2024年8月8日
株式会社日立製作所(以下、日立)が開発したアプリ「社会参加のすゝめ」について、アプリを利用することで60歳以上のシニアに対して社会参加促進の行動変容効果があることが2024年6月13日〜15日に開催された日本老年医学会学術集会*にて発表されました。
「社会参加のすゝめ」では、GPSを利用して外出状況や滞在箇所数を見える化し、社会参加状況をレポートすることで社会参加を促します。今回、要支援・要介護の認定を受けておらず日常的にスマートフォンを利用している60歳以上のシニアを対象に、2022年10月から2023年9月まで実施された検証の結果が学術集会で発表されました。ランダム化比較試験によって検証し、ボランティアやスポーツ関係など6項目への参加回数をアンケート形式で評価した結果、アプリをお使いの方はそうでない方と比較して社会参加が増加する(減少しない)ことが分かりました。今後このアプリを継続的に利用することで、介護予防効果にもつながる可能性があります。
*第66回日本老年医学会学術集会(愛知県名古屋市)。一般演題口述発表O27-6「高齢者の高齢者の社会参加を促すアプリの効果検証:ランダム化比較試験」(2024年6月15日)。 https://jpn-geriat-soc.or.jp/shukai_tihou/shukai/index.html
近年、少子高齢化が進む中、シニアの健康で活発な生活をサポートするサービスや商品のニーズが高まっています。日立は、さまざまな研究によって明らかになっている社会参加状態と要介護認定との関係に着目し、デジタルを活用して社会参加の度合を測り、介護予防の支援につながる仕組みをつくるアプリ「社会参加のすゝめ」を2022年に開発しました。アプリの公開前には、約90名のシニアをターゲットに事前検証を行い、一定の割合で社会参加が活発化していることを確認しました。今回行われた検証で社会参加を促すアプリのさらなる効果が明らかになり、その結果が日本老年医学会学術集会にて発表されました。
本検証は、2022年10月から2023年9月まで、ランダム化比較試験を用いて検証されました。60歳以上でスマートフォンを日常的に利用している要支援・要介護認定を受けていないシニアを対象に、「社会参加のすゝめ」および歩数測定アプリをインストールする介入群と、歩数測定アプリのみをインストールする対照群に1:1で振り分けて行いました。2群間の比較は、共分散分析を用いて行い、アプリ介入前後に直近2か月間のボランティア、スポーツ、サークルなどへの参加状況をアンケート測定しました。介入から85日後、再度アンケートで測定したところ、「社会参加のすゝめ」をインストールしている介入群のほうが、社会参加回数が増加したことが検証されました。
本アプリでは、シニアの社会参加を促進するだけでなく、社会参加度のレポートを他者と共有することで、プライバシーを保護しながらも家族などの周囲にいる方々が緩やかに見守ることができる「見守り機能」が追加されました。外出や他者との交流といった社会参加しやすい環境づくりが進み、さらに家族や友人、地域ボランティアなどがアプリを通して見守ることで、シニア本人の行動変容や健康維持と周囲の人々の安心につながります。今後、国や自治体、多様な業種の企業とともに社会参加を軸とした予防事業のエコシステムを構築することで、超高齢社会における課題を解決しながら、誰もが健康的で豊かな生活を創出するための取り組みを推進していきます。
株式会社日立製作所 金融システム営業統括本部 [担当:千場、高島]
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以上