- 「ソーシャルインパクトボンド」
- 官民連携で社会課題解決に対する取り組みを行い、成果に応じて報酬を還元する制度
- 介護医療費の削減をテーマにしたソーシャルインパクトボンド制度の活用における各種取り組みの効果測定を支援
- 介護予防効果の最大化をめざし、アプリを使った社会参加状態の測定と介入によるPDCAサイクルの構築に貢献
生活の中で、「外出する」「地域や趣味の集まりに参加する」「友人に会う」など、他者と交流する行動を総称して「社会参加」と呼びます。
日本老年学的評価研究機構(JAGES)の長年にわたる調査研究の結果、この「社会参加」と呼ばれる行動がシニアの要介護認定のリスクと密接に関係することが明らかになりました。
日立製作所は、“シニアの社会参加を可視化できれば、シニアマーケットに参画する企業や団体が、要介護認定リスクを低減させるための有効なサービスの立案や開発を加速させるトリガーになり、このことがより多くのシニアが社会参加に向かうきっかけを広げ、更なる企業や団体のサービス拡充へとつながるスパイラルになる”と考えました。
「社会参加のすゝめ」はさまざまな企業や団体が協創し合い、高齢化社会における課題を解決しながら人々の健康的で豊かな生活を創出するための取り組みです。
近年、少子高齢化が進み、約40年後までに高齢化率は約10%程度上昇*1。日本は世界保健統計でみても男女平均の健康寿命が最も長く、74.1歳で1位*2。少子高齢化とともに介護・医療費用は増大し、2020年度の介護保険給付費は10兆円を超え*3、20年間で3倍以上に膨らんだ。
そのような社会背景のもと、JAGES*4の過去20年の調査から、シニアの社会参加が活発であるほど、要介護認定の割合が低いことなど、シニアの社会参加と介護リスクの関係が明らかになった。
*1.出典:総務省「国勢調査」、「人口推計」、国立社会保障・人工問題研究所「将来推計人口(平成29年4月推計)」 / *2.出典:WHO 世界保健統計2021年版に掲載されている健康寿命統計より / *3.出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告」(2021年11月2日発表) / *4.JAGES…日本老年学的評価研究機構
*n=38,875 / 59カ月追跡
出典:プレスリリース JAGES プロジェクト「 活動性の低い高齢者の介護費用は高くなる〜活動性の高い高齢者に比べて約5年間で711万円〜
*n=46,616 / 最大76カ月追跡
出典:プレスリリース JAGES プロジェクト「 社会参加で介護費用が減少週1回以上の趣味やスポーツの参加者は6年間で1人約11万円、就労している人では6万円程度介護費が低い傾向あり12自治体4.6万人の追跡調査より〜」
ただ、この調査はこれまで紙のアンケートで行われており、頻度や手法面で制約が多かった。そこで、これまでも医療のビッグデータ分析による価値創出のノウハウや実績を持つ日立製作所が、デジタルを用いたより高度なデータ収集、分析を実現し、シニアの社会参加活性化により介護予防のためのエコシステムを構築するシニアの社会参画デジタルプラットフォームを開発。
日立製作所は、スマホのGPSを用いてアプリ利用者の外出行動や滞在行動を計測することで、疑似的に社会参加状態を測定する仕組みを開発。
計測した社会参加状態から“社会参加の活発度”を4つのランクで提示することにより、自身の現状や外出動向を知る機会になる。さらに、JAGESの研究を読み物としてわかりやすく紹介することで、社会参加をすることが自身にとってどのようなプラスの効果をもたらすかを理解し、介護予防につながる自主的な行動改善ができるようになる。
さらに、さまざまな事業者と連携して本プラットフォームを活用することで任意の施策の介護予防効果を定量的に測定しながら、 PDCA サイクルの回転が可能なほか、効果がデータで認められれば、シニアマーケットへ対する強力なマーケティングが実現可能。
さまざまな事業者と連携してシニア向けの社会参加指向型サービスを創生することで、いろいろな趣味嗜好があるシニアそれぞれが、自身に合ったサービスを選択し利用できる状態を実現していく。
高齢化社会を支える商品やサービスを開発する企業は、本プラットフォームを社会参加データや介護リスク予測を生かしたサービス開発に生かし、国や地方自治体は、データに基づく介護予防事業のPDCAサイクルの回転に活用していくことで、より良い社会の実現をめざしていく。例えば、下記のような協創が想定される。このように、あらゆる企業と一緒に、シニアの社会参加を通じた介護予防に関するエコシステムを構築していきたい。
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