ロボティクス
日立は、機敏な動作や障害物の回避など、実生活で必要な運動能力を持ち、離れた場所(1 m程度)からもマイク無しで人との対話をして行動する、人間の生活をサポートするためのロボット「EMIEW」(エミュー)*を開発しました。「EMIEW」で開発した技術は、人間と共存、協調できる未来型ロボットの実現に道を拓くものです。
「EMIEW」は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託事業「次世代ロボット実用化プロジェクトプロトタイプ開発支援事業」の一環として開発されたものです。
EMIEWとは、「Excellent Mobility and Interactive Existence as Workmate」の頭文字をつなげたものです。
「EMIEW」は、人と同じ空間で、人の動きに合わせた速さで動けるように、コンパクトで速く移動できる倒立二輪移動機構を採用しました。内蔵したセンサで傾きを計測し、車輪を駆動させて、安定した走行や停止が行えます。最大速度は、人の早足に相当する時速6 kmで、人に対して「遅い」といった不快感を与えません。また、ボディを左右に傾け重心の移動を行うことで、機敏な方向転換ができるなど、従来の「ヒューマノイドロボット」にはない、実生活で必要な運動能力を兼ね備えています。
「EMIEW」は、活動中のものを含め周辺の障害物を検知すると、搭載されたセンサによってその障害物の位置とその動きを確認し、自らが衝突を回避するための経路を計算して、衝突しないようにそれを避ける機能を備えています。歩く人が複数いるなかで、動きの変化に対応して、最短の回避経路を生成することを可能にしました。こうした技術は、実生活の中で人間とロボットが共存、協調していくためには、必須となる機能であり、従来型の「ヒューマノイドロボット」にはない機能です。なお、本技術は、筑波大学-日立連携事業実施協定の一環として推進している坪内助教授・油田副学長の研究グループと当社機械研究所との共同研究の成果を活用したものです。
「EMIEW」は、人とロボットが、離れた場所(1 m程度)からでも特別な道具を使わずに言葉でコミュニケーションできるように、複数の聴覚センサと、視覚センサを装備しています。それぞれの聴覚センサで捉えた音の違いを分析し、音の方向(発信源)を見つけた上で、視覚センサにより人の顔を確認することで、離れた場所からでも音声を聞き分けることができます。また、高品位音声合成技術により、自然な声で応えます。
「EMIEW」は、人間の腕とほぼ同じ自然な動きができるように6つの自由度をもつ腕(アーム)を持ち、また、ものをつかみながら運ぶことのできる手(ハンド)を持っています。人間の動きをモーションキャプチャーで計測し、これを動作データとして活用することで、表現豊かなボディコミュニケーションを実現しました。
項目 | 内容 |
---|---|
身長 | 130 cm |
体重 | 約70 kg |
機敏性 | 最大加速度 4 m/s2 |
高速性 | 最大走行速度 6 km/h |
衝突回避 | 移動物体回避 |
対話 | マイク無しで距離1 m(顔認識併用) 360度の音源方向検知が可能 |
アーム | 6自由度 + ハンド1自由度 |
2005年6月9日~2005年6月19日