仮想サーバ上のリソース監視を行う
「JP1/PFM - Agent for VM」などの活用で
仮想サーバと物理サーバを一元管理
パイプなどの生産材を取り扱う森定興商株式会社(以下、森定興商)は、BCP(事業継続計画)の強化を目的に、本番サーバを九州のデータセンターに移行し、ディザスタリカバリによるリスク分散とパソコンのシンクライアント化を実施。
日立の統合システム運用管理「JP1」のサーバ稼働管理製品「JP1/PFM」を導入して、効率的な遠隔監視体制を整えた。
仮想サーバ上のリソース監視を行う「JP1/PFM - Agent for VM」やパフォーマンス監視・プロセス死活監視を行う「JP1/PFM - Agent for Platform」などの活用によって、仮想サーバと物理サーバの一元管理を実現している。
森定興商株式会社
システム運用部
部長
平野 久雄 氏
鉄鋼販売で起業し、パイプや鋼材・建材などの生産材を取り扱う商社として成長を続けてきた森定興商。
「社会が大きく変化し、ニーズが多様化するなかで、業績を伸ばし続けてこられたのは、『変革と挑戦』を社是としているからこそ」と平野氏は語る。
同社はITの活用にも積極的に挑戦し、先進的なシステムをいち早く取り入れてきた。業務改革と経営情報の把握のためにはITが不可欠であると、経営トップが強く意識してきたのである。
「パイプなどの生産材は、公共性が高く、インフラ整備に欠かせないものです。したがって、強固なBCPを整備しておくことが、社会的責任であると考えています」(平野氏)。
これまでも同社は、緊急地震速報の受信機を全拠点に整備するなど、積極的にBCPの強化に取り組んできた。
BCP強化の一環として同社は、本番サーバを九州のデータセンターに移行し、ディザスタリカバリによるリスク分散を実施。それと同時に、各自のパソコンが壊れて業務が止まってしまうことを避けるため、パソコン端末のシンクライアント化も実施した。
当初は、ブレードサーバ1台で30台のシンクライアント端末を動かす予定だったが、ブレードサーバ1台で動かすのは15台程度にとどめたほうが快適であることが判明。
そこで、ヴイエムウェア社の仮想化ソフトウェア「VMware® ESX Server」を導入して、1台のブレードサーバ上に2つの仮想サーバを立ち上げ、1つの仮想サーバで15台の端末を動かすことにした。
仮想化によって、ブレードサーバの台数を増やすことなく、快適なシンクライアント運用を目指したのだ。
森定興商株式会社
システム運用部
係長
大崎 貴昭 氏
森定興商では、日立の統合システム運用管理「JP1」のネットワーク管理製品「JP1/Cm2/NNM」などを導入して、ネットワーク機器やサーバのPing死活監視、ネットワークリソース監視などを行っていた。
同社はデータセンターのサーバ稼働管理ツールとしても、実績や親和性などを評価しJP1を活用することに決めた。
「データセンターのサービスは、サービスレベルごとに料金設定されており、我々の要望を考えていくとコストが高くなります。それならば、JP1を組み合わせた自主的な遠隔監視体制を整えた方が、可用性の向上にもつながると考えました」(平野氏)。
JP1の販売とサポートを担当する株式会社 アシスト(以下、アシスト)は、サーバ稼働管理製品「JP1/PFM」を導入して、JP1/PFMとJP1/Cm2/NNMを統合コンソール「JP1/IM」で統合管理する方法を提案。
これにより森定興商は、仮想サーバと物理サーバを一元管理することが可能になったのだ。
「JP1は信頼性が高く、安心して利用できます。加えてアシストは、JP1の24時間サポートなど、きめ細かな対応をしてくれるうえに、JP1のユーザー会や勉強会も独自に運営しており、最新の情報を入手しやすいのも魅力です」と大崎氏は評価する。
森定興商株式会社
システム運用部
主任
宮崎 喬也 氏
森定興商株式会社
システム運用部
鬼頭 良文 氏
株式会社アシスト
中日本支社
営業部
課長
金川 達也 氏
