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ミドルウェア

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日立オープンミドルウェア製品群を活用し、
基幹業務システムを短期間で全面オープン化。
既存資産を継承しつつ効率的に移行

高級ステンレス帯鋼大手の日本金属株式会社(以下、日本金属)は、これまでメインフレームで稼働していた基幹業務システムの全面オープン化を実現。
COBOL資産の継続的な活用を可能にする「COBOL2002」をはじめとして、画面・帳票サポートシステム「XMAP3」、分散トランザクションマネージャ「uCosminexus OpenTP1」、統合システム運用管理「JP1」などの日立オープンミドルウェア製品群を活用して、短期間で効率的にオープンシステムへ移行。

今後、日本金属は全面オープン化による大幅なコスト削減効果を見込むと同時に、オープンシステム環境での業務効率アップとグループ企業とのシステム統合も推進していく。

既存資産を継承しつつ
基幹業務システムを全面オープン化

安武 雄二氏の写真
日本金属株式会社
管理部門長
常務取締役
安武 雄二氏

野島 俊郎氏の写真
日本金属株式会社
情報システムセンター 所長
執行役員
野島 俊郎氏

日本金属は100%受注生産を行っており、独自技術製品を顧客のニーズに応じてきめ細かく提供できることを強みとしてきた。原材料を細かい出荷製品に割り当て、生産計画を効率的に立てる作業には、これまでに培ってきたノウハウが結集されている。

同社では、そのノウハウをシステム化することで、業務の「見える化」などを実現する「新生産管理システム」をオープンシステムで構築し、生産性の向上に力を注いでいる。

そして、鉄鋼業界初となる試みとして取り組んだのが、基幹業務システムの全面オープン化だ。

同社がこれまでメインフレームで稼働していた受注・生産管理・売り上げ、人事・経理などの基幹業務を全面オープン化することで、営業情報の効率的な活用など業務効率アップを目指した。

「営業情報の効率的な活用やグループ企業との連結会計や内部統制対応には、システムの全面オープン化が不可欠だと考えました。また、製造業にとって最大の経営課題はコスト削減です。基幹業務を全面オープン化することで、システムの維持・運用にかかるコストの大幅削減が期待できます」と安武氏は説明する。

「メインフレームは独自のプログラム言語で動いていることも問題でした。汎用性の高いオープン言語に変換すれば、世代間にわたる技能継承が容易にでき、将来も若手技術者がすべてのプログラムをメンテナンスしていけるようになります」と野島氏は語る。

ゼロからオープンシステムを開発するのではなく、既存プログラムをオープン言語に変換する「マイグレーション」を選択したのは、長年培ってきた生産や営業の独自ノウハウを組み込んできた基幹業務システムを有効活用するためだ。

また、すべてのシステムを一気にオープン化したのは、時間をかけて段階的移行をする場合の並行稼働などにかかる二重のコストを避けたかったからである。そのために、中国オフショアを利用し、パイロット移行テストを大連にて実施後、移行可能性を判断して本番移行に踏み切った。

移行に必要な機能を網羅する
日立オープンミドルウェア製品群

短期間での全面オープン化プロジェクトを支援したのは、日立である。

「日立はメインフレームのマイグレーション経験が豊富で、移行の手法も体系化しています。また、既存のメインフレームの全機能をオープン化できるミドルウェアが揃っていました」(安武氏)。

日立は、最新のCOBOL国際規格に対応し、COBOL資産の継続的な活用を可能にする「COBOL2002」をはじめとして、既存資産を活用しながら効率的に基幹業務を構築できる「XMAP3」、分散トランザクションマネージャ「uCosminexus OpenTP1」、統合システム運用管理「JP1」など、求められる機能を実現するオープンミドルウェアを全項目へ割り当て、明瞭な移行パスを日本金属へ提示した。

「1社で必要な製品をすべて揃えられれば、親和性が高く、サポートも一本化できて、システム全体の信頼性・可用性を高められます」(安武氏)。

まず日本金属では、全プログラム資産の活用状況を精査して、プログラム本数を半分以下にまで減らし、それに合わせてハードウェアのサイジングも最適化した。

日立も、移行技術を駆使しながら、メインフレームと同等の高い信頼性と性能を実現するために全力を傾けた。uCosminexus OpenTP1やデータベースなどのチューニングを重ねて、1秒以内のレスポンスを達成したのはその一例である。

「特にuCosminexus OpenTP1は、通信制御の構造がメインフレームと共通しているなど、メインフレームからの移行性、親和性が極めて高い製品でした」(野島氏)。

たとえば、メインフレームで実施してきたデッドロック時の自動実行処理も、uCosminexus OpenTP1なら通信制御部分を書き換えることなく機能を継承できるため、オンラインプログラムのストレート移行が実現したのである。

また、メインフレームではプログラム実行によりJCLが自動生成されてジョブ実行を展開していたが、日立はプログラム内で生成されるJCLを解析し、テンプレート化したうえで、JP1のジョブとして登録することで、JCL起動をオープンシステム上で継承することにも成功した。

「JP1は、GUI画面上でジョブネットが設計できるのも、開発効率の向上に貢献してくれました。XMAP3もユーザーフレンドリーな画面を、わかりやすいGUI環境で効率よく開発できました」(野島氏)。

年間1億円のコスト削減と
業務効率アップに効果

2009年1月、基幹業務システムの全面オープン化が完了。オープンシステムに移行したことで、日本金属では年間1億円のコスト削減を見込んでいる。

また、グループ企業とのシステム統合が可能になり、連結決算の早期化に繋げられるようになる。

さらに、開発と本番を日立のエンタープライズサーバ「EP8000」3台に分離したことで、システムを運用しながら開発プログラムのテストができるようになり、システム開発効率が飛躍的に向上するなどの効果も期待されている。

「開発と本番のハードウェア分離は、IT全般統制にも役立ちます」(野島氏)。

今後は、新生産管理システムのサブシステムとして、営業支援システムを導入し、営業活動を支援する計画だ。

「社内に散在している営業情報を統合し、利用者のパソコンからすべての営業情報へアクセスできるようにするには、強力なシステム間連携を実現できるオープンミドルウェアの新たな導入も必要になってくるでしょう」(安武氏)。

システム間連携やプログラムの再利用を実現するSOAなど、オープンシステムならではの先進技術も積極的に活用していきたいと考えている。

こうした日本金属の今後の取り組みにおいても、SOAプラットフォーム「Cosminexus」などの日立オープンミドルウェア製品群が総合力を発揮していくだろう。

「社員が情報を共有しながら営業力を高めると同時に、グループ経営を強化して、さらに競争力を高めていきたい」と安武氏は抱負を語った。

日本金属株式会社の新システム概要

USER PROFILE

日本金属株式会社

[本社] 東京都港区芝5-30-7
[設立] 1939年12月2日
[資本金] 68億5,700万円
[従業員数] 708名


独自技術を駆使した高級ステンレス帯鋼を強みとする、ステンレス製品・特殊鋼のメーカー。冷間圧延ステンレス鋼帯は、パソコン・DVD機器等の精密機器部品、家電部品、自動車部品、厨房器具等に幅広く使用されている。

特記事項

  • この記事は、「日経コンピュータ 6月12日号」に掲載されたものです。
  • JP1COBOLファミリーXMAP3uCosminexus OpenTP1の詳細については,ホームページをご覧ください。
  • JCL:Job Control Language GUI:Graphical User Interface SOA:Service Oriented Architecture
  • 記載されている会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
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