100℃以下の低温排熱を利用した環境発電への応用をめざす
2019年2月20日
株式会社日立製作所
日立は、国立大学法人大阪大学(以下、大阪大学)と共同で、室温から100℃までの温度範囲で既存材料よりも高い発電性能を示すシリコン系熱電変換材料(YbSiGe)を開発しました。熱電変換技術の広範な産業化に向けて、本材料は、無毒で資源量の豊富なシリコンをベースとして開発しました。今後、日立は、実用化に向けた研究開発を進め、本材料を搭載した熱電変換モジュールを用いて、工場・都市・インフラに広範囲、大量に分布する100℃未満の低温排熱を電力に変換し、IoT向けセンサー・無線端末(IoTデバイス)などの電源としての活用をめざします。
工場・都市・インフラでは、火力発電所200基分の発電エネルギーに相当する100℃未満の低温熱が活用されないまま放出されています。一方、2030年には同じ環境において1000億個のセンサー無線端末デバイスがIoTへ接続され、その供給電力が逼迫することが予想されます。
日立と大阪大学は、100℃未満の熱を高効率に電力できる熱電変換材料の一つとして、2017年にYbSi2*1を共同開発しました。今回、YbSi2に新たにGeを添加することで熱電変換性能を向上しました。日立はYbSi2のYb原子の価数を計測することで、本材料の元素成分の選定に貢献しました。
本研究成果は、2018年11月5日付で米国物理学協会(American Institute of Physics)が発行するApplied Physics Letters誌にオンライン出版されました*2。