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株式会社ノークリサーチ

2010年も引き続き厳しい経済環境が予想される。
IT関連の投資を絞り、支出を最小限に抑えようとするユーザ企業も増えてくるだろう。
だが、一方でメールなどに代表されるように、ITがもはや企業活動になくてはならないツールとなっていることも事実である。そのため、業務を円滑に遂行するためにはIT関連機器を適切に管理することが必須となる。

そこで今回は「ユーザ企業が今着目すべきIT関連機器管理のポイント」について見ていくことにする。

むしろ重要なのはクライアントPC管理

IT関連機器の管理といった場合、真っ先に思いつくのは「サーバ管理」だろう。

サーバは自社業務の根幹を成す存在だ。サーバが停止すれば、社内業務だけでなく取引先や顧客とのやりとりも止まってしまう恐れがある。サーバ関連トラブルは業績の悪化に直結するといっても過言ではないだろう。

こうした理由から、中堅企業においてもサーバ管理への取り組みを進めるユーザ企業は少なくない。

IT関連機器の管理におけるもう一つの代表格が「クライアントPC管理」である。

社員が毎日利用するクライアントPCを正しく管理/運用することもまた、業績の安定には必須の要件といえる。だが、「サーバ管理と比較すると、クライアントPC管理の優先度は低い」と誤解してしまいがちだ。

確かに、1台のクライアントPCにトラブルが発生したとしても、それを利用する一人の社員の業務が止まるだけである。他の社員や顧客にまで影響が及ぶサーバと比べると、軽微なトラブルであると考えてしまうのも無理はないかも知れない。

しかし、現実にはクライアントPC関連のトラブルにこそ目を向ける必要があるのである。1回のトラブルが発生した時の影響度は確かにサーバの方が大きい。

しかし、業績に影響を与えるトラブルを予防する際には「発生する確率」「発生要因数」「トラブルの内容」など多角的な面から検討を進める必要がある。

以下ではこれらのポイントを順に確認していくことにしよう。

発生する確率

最近のサーバは障害を防ぐために冗長構成が取られているものも多い。ある程度の耐久性を備えているものが大半だ。
一方、クライアントPCはサーバほどの堅牢性は備わっていない一方、毎日電源をON/OFFする厳しい操作環境に置かれているといえる。機器の故障だけでなく、誤って手元のコーヒーをこぼしてしまうといったケースも含めると、トラブルが発生する確率はむしろクライアントPCの方が高いといえる。

発生要因数

社内に存在する数という点では、サーバよりもクライアントPCの方が明らかに多い。逆にいえば、トラブルの発生元になりうる対象の多さという点ではクライアントPCの方が多いということになる。

トラブルの内容

中堅企業が最も身近に感じ、かつ業績にも大きな影響を与える脅威の一つは個々の社員が利用するクライアントPCからの個人情報漏洩である。情報漏洩時の顧客への補償などにかかる費用はもちろん、信頼を失ったことによる影響はその後も長く続くことになる。
こうした個人情報漏洩が発生しうる場所という観点では社内に置かれたサーバよりも、個々の社員が利用するクライアントPCの方がむしろ要注意である。
サーバに導入されるアプリケーションは限定されており、社員が勝手にアプリケーションを追加することはできない。一方、クライアントPCは個々の社員がファイル交換ソフトウェアなどの有害なアプリケーションを勝手に導入してしまう危険性がある。あるいはメールなどのやりとりを通じてウイルスに感染し、その結果個人情報が漏洩するというパターンもある。
起こり得るトラブル種類の多彩さという点ではクライアントPCの方がより深刻なのだ。

サーバだけでなく、クライアントPCのトラブルも業務に大きな影響を与える

業績の良い企業はクライアントPCをおろそかにしていない

業務を遅滞なく遂行し、業績を低下させないためにはクライアントPC管理への取り組みが重要であるということがおわかりいただけただろう。

では、実際にクライアントPC管理に取り組んだ場合とそうでない場合とでは業績にどれくらいの差が出てくるのだろうか?

以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業を「クライアントPC管理へ年間50万円以上の投資をする/しない」で2つのグループに分け、そのそれぞれに対して「2009年5月時点と2009年8月時点を比較した場合の経常利益の増減」を尋ねた結果である。

クライアントPC管理への取り組みと業績との関係

経常利益が10%未満で増加」または「経常利益が10%以上増加」という回答はクライアントPC管理に投資しているユーザ企業の方が多い。

一方で、「経常利益が10%未満で減少」または「経常利益が10%以上減少」という回答はクライアントPC管理に投資しているユーザ企業の方が少ない。

総じてクライアントPC管理に取り組んでいるユーザ企業の方が良い業績を示しているということになる。

特に「経常利益が減少した」という回答率の差が大きくなっていることに注意する必要がある。

先に述べたようにクライアントPCは業績に影響を与えるトラブルが発生しやすい個所である。それを適切に管理するかどうかによって、このような業績面での差がついていると見ることができる。

クライアントPC管理が業績に与える影響は無視できない」ということがおわかりいただけたのではないだろうか?

次回予告

クライアントPC管理には様々な手法がある。
そこで次回は「クライアントPC管理手法のうち、中堅企業にとって最適なものはどれなのか?」を探っていくことにする。

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