2017年9月
近年、金融・保険業界には大きな変革の波が押し寄せています。金融業界においては、Fintech(フィンテック)の台頭により、金融イノベーションが加速。保険業界においても、InsTech(インステック)と呼ばれる新たなITサービスが生まれ、ビッグデータやAIを活用しようという動きが活発になっています。
これらFintech、InsTechの考え方を取り入れた商品やサービスが次々と市場に投入される中、従来の金融・保険企業は、商品ごとにシステムを構築してきたため、新商品の迅速な提供が困難になっています。デジタル時代の商品開発には、以下の課題に対応する新たなソリューションが必要です。
消費者のニーズは多様化しています。既存の商品を組み合わせる、戦略商品を設定したあとにラインナップを拡充するなど、柔軟な商品設計が求められます。
消費者のニーズは次々に生まれ、変化していきます。時流に乗った商品を販売するためには、各企業の意思決定から商品販売までのスピードをさらに上げる必要があります。
非金融・保険企業の参入により、競争は激化しています。価格競争力を高めるため、開発コスト削減は重要な課題です。
これまでにも、ビジネスの変化に素早く、柔軟に対応するため、ビジネスルールを見える化する、BRMS(Business Rules Management System)の活用が進んでいました。しかし、BRMSはビジネスルールの管理に特化しており、商品を管理するシステムは開発する必要があります。BRMSの導入だけでは、システム開発のコストが掛かり、商品リリースまでのリードタイムを短縮できません。
そこで日立は、商品開発そのものにBRMSの手法を適用する「商品ファクトリソリューション」を提供することにいたしました。ビジネスルールだけでなく、商品をデータモデル化。直感的に操作できるインターフェースで商品の構造を見える化し、さまざまな商品情報とビジネスルールを一元管理します。種別の異なる商品を一つのシステムで管理するため、これまでよりも柔軟な商品設計が可能になります。また、システム開発の期間を大幅に短縮。商品リリースまでのリードタイムが短くなり、消費者のニーズに応じた商品をタイムリーに提供できるようになります。
図 商品ファクトリソリューションによる商品開発
商品ファクトリソリューションのシステムには、韓国INNORULES社のInnoProductを導入しています。InnoProductは、韓国において多くの導入実績がある製品で、商品企画から販売までの期間が6か月から1か月に短縮された事例もあります。日立では、日本で長年培ったノウハウをInnoProductに取り込み、日本でのビジネスに最適化。日本語化したGUI、日本国内での専門サポート拠点など、ソリューション導入前から導入後のサポートまで、ワンストップでサービスを提供します。
商品ファクトリソリューションが提供する、「商品をデータモデル化する」という考え方は、金融・保険業界だけでなく、さまざまな業界に適用できると考えられます。商品やサービスをデータモデル化し、システムで一元管理しておけば、社会の動向や消費者のニーズに応じて、柔軟に商品やサービスを設計・提供できるようになります。金融・保険業界での適用が先駆けとなり、さまざまな業界に適用される社会システムとして、影響を与えるかもしれません。日立は、金融・保険業界でのソリューションの普及を推進するとともに、幅広い事業分野での活用を検討し、お客様のビジネス変革を支援していきます。