化して、リスクアセスメントを実施し、各社におけるリスクの把握とリスクに応じた施策の実施をサポートする体制を築いています。
また、日立では、日立製作所監査室が4年ごとに全BU・グループ会社を対象に実施する内部監査、および各BU・グループ会社の監査部門もしくはコンプライアンス部門が実施する内部監査を実施しています。加えて、2024年度以降は、リスクが高いと判断するグループ会社に対して優先的にコンプライアンス監査を実施しています。コンプライアンス本部は、各BU・グループ会社に対する監査ツールの提供など、監査をサポートし、監査結果のタイムリーな報告・共有を可能とするための仕組みづくりを進めています。

ビジネスパートナーに対するデュー・ディリジェンスの推進

日立は、ビジネスパートナーのコンプライアンス面のデュー・ディリジェンスを行っています。
具体的には、第三者機関のリスク管理システムを活用し、新規に取引を開始しようとするビジネスパートナーの社会的信用性、贈収賄・腐敗などに関するレピュテーションリスク評価を実施しています。これにより、法令違反・不正行為を行った企業、あるいは行う可能性のある企業との取引の未然防止や贈収賄、汚職などに対するリスク低減策を講じるなど、公正で健全なパートナーシップの構築を推進しています。
加えて、グローバルでのビジネスパートナーとの取引開始・更新時における取引先審査のレベル向上・平準化と記録の維持を目的として、外部のサービスプロバイダを活用し、新たなプラットフォームを導入するとともに、社内ではグローバルコンプライアンスチームに専門のデュー・ディリジェンスアナリストを複数名配置するなど、審査および調査レポート作成を行える体制を構築しています。
また、年に一度、すでに取引を実施しているビジネスパートナーを対象にしたスクリーニングを実施することにより、ビジネスパートナーにおいて取引開始後に生じた懸念についてもチェックし、継続的にリスクをモニターすることとしています。
さらに、2024年3月には「ビジネスパートナーの皆さまへのお願い」を作成しました。これは、日立がビジネスパートナーに期待することを定めたもので、倫理的な事業活動、贈収賄および汚職やマネーロンダリングの防止、人権の擁護、公正で透明な事業慣行の維持の重要性を強調しています。すべての取引関係における倫理的な行動の指針として、「日立グループ企業倫理・行動規範」とも整合性を図っています。

ビジネスパートナーの皆さまへのお願い

「声を上げる」文化の醸成

活動・実績

日立は、企業倫理・コンプライアンス問題を早期に発見し未然に防止するためには、通報者が通報によって不利益を被ることなく問題提起や発言ができる「声を上げる」文化の醸成が不可欠と考えています。
従業員が法令や「日立グループ企業倫理・行動規範」への違反またはその疑いがある事項を発見した場合や、事業活動全般に対して疑問を感じた際に、上長や関連部門(人財・コンプライアンス・法務部門)、あるいは「日立グローバルコンプライアンスホットライン」へ相談・通報するよう働きかけています。
また、「声を上げる」文化の醸成に対する経営トップの姿勢を明確に示すため、2023年10月の「日立グループ企業倫理月間」において、執行役社長兼CEOおよびChief Compliance Officerによるメッセージ動画を制作し、声を上げることの重要性を日立グループ従業員に向けて発信しました。

日立グローバルコンプライアンスホットライン(内部通報制度)

活動・実績

日立グローバルコンプライアンスホットラインは、第三者機関が運営する内部通報システムであり、日立グループの従業員、ビジネスパートナー、その他のステークホルダーが利用することができ、24時間365日アクセス可能です。通報者が不利益な扱いを受けることのないよう、法的な要請がない限り匿名での通報が可能であるとともに、寄せられたすべての情報の秘密保持を徹底しています。法令違反、「日立グループ企業倫理・行動規範」への違反、ハラスメントを含む人権侵害などに対して、フリーダイヤルの電話またはオンラインで相談・通報を受け付けています。
電話窓口は、グローバル各地の日立の従業員その他のステークホルダーが、それぞれの母国語で相談・通報できるよう、約50言語に対応しており、第三者機関の専門のトレーニングを受けた相談員が応対します。また、オンライン窓口は、セキュリティが確保されたインターネットポータルを通じて相談を受け付けており、寄せられた情報は、ホットラインを運営する第三者機関が厳重に管理しています。
ホットラインへ寄せられた相談・通報内容は、案件に応じて専門知識のある担当者が解決に向けて適切に対応します。守秘義務のもと、案件ごとに相談・通報内容の確認を進め、さらなる調査が必要であると判断したものについては追加調査を行い、その結果、コンプライアンスに関する問題が確認された場合は、対象者への指導や懲戒対応などの適切な是正措置を講じます。
相談・通報案件の件数、傾向などについては、四半期ごとに、Chief Compliance Officerより監査委員に報告をし、必要な指示を受けています。深刻な違反事案については、直ちにChief Compliance Officerに報告されます。2023年度は、グループ全体で計1,619件の相談・通報がありました。また、2023年度中に1,396件(過年度発生した案件への対応件数を含む)の対応を完了し、その内423件において、コンプライアンスに関する問題が確認されました。