2009年5月、データセンターの利用開始とともに、JP1による遠隔監視体制がスタートした。
グループウェアや文書管理システムなどの物理サーバは、「JP1/PFM - Agent for Platform」で、パフォーマンス監視とプロセス死活監視を行っている。
「たとえば、帳票フォームとデータをオーバーレイする際にエラーが発生すると、JP1/PFM - Agent for Platformのプロセス死活監視がこれをキャッチして、JP1/IMがアラートメールを自動発信してくれます。したがって、ユーザーから不具合発生の連絡をもらった時点では、原因究明が完了しており、すでに講じた対策を説明できるのです」(大崎氏)。
一方、シンクライアントを支えている仮想サーバは、リソース監視を行う「JP1/PFM - Agent for VM」で負荷状況を把握している。
「たとえば、1台のブレードサーバ上にある片方の仮想OSのCPU使用率がしきい値の90%を超えると、アラートメールが送られてきます。JP1/IMの画面をチェックして、原因が何であるかをすばやく確認して、原因となっているユーザーにいったんログアウトしてもらうなどの措置をとります。こうした対応をすばやく行うことで、他のユーザーに与えるパフォーマンス低下の影響を最小限に抑え、シンクライアントをスムーズに運用しているのです」と宮崎氏は言う。
「JP1の画面は、グラフィカルで見やすい。ディスク、メモリー、CPUの利用状況など、仮想環境も把握しやすく、重大な障害となる前に気づくことができます」と鬼頭氏は続ける。
「サーバ統合などで仮想化技術を導入するお客さまが増えていますが、仮想環境において今まで以上のパフォーマンスを出すには、JP1/PFM - Agent for VMが役立ちます。今後も、JP1/PFMによる仮想環境の統合的な運用管理を、幅広いお客さまへ提案していきたい」と金川氏は話す。
管理負荷の軽減やシステム全体の可用性の向上などの効果もあらわれている。
「JP1のおかげで、遠隔地にあるデータセンターとの距離を意識することなく、きめ細かな運用管理が実現できています。むしろシンクライアント化やバックアップの集中処理によって、管理工数は減少しました。また、監視に必要な情報を漏れなく把握できるようになったので、システム全体の可用性も向上しています」(宮崎氏)。
「今後は、JP1のログやレポートを活用して、リソースの最適配分にも取り組みたい。キャパシティプランニングなどの長期的なIT戦略の立案にも、JP1を活用していきたい」(平野氏)。
ディザスタリカバリとシンクライアント化によって、BCPを強化した森定興商。
森定興商のBCP強化の取り組みを、今後もJP1が支えていく。
USER PROFILE
森定興商株式会社
[本社] 愛知県名古屋市中村区名駅3-22-8 大東海ビル
[設立] 1938年10月18日
[資本金] 4億円
[従業員数] 266名(2010年8月現在)
1927年の創業以来、生産材の商社として80年以上の歴史を積み重ねてきた。現在は、商事部門(パイプ各種・鋼材・建材等の卸売)、生産部門(大径溶接鋼管・鋼建造物等の製造)、不動産部門の3事業を展開。
全国主要地に支店・営業所・流通センター・倉庫を設置し、営業・在庫体制を確立し、受注即納体制を整えている。特に主要流通センター・倉庫には鋼管専用立体自動倉庫(右)を設置し、ネットワーク化による商品の受け渡しや保管業務を迅速・確実に行っている。
PARTNER PROFILE
株式会社アシスト
[本社] 東京都千代田区九段北4-2-1 市ヶ谷東急ビル
[設立] 1972年3月
[資本金] 1,000万円
[従業員数] 800名(2010年4月現在)
「People Assisting People」を会社のスローガンとして掲げ、独立系ソフトウェアベンダーとして、コンピュータ用パッケージソフトウェアの販売、技術サポート、教育およびコンサルティングを行う。
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