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金融業界における注目度が高まり、FinTechへの取り組みの一環として語られることの多かったブロックチェーン技術ですが、適用範囲は金融にとどまらず、さまざまな業種、業務における活用が期待されています。ブロックチェーンの持つインパクトはインターネット同様、もしくはそれ以上とも言われており、将来、ブロックチェーンが私たちの生活や社会全体に及ぼす影響は非常に大きいと考えられています。

ブロックチェーン技術の実用化に向けたオープンソースソフトウェアの動向

日立でもLinux Foundationが主催するHyperledgerの設立以来、プレミア・メンバとして参加し、オープン・コミュニティにおけるブロックチェーン技術の開発に取り組んできました。そうした中で、去る2017年7月11日にHyperledgerの主要フレームワークの一つであるHyperledger Fabric V1.0(*)がリリースされました。これはHyperledgerにとって極めて大きなステップであり、今後の幅広いブロックチェーン技術の適用に向けた第一歩と言ってよいでしょう。

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Hyperledger Fabricは、The Linux Foundationが設立したHyperledgerで開発されているブロックチェーンのオープンソースソフトウェア(OSS)です。

Hyperledgerは、ブロックチェーン技術においても、特にエンタープライズ・レベルでの利用を主眼としたものであり、その中でHyperledger Fabricは最も早い時期から開発に取り組まれてきたものの一つです。ブロックチェーンの利用拡大に向けて、Hyperledger Fabricのリリースは長く待たれていたものですが、今回の正式リリースにより、ようやく実証実験レベルから、実適用に向けた道筋が開かれることになります。

ブロックチェーン技術がもたらす金融取引形態の転換

ブロックチェーンは、取引履歴の安全な共有により、「第三者機関経由の集中取引」から非中央集権型の「利用者間の直接取引」へ転換するものであり、ブロックチェーン技術を利用することで、資産の移転や清算を、中央管理サーバを仲介せずに行うことが可能になります。つまり、参加者の直接取引が可能になることで、インフラにかかるコストを大幅に削減できると考えられています。

ブロックチェーンとは:従来システムでは、信頼できる第三者機関が取引を集中管理し、「取引相手」と「取引媒体」を保証することで取引が成立しました。中央管理サーバが必要で、取引には高度なセキュリティが必用でした。ブロックチェーンを活用したシステムでは、「一意な価値の移転記録」を「参加者が合意/承認」することで取引が成立します。ブロックチェーン技術により、取引は中央管理サーバを仲介せずに分散元帳を介して分散管理され、電子署名により改ざんが不可能になっています。
ブロックチェーンとは

今後の適用が期待される分野とその道筋

ブロックチェーンというと、Bitcoinをはじめとする仮想通貨のイメージが強いと思いますが、金融にとどまらず、さまざまな分野の社会基盤へ広く応用できるとして大きな期待が寄せられています。特にブロックチェーン技術の適用が期待されている領域としては、金融に加え、サプライチェーン・マネジメント、ヘルスケア、更にはエネルギー(バーチャル・パワープラント)分野が挙げられますが、こうした幅広い業種、業務への適用を通じて、ブロックチェーン利用は更なる広がりを示していくものと思われます。

しかしながら、その一方で、ブロックチェーンはまだ発展途上の技術であり、今後の普及に向けては、実証実験の実施は不可欠です。その際、ブロックチェーン活用のインパクトを理解し、活用への道筋をより明確にするためには、エンドユーザが参画する、よりプラクティカルな実証実験の実施が必要と考えます。期待値の大きいブロックチェーンではありますが、現状レベルでは必ずしも万全とは言えません。業務のどの部分がブロックチェーン化に適し、どの部分ではその効果が限定的かを把握しながら、小規模なアプリケーションから検討を進めることが、今後のブロックチェーン適用拡大への道筋と考えられます。

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