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日立のオープンプラットフォームを運用管理基盤に採用。
高い安定性・信頼性を確保しつつ、
顧客満足度の向上や環境変化への即応を実現する基盤を構築

国内損保大手の株式会社損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)では、各種業務システムのインフラとなるオンライン基盤を刷新。高い柔軟性と開発生産性を備えた環境を構築することで、顧客満足度の向上や環境変化への即応を図るのが狙いである。 今後の企業活動の根幹を担う基盤であるだけに、構築にあたっては安定性・信頼性の確保が大きな課題となった。そこで同社では、統合システム運用管理「JP1」を中核とした日立のオープンプラットフォーム製品を活用し、新たなシステム運用管理基盤を構築。全国のネットワークやサーバ群、クライアント PCを統合管理し、24時間止まらない損保ビジネスを支えていく。

全社の業務インフラとなるオンライン基盤の刷新に着手

清水 健 氏の写真
株式会社損害保険ジャパン
IT企画部
課長
清水 健 氏

近年の金融・保険業においては、ITの果たす役割が一段と重さを増している。新商品の開発から顧客への提案、契約、支払いに至るまで、どの業務もIT抜きには成り立たない。損保ジャパンでもIT企画部を中心に、情報システム環境の整備・拡充を推進中だ。

「現場部門の要望を取り入れると同時に、全社として最適な環境を追求するのが我々の役目。ITの側面から事業戦略を支援していきたい」と清水氏は語る。

特に現在の重要なテーマとなっているのが、顧客満足度の向上だ。清水氏は「お客さま志向のサービスを強化すべく、さまざまな分野で取り組みを行っています」と続ける。

その一貫として取り組まれたのが、全社オンライン基盤の再構築プロジェクトである。同社のオンライン基盤上では、損保業務を支える各種アプリケーションなど、膨大なシステム群が稼働。同社のビジネスを支える生命線としての役割を果たしている。旧オンライン基盤は2001年に構築されたが、今回のプロジェクトではこれを全面的に刷新する。

「お客さまにより良いサービスを提供していくためには、多様なニーズに応えられる柔軟性・俊敏性が不可欠。そこで次期オンライン基盤では先進的なアーキテクチャを採用し、接続性や開発生産性の向上を図りました」と清水氏は説明する。

「JP1」を中核とする新運用管理基盤を構築

次期オンライン基盤の構築にあたって課題となったのが、安定性・信頼性の確保である。

「社内向け、社外向けを問わず、ほとんどのシステムがこの基盤の上で動きます。安定稼働は必須要件ですので、ネットワークを含めたシステム環境全体を、確実に監視・運用できる運用管理基盤が求められました」(清水氏)。

もちろん旧オンライン基盤においても、運用管理ツールを導入して安定稼働の確保に努めていた。しかし、回線障害などのトラブルが発生した際に性能低下が生じるなど不満な点もあったという。そこで今回のプロジェクトを契機に、運用管理基盤についても再構築を実施することにしたのだ。

そこで同社は、統合システム運用管理「JP1」を中核とした日立のオープンプラットフォーム製品を新たな運用管理基盤に採用。このほかにも、「Hitachi Storage Solutions」が、次期オンライン基盤用のストレージとして採用されている。

「JP1は国内でも高いシェアを誇る製品であり、機能面や性能面での充実度も高い。また、国内メーカーならではの迅速なサポートが受けられる点も高く評価しました」と神倉氏は採用の決め手について説明する。実は、すでに一部のシステムでJP1が導入されていた。こうした実績も踏まえ、JP1を全社標準の運用管理基盤に採用したのである。

全国のネットワークを監視大量のジョブも確実に実行

半澤 秀仁 氏の写真
株式会社損保ジャパン・システムソリューション
システム基盤事業部
システム基盤第一部
プロジェクト推進グループ
主任システムズ・エンジニア
半澤 秀仁 氏

次期オンライン基盤のカットオーバーに先立ち、新運用管理基盤は2007年9月より本稼働を開始。その適用領域は、非常に幅広い分野に及んでいる。

まず一点目は、次期オンライン基盤を構成するネットワークやサーバ群の監視だ。同社では支店や営業所などの拠点を全国約400ヵ所に展開しているが、これらを結ぶ通信回線やネットワーク機器を24時間監視。特にネットワーク機器については、障害監視だけでなく、パフォーマンス監視も行っている。監視対象となるオブジェクト数は約22,000、サーバ台数は数百台規模にも上る。

