サステナビリティは、近年SDGsの認知向上にあるように日本だけでなく、世界全体の大きなテーマです。リテールビジネスでも、よりエコな原材料を使った商品を仕入れる、食品の安全を担保するためにトレーサビリティを進めるなどの動きが見られます。この流れはますます加速するでしょう。経営を最適化して環境負荷の低減を図るエコシステムを構築し、リテールビジネスでは「廃棄をゼロ」にする取り組みが行われるはずです。
また消費者意識の変化によって、今後お店やサービスを選ぶ基準が「安い」「安心」「便利」だけでなく「環境負荷」や「社会的意義」も加わることは、遠い未来の話ではありません。それらを察知して、いち早く変化することが今後10年で成長を続けるリテールビジネスの条件になるのではないでしょうか。
今後10年のリテールにおけるキーワード 〜サステナビリティ〜
次に、このような社会変化に対して、リテールビジネスの理想像を実現する条件について考えてみます。日立は、これにも大きく3つのキーワードがあると考えています。
日立が考えるリテールビジネスの理想像
1つ目は「シェア」です。例えば、エリアごとに事業者とお客さま、配達員をつないで人材を有効活用しつつ、よりきめ細やかな配送を実現する。また、いわゆる「企業内フリーランス」を活用して所属組織内外へリソースを供給し、ジョブ型雇用を前提とした人材活用を推進することで、各所の戦力アップを図るーーこのようにコミュニティの枠組みが大きく変化する中でリソースの共有が実現すれば、より安心・安全で付加価値の高い、事業者・消費者の満足度を高める商品やサービスの提供が可能になると日立は考えます。
2つ目は「快適」です。これは現在でも行われている顧客の需要予測などに磨きをかけ、さらに精度を高めることがポイントです。購買履歴だけでなく、購買行動や消費スピードまで分析することにより、店舗にはその日に消費者が購入する商品が常に用意されている状態を可能にするでしょう。また消費者の生活スタイルが多様化する中で、「欲している」であろう商品をプッシュ型で生産・供給できるようにすれば、販売機会のロスを限りなくゼロに近づけることができるでしょう。
3つ目は「Eco」です。消費者がお店やサービスを選ぶ基準が変化することを前提に、今から自社が提供する社会価値を「見える化」する必要があります。例えば、環境保護や災害への有益な取り組みが消費者によって評価され、企業の信用が高まることは容易に想像できます。このような新たなエコシステムへ適応することが、企業の成長の鍵を握るのではないでしょうか。
こちらで挙げた「シェア」「快適」「Eco」はあくまで予想です。しかし、これらの兆しを先取りして、先手を打ったビジネス、施策が今後10年の明暗を分けると考えています。