相談・通報体制図

図:相談・通報体制図

2023年度の相談・通報内容の内訳

2023年度の相談・通報内容の内訳
分類 1
労務関連(労務管理、旅費、交通費等)
2
ハラスメント関連
3
財務・経理関連
4
調達関連
5
競争法関連
6
贈収賄関連
7
その他
合計
相談・通報が寄せられた地域
米州 69 186 27 1 2 12 95 392
欧州 28 88 6 4 2 1 88 217
中東・北アフリカ 5 10 4 0 0 1 26 46
サブサハラ 0 3 0 1 0 1 2 7
APAC(日本除く) 51 64 18 0 1 29 172 335
日本 112 322 14 2 1 2 169 622
合計 265 673 69 8 6 46 552 1,619

贈収賄・腐敗防止

方針・考え方

活動・実績

日立は、従業員およびビジネスパートナーの贈収賄、キックバック等の腐敗行為や、米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)をはじめ、各国・地域の贈収賄防止法令に反する行為を一切容認しない姿勢を明確にしています。
「日立グループ企業倫理・行動規範」、「日立グループ贈収賄・腐敗防止規則」に加えて、贈答品・旅行・接待の提供・収受、寄付・政治献金、利益相反、取引先審査手続きに関連する規程やガイドラインを整備しています。役員および従業員は、接待または贈答品を提供・収受する場合や、寄付または政治資金の提供(政治寄付)を行う場合は、贈収賄防止関連法令により認められた範囲を超えてはならず、日立の内部規則を遵守しなければならないことを定めています。また、公務員への接待、贈答などについて具体的な金額や回数の上限を示しているほか、ファシリテーション・ペイメントの禁止や取引先審査手続きなども定めています。
さらに、腐敗行為のリスクを管理するための取り組みとして、(1)贈答品・旅行・接待の提供・収受、(2)ビジネスパートナーの起用、(3)寄付・政治献金、(4)事業買収・合弁事業・その他投融資の取引形態ごとに事前審査の手順を定め、実施しています。その際、トランスペアレンシー・インターナショナルが毎年公表している腐敗認識指数(CPI)のスコアなどに応じて、国・地域別の腐敗行為リスクを審査の過程で考慮しています。

贈収賄・腐敗防止の啓発活動

日立は、毎年実施している企業倫理・コンプライアンス研修の中で、主要テーマの一つとして贈収賄・腐敗防止を取り上げています。同研修では、贈収賄・腐敗防止の徹底の観点から、贈答品・旅行・接待についても、より具体的な内容を盛り込んでいます。また、贈収賄・腐敗防止に関するグループ共通の教材をイントラネットに掲載し、各グループ会社で活用できるようにしています。
さらに、国連が定める12月9日の国際腐敗防止デーに合わせ、グループ・グローバルで腐敗防止を徹底するために、社員向けニュースサイトを通じて「日立グループ企業倫理・行動規範」および「日立グループ贈収賄・腐敗防止規則」の確認などを呼びかけました。
日立グループ各社の倫理・コンプライアンス責任者、コンプライアンスマネージャー、そしてコンプライアンス業務担当者などを対象に定期的に実施している会議の場で、米国司法省による贈収賄・腐敗などの企業犯罪に対する最新の取締方針などを共有することで、倫理・コンプライアンス責任者・コンプライアンスマネージャー・コンプライアンス業務担当者などの知識を深めるとともに、日立グループのコンプライアンスプログラムの根拠と方向性を確認しています。

競争法遵守

方針・考え方

活動・実績

日立は、「法と正しい企業倫理に基づいた行動」「公正で自由な競争」を事業活動の基本に掲げています。また、「日立グループ企業倫理・行動規範」、「日立グループ競争法遵守規則」およびこの規則に関連した運用基準を定めています。2021年度には、カルテル行為防止のためのガイドラインを改定し、改定後のガイドラインに基づく様式を整備しています。

競争法違反防止に向けた啓発活動

日立は、贈収賄・腐敗防止の取り組みと同様に、毎年実施している企業倫理・コンプライアンス研修の中で、主要テーマの一つとして競争法遵守を取り上げているとともに、関連する規則、運用基準の徹底に努めています。また、グローバルで競争者との接触に関連する基準を海外向けにも作成し、実務上の注意点を周知しています。

