2010年3月
電子記録債権とは、電子債権記録機関が保有する電子債権記録原簿に金銭債権情報を記録をすることにより債権が発生・譲渡・消滅する新しい類型の金銭債権です。電子記録債権の活用により、手形発行時の印紙税コストが節減され、手形紛失リスクや売掛債権の二重譲渡リスクを回避することが可能となり、企業の新しい資金調達の手段として注目されています。
2008年12月の電子記録債権法施行以降、電子債権記録機関(以下、記録機関)を設立し、電子記録債権に関るサービス提供を行う二つの動きがあります。
一つは、個別の金融機関が記録機関を設立し、サービス提供を行う動きです。(株)三菱東京UFJ銀行が、2009年7月に記録機関として日本電子債権機構(株)を開業し、電子記録債権の決済・買取サービスの提供を行っています。また、(株)三井住友銀行、(株)みずほ銀行も記録機関設立とサービス提供を表明しています。
他方、全国銀行協会が、銀行界共同で手形的利用を想定した記録機関として(株)全銀電子債権ネットワーク(登録商標"でんさいネット")の設立を表明し(2010年6月設立予定)、2012年5月のサービス提供に向けて準備を進めています。
"でんさいネット"では利用者企業による債権の発行・譲渡に関る申請を取引金融機関経由で行う間接アクセス方式を採っていること、債権の決済等で勘定系システム等との連携が必要になることから、"でんさいネット"が提供するサービスを利用する金融機関側に債権情報のデータ授受や決済連携に関る"でんさいネット"との接続システムの開発が必要になります。
日立ではこの度、"でんさいネット"が提供するサービスを利用する金融機関向けに「"でんさいネット"接続サービス」(仮称)をASP(Application Service Provider Service)により提供することにいたしました(〔図1〕参照)。このサービスにより以下の対応が可能になります。