特集記事:キーマンズネット掲載
さらに、帳票レイアウトの変更を手作業で行ったり、帳票を作成するためのデータをプログラムで作成したりする方法では、作業が非効率的なだけでなく、データの操作やプログラム開発などで人為的なミスが入り込む原因にもなることが多い。また、データ不正や帳票間のデータ矛盾の発生につながる可能性もある。 こういった課題に対して、帳票作成を効率的に行い、かつ、人為的なミスを低減するためには、帳票の作成を自動化するシステムを構築することが有効である。その際、企業をとりまく様々な変化に即応できるように、帳票レイアウトの追加・変更を柔軟かつ迅速にできるようにしておくことも重要だ。 そこで今回は、帳票用のデータの作成から、各種帳票レイアウトの作成までを自動化する帳票システムを、高度なスキルなしに簡単・迅速・柔軟に構築する方法について考えてみよう。 |
|
迅速でミスのない帳票の作成…これは、企業内外の情報伝達・管理の手段として重要である。しかし、複数のシステムにデータが散在している場合、1つの帳票を作成するために多くの労力を費やしているケースも少なくない。例えば、業務ごとや拠点ごとにシステムが分かれていて、業務データがバラバラに管理されている場合だ。メーカーのA社が、取引先に請求書を発行する例を見てみよう。
業務ごとにシステムが分散していたA社は、帳票作成に必要なデータを集約して加工する必要があった。帳票用のデータの作成〜帳票作成までの作業をいつも行っていたのは情報システム担当者である。
以前は、作成する帳票の種類が少なかったこともあり、データ収集と加工のためのプログラムを作り帳票用のデータを作成できていた。しかし、帳票数の種類が増えるにつれて、プログラム開発のための負担が大きなものになってきた。さらに、プログラム開発はスキルをもつ開発者が必要とされるため、現在はやむを得ず表計算ソフトを使用して帳票用のデータ作成を行っている。
しかし、表計算ソフトを使った帳票用のデータ作成は時間が掛かる。さらに、整合性チェックを人の目で行う必要があるため人為的なミスが発生する危険性も高く、帳票の信頼性にも問題が出ている。
また、取引先の増加やユーザ部門からのレイアウト変更依頼があった場合には、情報システム部門の担当者に大きな負担となっていた。(下図参照)
そこでA社では抜本的な帳票システム改革を断行。2つのポイントを見直して、帳票作成の自動化を行い、さらに、帳票の種類が増加した場合にも迅速に対応ができるようになった。その時、導入したのが日立が提供するETLツール「DataStage」と、帳票ツール「EUR」である。(下図参照)
解決のキーワードは“ノンプログラミング”。それでは、どのように解決につながったのか、改善した2つのポイントを詳しく見ていこう。
それでは、1つめのポイントから紹介しよう。まず、複数のシステムに散在するデータを集め、帳票用のデータを作成する役割を担うのがETLツール「DataStage」。その最大のメリットは、帳票用のデータを作成する処理を、ノンプログラミングのGUI操作で容易に作れることだ。しかも、帳票作成に必要なデータがメインフレームやERPシステム、様々なデータベースにあったとしても、製品の標準機能で簡単に取り扱える。これにより、帳票用のデータを集計したり、データ間の整合性をチェックしたりするなどの人が行っていた作業を自動化することができる。
また、GUIで簡単に処理を作成できるのは、運用や保守面でも有効だ。新しく帳票用のデータを作成する際や、担当者の引継ぎなどの際にも、個人の知識やスキルに依存せずに高品質な開発や保守ができるようになる。 |
2つめのポイントは帳票ツール「EUR」での帳票作成。EURの特長は、帳票に記載するデータの取り扱いが簡単にできるという点。帳票のひな型さえあれば、データを手入力することなく、DataStageが作成したCSVファイルやデータベースのデータを簡単に帳票として表示、印刷できる。データはEUR上では改変できないので、ミスや改ざんのリスクも軽減する。
もちろん、帳票のひな型制作もノンプログラミングで簡単に行える。下の制作画面イメージのように、実際に読み込むデータが、画面下の「データテーブル」に表示され、「帳票をデザインするエリア」にも実データが表示される。そのため、いちいちプレビュー画面などで仕上がりを確認する手間は不要だ。また、これまで使用していた紙帳票をスキャニングして下図として利用したり、ExcelやWordの帳票データをそのまま変換して帳票のひな型を作ることができる。
簡単に帳票作成ができるので、取引先が増えて新しい帳票が必要となった場合でもスピーディに対応できる。
今回のポイントをまとめよう。複雑化した企業のシステム環境下で、帳票を簡単・迅速・柔軟に作成していくには、“データの取り扱いをいかに容易にするか”ということにつきる。そのため、入力の手間や煩雑なチェックは可能な限り“自動化”していくことが重要である。また、企業の環境にあわせて追加・変更される帳票に対応していく必要がある。この作業の自動化と帳票の変化への対応には、ノンプログラミングを支援するETLツールや、帳票ツールを活用することが有効なのだ。
時々刻々と変化・拡大する企業のIT環境の中で、必要な製品を確実に見極めたいものだ。今回、DataStageとEURの“連携”を取り上げたが、帳票システムの今後を考える上でも、ユーザにとって一考の価値があるはずだ。さらに詳しく知りたいユーザは、下記で紹介するセミナーに足を運んでみてはいかがだろうか。 |
※記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。