反社会的取引およびマネーロンダリングの防止

方針・考え方

活動・実績

日立は、反社会的勢力との一切の関係を遮断するため、あらゆる不当要求や不正な取引を拒否し、決して反社会的取引を行わないことを「日立グループマネーロンダリングおよび反社会的取引防止規則」に明記しています。
新規・既存のすべての取引先について定期的に適格性の審査を行うとともに、万が一、取引開始後に相手方が反社会的勢力であると判明した場合に備えて、日本では取引契約書に暴力団排除条項を入れるなどの対策を行っています。また、外部専門機関(全国暴力追放運動推進センターや警察など)と連携しながら、反社会的勢力による接近の排除に努めています。
さらに、2020年度には規則を改定し、反社会的取引防止に加えて、マネーロンダリングの防止にかかわる規程を制定しています。これらの規程は、国内外のマネーロンダリングおよびその他の違法な活動に従事している者とのつながりを許さない日立の姿勢を明確に示しています。具体的には、リスクベースアプローチに基づき、各国制裁リストの該非や支払い詳細の確認など、ビジネスパートナーに対するデュー・ディリジェンスを実施するとともに、マネーロンダリングやテロ資金供与を禁止する契約条項を取引契約書に入れるなどの対策を行っています。

輸出管理

方針・考え方

活動・実績

日立は、国際的な平和および安全の維持のため、グローバルで輸出入に関する法令を遵守し、内部規程に従って適切な管理を行うことを輸出管理の基本方針としています。この基本方針に則って日立製作所では「安全保障輸出管理規則」を制定し、すべての輸出貨物・技術について、輸出先の国と地域、顧客、用途を審査した上で、法令に基づいて厳格な輸出管理を行っています。また、グループ会社にもこの方針に則って当該国・地域などの法令に基づいて輸出管理を行うよう、規則制定や体制整備を指導するとともに、教育などによりその活動を支援しています。
さらに、日立グループ内の研修プログラムとして、輸出管理に関する講座やeラーニングを実施しており、基礎eラーニングは15言語、実務者向けのeラーニングは日本語と英語で実施し、日立グループ全体で輸出管理が徹底されるよう取り組んでいます。

税務コンプライアンスへの考え方

方針・考え方

活動・実績

日立は、各国税務当局からの指摘や税務訴訟など、事業のグローバル化に伴う税務リスクに対応するため、CFO管轄のもと、四半期ごとに税務リスクの把握を行い、グループ全体で適切な税務ガバナンスの構築を図っています。
具体的には、下記事項を目的に掲げた税務関連の規程を制定し、税務管理(税の申告、納税、税務調査対応、税務リスクマネジメント)およびその他税務に関する事項を扱うすべての従業員に遵守を徹底すべく、周知しています。

  1. グループ各社は、OECD*1移転価格ガイドライン、BEPS*2行動計画などの税務の国際基準を十分に斟酌(しんしゃく)し、事業活動にかかわるすべての法令を遵守して、税務管理を遂行する
  2. グループ各社は、社会的に責任ある組織として効率的、継続的、積極的に税務管理し、日立ブランドの価値を守り、株主価値を最大化することに努める
  3. グループ各社は、事業活動地域における税務当局と誠実で良好な協力関係を構築し、維持、発展させることに努める

また、当該規程に基づき、グループ各社が国外関連者との取引にかかわる移転価格に関する潜在的な課税リスクの把握・軽減を図るとともに、コンプライアンスの遵守に資することを目的として、移転価格管理に関するルールを制定し、上記同様に遵守すべく、周知しています。

*1 OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development):経済協力開発機構

*2 BEPS(Base Erosion and Profit Shifting):税源浸食と利益移転

税務コンプライアンスの取り組み

日立は、グループ全体で遵守すべき税務関連の規程に従い、グローバル化に伴う税務リスクに対応した管理を実施しています。例えば、各国税務当局からの指摘、税務訴訟などの状況を把握し、共有することで法令の遵守、リスクマネジメントの強化を図っています。
日本では、当社の税務申告および税務調査の結果をCFOに報告し、適切な税務報告の実施、不正の防止に継続的に取り組んでいます。なお、税務申告にあたっては、タックスヘイブン対策税制の適用有無を判定し、当該税制の対象となる場合には適正に反映して、適切な納税を行うよう努めています。
また、移転価格管理に関するルールに従い、OECD移転価格ガイドラインやグループ各社の所在国・地域の移転価格税制などに基づいた移転価格の管理を実施しています。
2024年3月期の法人所得税の支払は、1,549億円*1(日本: 1%、海外: 99%*2)でした。

*1 連結キャッシュ・フロー計算書「法人所得税の支払」より掲載

*2 税務当局に提出している国別報告書に基づく割合より掲載(2023年3月期の所得税額控除による法人税額の還付を含む)

ステークホルダーとの協働/エンゲージメント

日立は、税務当局に対する誠実な対応を通した信頼関係の構築、税務リスク低減のための外部税務アドバイザーへの相談などを通した適切な税務処理の検討に引き続き努めていきます。また、業界団体を通じて経済界と協調し、日本企業の国際競争力の強化に貢献する実行可能な税制改正要望にも積極的に取り組んでいます。

法令違反について

活動・実績

2023年度に贈収賄、競争法および輸出管理に関して当局からの訴追や制裁を科された案件は発生しませんでした。なお、税務コンプライアンスについては、各国・地域での法規制に従って対応しており、重大な法規制への違反に対する罰金および罰金以外の制裁措置は受けませんでした。