大林組と日立の協創により、従業員のコミュニケーション活性化などの効果を確認
2020年6月8日
株式会社日立製作所
日立は、大林組との協創により、オフィスの空間設計とIoTを組み合わせた施策で働く人のマインドを変化させ、ワークスタイルの変革をもたらしうることを実証しました。この取り組みでは、協創の森*1で働く従業員が価値創造のための新しいワークスタイルを実践するために、日立がLumadaを用いて試作したオフィス活用支援アプリケーションに、大林組の推奨する新棟での働き方をレコメンドテーブルとして搭載したIoT技術を活用しました。実証実験の結果、従業員が業務に合わせて執務エリアを選択するというマインドの変化や、より多くの人とコミュニケーションを図るなどの行動変化を確認しました。今後日立は、本アプリケーションのシステム構成を汎用化し、お客さまがオフィス空間設計を通して組織ビジョンに沿ったワークスタイルを実現するためのソリューション構築をめざします。
図1 協創の森ワークスタイルモデル
本取り組みで試作したオフィス活用支援アプリケーションのシステム構成を汎用化し事業化を検討
名札型センサを含む「ヒューマンビッグデータ クラウドサービス」を用い、加速度センサで従業員の身体の動きを、赤外線通信で従業員間の対面コミュニケーションや滞在場所を検知する行動・マインド調査を実施しました。身体の動きやリズムに関するこれまでの研究知見を基に、コミュニケーションが積極的であるか否か、双方向なものであるか、非対面時には集中している状態であるのかなどを判定するものです。これによって、エリア別の利用状況とコミュニケーションやデスクワークの質を定量評価しました。
行動・マインド調査のエリア別集計結果から、オフィス移転後でも自席付近の特定のエリアしか使わないという働き方であることを発見しました。これは、「仕事は自席で行うもの」という従来の価値観と、業務に合わせて柔軟なエリア活用を期待する新しい働き方の価値観との間にギャップがあるためであると考察しました。そこで、このギャップを解消するために、従業員が前向きに協創棟のポテンシャルを引き出し、新しい働き方の実践を促しオフィスの活用を支援するアプリケーションを、日立がLumadaを用いて試作しました。このアプリケーションは、協創の森に設置された各共用エリアでの「おすすめ行動」の例を提示し、さまざまなエリアに行き、多くの人と会話するとポイントを獲得できるというゲーム仕立てとなっていて、従業員が計測データのフィードバックとおすすめの働き方をアプリ上で確認することで、楽しみながら新しい働き方を試すことができるようになっています。「おすすめ行動」は移転後の調査による計測結果を踏まえ、大林組の設計者らが所定の形式で作成し、レコメンドテーブルとしてアプリケーションに組み込みました。なお、今回開発したアプリは日立の既存技術に大林組との協創で開発したレコメンドテーブルを組み込んだものです。
図2 協創の森活用おすすめアプリケーション画面
日立と大林組は、新棟建設の決定時より連携して、協創の森のビジョンを実現するために、働き方のマインドや行動に変革をもたらすための議論や調査を、図3右側の「運用の流れ」に示す通り重ねてきました。移転前後の行動・マインド調査では、「ヒューマンビッグデータ クラウドサービス」のセンサによる計測とアンケート調査を行い、そして日立がLumadaの組み合わせによって試作した、従業員のオフィス活用を支援するアプリケーションを利用した、行動・マインド変容ための介入実験を実施しました。試作したアプリケーションのシステム構成は、図3左側の通りで、移転後の行動・マインド調査の結果を基に協創棟向けのレコメンドテーブル(おすすめ行動)を大林組との協創で作成し、アプリケーションに搭載した。
図3 組織ビジョン実現のためのオフィス活用支援アプリケーション構成と運用の流れ