実問題のオープンプロブレム化により農村地域の持続性確保に向けた時空間最適化技術の研究開発を加速
日立製作所が北海道大学キャンパス内に開設した日立北大ラボと北海道大学は共同でマラソン型プログラミングコンテスト(Hitachi Hokudai Lab. & Hokkaido University Contest 2022)を開催することになりました。
日立北大ラボと北海道大学は、北海道における過疎化や少子高齢化などの社会課題を解決し、地域創生につながる共同研究を進めています。過疎化・高齢化に伴い農家戸数が減少する中、国内の食料自給率は減少傾向であり、海外からの輸入に頼らずに安定的に食料を供給できるよう、農業の効率化と農業に参入しやすい環境作りが課題となります。本課題解決に向けて、ロボット技術やICTを活用したスマート農機の導入による農業の効率化が期待されていますが、高い導入コストが懸念されます。そこで、農機のリースやシェアリングによって初期投資を可能な限り抑え、機器の稼働率を最大化するサービスの普及が今後重要になると考えられます。
日立北大ラボと北海道大学は、農村地域の持続性確保に向けて、電力、農機などの農業資産共有によって農業分野の脱炭素化・生産性向上に寄与するため、農業資産シェアリングプラットフォームの開発を進めています(図1)。これまでも、再生可能エネルギーを活用した小規模な自立型ナノグリッドを基本単位とした地産地消・自立型地域エネルギーシステムの開発を進めてきました。マルチセクタ地域社会シミュレータは本システムを包含する地域社会全体のシミュレーションにより、具体的な投資開発効果の推定を目的としています。その中で、本コンテストの主題となる農業資産シェアリングプラットフォームの効率化による実現性の評価は、日立北大ラボが考える健康・産業・エネルギーの好循環による共生のまちづくりの実現に向けて、重要な位置付けとなります。
複雑化する社会課題解決に向けて、問題を解く技術に加えて、地域で気付いた課題感から解くべき問題を顕在化し、課題共有することが重要になると考えられます。日立北大ラボと北海道大学は、解決したい地域の課題(実問題)を数理モデリングで定式化し、明確な評価基準とアルゴリズムを考える楽しさを含めた、実問題のオープンプロブレム化によるマラソン型コンテストを2017年度から毎年開催しています。単純なベンチマークではなく実際の問題を取り扱うことで、世界中の方々に解決したい社会課題の共有、提供したいサービスの価値が共感され、実用につながる高性能なアルゴリズムが本コンテストを通じて考案されています。
今年度のコンテストでは、農機シェアリング等を対象とした作業計画効率化をテーマに、作業時間、農機の移動、作業時期等の多くの複合的な要素を含んだ最適化問題(時空間最適化問題)に対して、以下の日程で計2問(A、B)出題されます。
コンテストの優勝者には賞金(問題A:10万円、問題B:30万円)を贈呈する他、入賞者には賞金・賞品等をご用意しております。
また、情報処理学会 第85回全国大会のランチョンセッションにて問題ごとの成績上位者の表彰と記念講演等を企画しております。
本コンテストは所属・年齢・居住地を問わず、どなたでもご参加いただけますので、下記サイトにアクセスいただけますようご案内申し上げます。
図1 農業資産シェアリングプラットフォーム
*マラソン型プログラミングコンテスト: 開催期間(解答コード提出期間)が複数日に渡るプログラミングコンテスト。本コンテストでは、開催期間を1か月として開催されます。
「日立北大ラボ」を開設し、北海道が直面する社会課題解決に向け協創(2016年6月16日)
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2016/06/0616a.html
日立と北大が、博士課程学生に対する研究支援「北大・日立協働教育研究支援プログラム」を開始することに合意(2020年2月4日)
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2020/02/0204a.html
地域産業の低炭素化と防災機能強化を両立する地産地消・自立型地域エネルギーシステムを開発(2021年11月9日)
https://www.hitachi.co.jp/rd/news/topics/2021/2111_ing.html
「量子コンピュータ」は今解けない無数の社会課題を解決するための手段だ(2021年12月8日)
https://www.hitachi.co.jp/rd/sc/story/qc/index.html
岩見沢市の農業をサステナブルに 日立の「自立型ナノグリッド」に高まる期待(2022年3月9日)
https://social-innovation.hitachi/ja-jp/article/nanogrid/