各業務システムの運用に欠かせないジョブの管理についても、新運用管理基盤が一手に担っている。管理対象となるジョブの数は、基盤系やテスト環境向けだけでも1,200〜1,300。次期オンライン基盤への移行を完了した後は、数千ジョブにも達するとのことだ。

また、監視・運用のほかにクライアントPCに対するソフトウェアの配布も行っている。

「セキュリティパッチなどの配信に加えて、今回からはクライアント用プログラムのメンテナンスにも活用する予定です」と半澤氏。次期オンライン基盤では先進的なアーキテクチャを採用した関係で、クライアント側がリッチクライアントになっている。

「このプログラムを人手でメンテナンスするのでは手間が掛かりすぎるため、夜間に自動配布を行い効率化を図ります」と半澤氏は続ける。ちなみに配布対象となるクライアントPCの数は、全部で約27,000台にも上る。

次期オンライン基盤は全社員の業務インフラとなるだけに、システムのレスポンス確保も重要な課題となった。そこでJP1の機能を利用し、Webアプリケーションの応答速度なども監視。ユーザーが不満を感じる前に、システム増強などの対策をプロアクティブに講じられるようにしている。

バックアップの集中化も実現 日立製品が安定運用を支える

神倉 直樹 氏の写真
株式会社損保ジャパン・システムソリューション
システム基盤事業部
システム基盤第二部
第二グループ
システムズ・エンジニア
神倉 直樹 氏

新たな運用管理基盤の構築により、バックアップ業務の集中化が実現できた点も見逃せない。以前は各サーバに個別にテープ装置が接続されていたため、テープ交換などの作業がオペレータの負担となっていた。しかし現在では、Hitachi Storage Solutionsと新運用管理基盤による統合バックアップが実現。

「ストレージのリソース管理やパフォーマンス管理も一元的に行えますので、容量不足などが予測された際にも迅速に対応できます。安定運用を継続していく上で、こうした環境が実現できた意義は大きい」と半澤氏は評価する。

さらに、日立のサーバ製品「HA8000」や「HITACHI 9000V」の性能や信頼性についても、高く評価しているとのこと。

「新運用管理基盤はあまり構築期間に余裕がなかったのですが、日立のサービス・サポートのおかげで無事に稼働させることができました」と神倉氏は語る。

2008年2月には、損害保険の支払業務システムが、次期オンライン基盤向けアプリケーションの第一弾として本稼働を開始。その後もさまざまな業務システムが、新たな基盤に移行していく予定だ。

「次期オンライン基盤は、これからの経営戦略を担う重要なシステム。今後もさらに発展・進化させていきたい」と抱負を語る清水氏。

その安定運用を、日立のオープンプラットフォーム製品による新運用管理基盤が支えていくのである。

損保ジャパンのシステム運用管理基盤概要
損保ジャパンのシステム運用管理基盤概要

USER PROFILE

株式会社損害保険ジャパンのロゴ

株式会社損害保険ジャパン

[本社] 東京都新宿区西新宿1-26-1
[創業] 1888年10月
[資本金] 700億円
[従業員数] 14,906名

リスクに関するプロフェッショナルとして、損害保険事業、生命保険事業、アセット・マネジメント事業などを通じ、個人ならびに企業の活動に附随して存在するリスクに対して、最高品質の解決策を提供していくことで社会に付加価値を提供する企業グループを目指している。

PARTNER PROFILE

株式会社損保ジャパン・システムソリューションのロゴ

株式会社損保ジャパン・システムソリューション

[本社] 東京都立川市曙町2-41-19 損保ジャパン立川ビル
[創立] 1984年4月
[資本金] 3,000万円
[従業員数] 538名

損保ジャパングループ唯一のシステム・ソリューション・プロバイダーとして、「We'll exceed(お客さまの期待を超える)」という企業理念のもと、損保ジャパンあるいはグループ各社の経営戦略実現に向け、保険システム・代理店システムなど、最適なITソリューションを提供している。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ 2007年11月26日号」に掲載されたものです。
  • JP1の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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