2015年2月23日
約1兆の500乗通りの膨大なパターンから瞬時に実用に適した解を導く室温動作可能な新型半導体コンピュータを試作
株式会社日立製作所は、このたび、約1兆の500乗通りの膨大なパターン(組み合わせ)から適した解を導く「組み合わせ最適化問題」を量子コンピュータに匹敵する性能で、瞬時に解く新型コンピュータを試作しました。このコンピュータは従来の半導体を用いて動作するため、量子力学を応用した計算手法(量子アニーリング)を用いた量子コンピュータで必要な冷却装置などは不要で、室温で動作する上、大規模化も容易に対応できます。また、従来のコンピュータと比べて、約1,800倍の電力効率を備えていることから、電力消費量の低減が図れます。新型コンピュータは、自然や生物に備わる創発現象を計算で利用するもので、社会問題の規模に応じて、容易に大規模化できる実用システムの提供を可能とするものです。
日立では、開発した技術と65nmの半導体プロセスを用いて、20,480パラメータを入力可能なコンピュータの試作機を開発し、実証実験を行いました。その結果、システムが室温で動作することを確認するとともに、現在の量子アニーリングを用いた量子コンピュータのパラメータ数512の40倍となる20,480パラメータの大規模な組み合わせ最適化問題を数m秒と瞬時に解けることを確認し、さらに従来のコンピュータを用いて解く場合と比較して電力効率約1,800倍を実現することを実証しました。現在の最先端の半導体プロセス(14nm)を用いれば1,600万パラメータに対応するチップに大規模化することも可能となります。
このニュースは、以下の新聞、Webサイトなどに掲載されました。